日本株、国民民主党躍進による「現役世代の実質賃金増加」で恩恵が期待できる「プロ厳選銘柄5選」を実名紹介

「年収の壁」見直しで恩恵が期待できる企業に注目してみたい。10月27日投開票の衆議院選挙では、国民民主党が議席数を従来4倍の28議席へ増やす大躍進を遂げた。国民民主党が公約の目玉に掲げた政策は「年収の壁」問題への対応を進めることだ。 周知のとおり、所得が一定ラインを超えて増加すると、税金や社会保険料の負担が増えて手取り額がむしろ減ってしまう場合がある。働き控えや人手不足の要因ともなる「年収の壁」を見直すには、基礎控除等の合計を103万円から178万円へ引き上げる以外にも様々な要件を満たす必要はあるものの、「手取り額アップ」、「社会保険料の軽減」、「家計支援」など、若年層やファミリー層に寄り添った政策が高く評価された現実にこそ注目すべきだろう。 来年夏の参議院選に向けては、いずれの政党も現役世代の実質手取り額を増やすビジョンを描けなければ、苦杯を味わうことは必至だろう。公約実現が効果を発揮するための壁はあるものの、「年収の壁」そのものに風穴が空いたことだけは確かなようだ。 学生や共働き家庭の手取り額が増えれば、貯蓄を除けばレジャー消費やコト消費へのインパクトが特に大きいだろう。いずれも懐に余裕が出てきた場合に高まりやすい「裁量消費」と呼ばれるものだ。所得効果が大きいと思われる個別企業に注目してみたい。 オリエンタルランド(4661) ■株価(11月1日時点終値)3724円 オリエンタルランド(OLC)が運営する東京ディズニーリゾートは、ファミリー層や学生層からの支持が特に厚い。一方、近年の物価上昇やチケット価格の引き上げによって、24年3月期の来場者1人当たり売上高は20年3月期比で4割増の1万6,644円にまで上昇した。2024年4〜9月期の入園者数は1,220万人と前年同期から2.4%減少した要因は、猛暑や天候だけではないだろう。 それでもOLCの企業価値の向上には、客単価の引き上げが必要不可欠な要素であることは確かだ。「ファンタジースプリングス」エリアには約3,200億円の投資が投入された。「夢の国」の魅力を維持する投資の回収には、来場者の増加と客単価の引き上げを両立することが求められているからだ。 2025年4月には新たな中期経営計画が発表される予定だ。新規事業「ディズニークルーズ」の効果も含めた長期成長戦略に注目が集まる。若年層やファミリー層の手取り額アップの恩恵を享受できれば、新たな収益基盤が加わることになろう。 パーク24(4666) ■株価(11月1日時点終値)1816.5円 時間貸し駐車場「タイムズ」を全国に展開するほか、カーシェアリングサービス「タイムズカー」を運営し、レンタカーとカーシェアを融合したモビリティ手段を提供している。「タイムズカー」は自社が所有する駐車場に車両を配置できるため駐車コストがかからないコスト優位性に強みを持つ。最近では法人営業の強化やテレビCMによる認知度の向上も功を奏し、利用頻度は安定的に増加している。 共働き世帯や若年層の手取りが増えれば、レジャー消費が活発化する可能性が高く、同社が運営する商業施設や観光地近隣の駐車場の需要増が期待される。特に、車の所有コストを負担に感じる若者層にとって、カーシェアリングは「必要なときだけ利用できる」経済的な選択肢として魅力的だ。 一方で、海外事業の業績回復は遅れ、2024年10月期末には減損が生じるとみられているが、大きな財務リスクは限定的だろう。ネット有利子負債比率(借入金から現金を引いた負債の株主資本に対する比率)は1.2倍と、安定した財務基盤を維持している。 コーセー(4922) ■株価(11月1日時点終値)9196円 現役世代の購買力が増すことで、化粧品に対する需要が高まる期待がある。高級スキンケアやメーキャップブランドを展開するコーセーは、「コスメデコルテ」や「雪肌精」などの人気ブランドを中心に国内市場でのシェア拡大を狙っている。コロナ以降は国内市場に注力しており、新商品投入やマーケティング活動を強化してきた。若年層向けシェアの拡大策では、ドラッグストアでのプロモーション活動が功を奏している。 一方、2014年に買収した米国のメーキャップブランド「タルト」を軸に、海外市場での成長も続いている。中国市場では出荷調整が続いているが、ブランド力の強化に努め、安定した収益基盤は健在だ。 創業80周年に向けた中長期ビジョン「VISION 2026」では営業利益率16%以上を目指す。達成に向けて海外売上比率を50%以上に引き上げる方針を掲げており、23年12月期実績の36.8%からの大幅な向上を図る。 物語コーポレーション(3097) ■株価(11月1日時点終値)3900円 コスパの高さだけでなく、ちょっとした高級感も兼ね備えた外食業態にも恩恵は大きそうだ。同社の主力業態である「焼肉きんぐ」は、食べ盛りの子供を抱えるファミリー層を中心に高い人気を博しており、2025年6月期も97店舗の新規出店を計画している。最近ではロードサイドから都市部への出店も強化しており、ブランドの認知度向上を図っている。 業態開発力に強みを持ち、寿司・しゃぶしゃぶ食べ放題の「ゆず庵」や「丸源ラーメン」など、多様な業態を展開することで集客力の安定感を高めている。中期経営計画では、2027年6月期までに連結売上高1,500億円を目指し、経常利益を124億円に引き上げる目標だ。 積極出店を支えるための人財投資にも余念がない。会社ホームページを閲覧すれば、やたらと「人」の文字が目に付くだろう。2027年までに海外事業の売上高を現在の3倍に引き上げる計画が注目されるなか、積極的かつ多様な人材獲得を進めている。 テイクアンドギヴ・ニーズ(4331) ■株価(11月1日時点終値)922円 ブライダル業界全体は厳しい状況にあり、婚姻組数の減少が続いている。ゲストハウス型の結婚式場で業界トップの同社でさえも受注は伸び悩んでいる状況だ。一方、若年層の実質賃金の上昇が進んだ場合、結婚に対するハードルが下がる期待は大きい。結婚に踏み切るための必要な年収については、男女ともに約6割が年収400万円以上、約4割が500万円以上と考えている調査結果もある。 ブライダル市場の回復以上に所得効果が期待できるのがホテル事業の拡大だ。中期経営計画では、ブティックホテルを中心に全国展開する方針を示し、2027年までに札幌、渋谷、神戸に新規ホテルを開業する計画だ。さらに2030年には売上高を500億円に引き上げる目標も示す。 ホテル事業の収益貢献が始まるのは数年後とはいえ、株式市場では十分に評価されていないと考える。PBR(株価純資産倍率)は1倍を大きく割り込んでおり、十分な投資余力やブライダル市場の底打ち期待すらも織り込まれていない印象だ。 2024年も残すところ2か月を切り、年末商戦の時期を迎えつつある。繁忙期を迎える業種も多いと思われるが、なかには「年収の壁」を意識した労働抑制が人手不足を招いている業種も散見される。「年収の壁」の見直しには、所得効果以外にも多くの恩恵が期待できそうだ。 5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ”

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