ロシアのプーチン政権は、米国が検討するウクライナへの巡航ミサイル「トマホーク」の供与を阻止すべく、米国に対して威嚇交じりのけん制を続けている。 前線から遠い露領内にある、露軍の軍事活動を支える後方拠点が射程の長いトマホークで攻撃される事態を回避するためだ。 露安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は１３日、トマホークが供与された場合、「特にトランプ米大統領自身にとって悪い結果になる」とＳＮＳで警告した。「搭載しているのが核弾頭か通常弾頭かを識別できない。ロシアがどう対応すべきかわかるだろう」と述べ、核による対抗措置も示唆した。 供与が検討されているトマホークは射程約１６００キロ・メートルとされる。米政策研究機関「戦争研究所」によると、露領内の少なくとも１６５５か所の軍事施設が射程に入る。プーチン露大統領はトマホーク供与が米露関係の質的変化につながるとの認識を示し、露大統領報道官も「極めて深刻な懸念」を表明している。 トランプ政権に対するロシアの批判的なトーンは強まっている。露下院は８日、核兵器解体で生じた余剰なプルトニウムの処理を定めた米露間協定を破棄する法案を採択。協定は２０１６年にロシアが履行を停止しているが、米側に揺さぶりをかけたとみられる。 ロシアの軍事専門家からは、キューバに核搭載可能な短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の配備を検討すべきだとの声も出ている。
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