「過失なわけがない」遺族が会見 時速194キロ出し死亡事故…「危険運転致死罪」に問われた男の裁判

時速194キロで車を運転し、死亡事故を起こしたとして危険運転致死の罪に問われている当時19歳の男の裁判員裁判が始まりました。弁護側は「危険運転致死罪は成立しない」などと争う姿勢を見せました。    ◇ 初公判を終え亡くなった弟への思いを語った、姉の長文恵さん。 亡くなった小柳憲さんの姉 長文恵さん 「シートベルトがちぎれて、車外に放り出されて、腰から下は粉砕(骨折)ですよ。どれだけ痛かったか。うっかり過失なわけがない」 弟の小柳憲さん(50)。2021年2月、大分市で起きた交通事故で命を落としました。 大破した小柳さんの車。衝突したのは当時19歳の男が運転していた車でした。「時速194キロ」で交差点に進入し、右折する小柳さんの車にぶつかりました。 法定速度60キロの3倍以上で走っていた理由について男はこう供述。 男(当時19)(捜査関係者による) 「買ったばかりの外車で何キロ出るか試したかった」 事故から約3年9か月。5日に裁判が始まりましたが、遺族にとってはここまで長く険しい道のりでした。事故後、警察は男を危険運転致死の疑いで書類送検しましたが、大分地検は刑が軽い過失運転致死罪で起訴したのです。 「危険運転致死罪」は懲役20年以下なのに対し、「過失運転致死罪」は懲役7年以下と刑の上限が大きく異なります。 亡くなった小柳憲さんの姉 長文恵さん 「あまりにも間違っていると思う。加害者だけが守られて被害者は苦しみをずっと続けるのか」 起訴内容の変更を求めて約2万8000人分の署名を集めた遺族。その後、刑の重い「危険運転致死罪」への変更が認められて5日の裁判を迎えていました。 亡くなった小柳憲さんの姉 長文恵さん 「彼の無念が必ずあると思うので私が少しでも晴らしてあげたい」 最大の焦点は「危険運転致死罪」が成立するかどうか。5日の初公判で罪について問われた被告の男は… 男(当時19) 「よく分かりません」 弁護側は「危険運転致死罪にはあたらない」として争う姿勢を見せています。 男は法廷で遺族に謝罪しましたが… 亡くなった小柳憲さんの姉 長文恵さん 「私たちの方を一瞬でも見ることはありませんでしたし、謝罪には聞こえませんでした。遺族の気持ちに少しでも寄り添った判決を待って残りの日々の裁判に臨んでいきたい」 危険運転をめぐっては今年5月、群馬県伊勢崎市で起きた飲酒運転のトラックが乗用車に衝突、家族3人が死亡した事故で遺族が「危険運転致死傷罪」への起訴内容の変更を求めていて、検察が裁判所に変更を請求。その後、認められました。 元大阪地検検事 亀井正貴弁護士 「被害者遺族の処罰感情の強さが世間的に認知されてきて、検察を後押しする流れになる。積極的に危険運転致死傷罪の適用を広げていこう、(適用できる)限界線を確認しようという流れになっている」 判決は今月28日に言い渡されます。 (11月5日放送『news zero』より)

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