【ミルウォーキー（米ウィスコンシン州）＝帯津智昭】米大リーグ・ドジャースの山本由伸が１４日（日本時間１５日）、ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第２戦に先発し、９回３安打１失点で、メジャー２年目でレギュラーシーズンを含めて初完投勝利を挙げた。 　スコアは５—１。ポストシーズンでの完投は２０１７年以来８年ぶりで、日本人では初めて。ナ・リーグ優勝決定シリーズでは０３年以来２２年ぶりの快挙だった。 　すでに９７球を投げていた山本が九回、走ってマウンドに向かった。あっさりと二死を奪うと、５番ボーンはスプリットで空振り三振。右手を握りしめ、ガッツポーズをした。メジャー初完投でチームを２連勝に導き、「こっちに来て初めてだったので、すごい達成感を感じた。とにかくチームの勝ちに貢献できたので、それが一番うれしかった」。１１１球の力投だった。 　一回、１番チョウリオに初球の直球を右中間スタンドに運ばれ、先頭打者本塁打を許した。「１人目のバッターだったので、すごい悔しかったけど、とにかく切り替えて、次のバッターに投げていった」。ドジャースはその裏、Ｔ・エルナンデスの同点ソロ、パヘスの適時二塁打が出て逆転に成功した。「とにかく、その点差を守ることに集中して投げた」。 　相手打線は最初のストライクから、思い切ったスイングで振ってきた。「積極的に来ているのはすごく感じたので、そこで有効なボールをいいところに投げていけた」。普段よりも直球を少なく、代わりにスプリットを多くした配球で攻めた。五回以降は安打を許さず、六回から４イニング連続で三者凡退だった。敵地ミルウォーキーのファンの歓声は、初回の本塁打の時が最高潮で、回を追うごとに静まり返っていった。 　１００球が交代のめどになる大リーグでは、そもそも完投が少ない。山本は「（ポストシーズンで）８年ぶりというのは、ついさっきまで知らなかった。とにかく１イニングずつ集中して、テンポよく投げられたので、何とか最後まで試合を締めくくることができてよかった」と充実した表情で語った。