衆院選で与党が過半数割れしたことを受け、自民党と国民民主党が経済対策の政策協議を始めます。国民民主党が実現を迫るのは、「年収の壁」の1つとされる非課税枠「103万円」の引き上げです。税収が大幅に減る課題もあり、協議の行方が注目されます。 ■国民民主の政策を取り入れる形で協議へ 藤井貴彦キャスター 「31日、自民党と国民民主党の幹事長らが会談し、新たな経済対策をめぐる政策協議を始めることで合意しました。自民党としては国民民主党の政策を取り入れる形で協力を取り付けたい考えです」 「そこで(国民民主党の)玉木代表が絶対に受け入れさせたい案として掲げているのが、『103万円の壁』撤廃です」 ■「103万円超えそう」…SNS上の声 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「これは、年収が103万円を超えると所得税などが発生するラインのことです」 「SNSには『やばい 103万円超えそうだから年末にシフト入れなさそう』『103万円を理由にアルバイトが休むから、バイト頼みのお店は本当に年末きつい』といった声があります。このように、やむを得ず『働き控え』する人もいます」 ■国民民主の政策案、狙いと課題は? 藤井キャスター 「こういう事情を、国民民主党は変えようとしているのですね」 小栗委員長 「この壁を103万円から178万円に引き上げて、178万円までは課税されずに働けるようにしようとしています」 「なぜ178万円なのでしょうか。103万円になったのは今から約30年前の1995年です。当時より最低賃金は1.73倍になっているので、課税されるかどうかの壁も同じく1.73倍にして178万円まで引き上げることで手取りを増やそうというわけです」 藤井キャスター 「時代に合わせて政策をアップデートするということですね」 小栗委員長 「ただ問題は、こうした措置を年収178万円までの人だけでなく、一律全ての人に適用するということです。具体的な方法は明らかになっていませんが、国民民主党の試算では、年収200万円の人は8万6000円の、年収800万円の人は22万8000円の減税になります」 「もともと税率は所得が多い人ほど高くなる仕組みなので、減税額も年収が高い人ほど大きくなっています」 藤井キャスター 「所得の低い人からすると、不公平だと感じてしまうかもしれませんね」 小栗委員長 「その上、政府の試算によると、この措置で国の税収が約7兆6000億円減る見込みだといいます。この分をどう穴埋めするのかなど課題も多く、良い面ばかりとは言えません」 ■否定的な声あるも…強気の玉木代表 藤井キャスター 「これを自民党が受け入れるかどうかが、焦点になっているわけですね」 小栗委員長 「もちろん政府与党内には否定的な声もありますが、玉木代表はこの政策の実現が自民党に協力するための条件だとしていて、31日も『103万円の壁を全くやらないなら当然与党に協力はできず、予算も通らない、法律も通らないということだ』と強気の発言でした」 「それだけにある政権幹部は『これが選挙で出た国民の声であるならば、受け入れを躊躇(ちゅうちょ)する理由はないでしょう』と述べています」 野口啓代(スポーツクライミング五輪銅・『news zero』木曜パートナー) 「私の周りにも、アルバイトをしながら頑張っている選手がいます。アルバイトやパートをされている方が、この壁を気にせずに好きなだけ働けるようになったら、日本がもっと元気になっていいのではと思います」 「ただ全体の税収がもし減るようであれば、どのように補てんしていくのかも明らかにしてほしいですね」 (10月31日『news zero』より)