【4割減】公明党の連立離脱で“最大”50選挙区でさらに自民が敗北? 去年の衆院選のデータから日本テレビが試算

公明党が連立政権からの離脱を決定、斉藤代表は「選挙協力は白紙」と明言した。長年にわたって、公明党と選挙協力を行ってきた自民党だが、選挙協力がなかった場合、選挙戦にどんな影響が出るのか。日本テレビは、独自に去年の衆院選のデータから試算した。 結果、自民党は132の小選挙区で勝利したが、公明党の選挙協力がなくなった場合、敗北する選挙区が最大で50選挙区増える可能性があることがわかった。 複数の自民党議員、公明党議員を取材した結果「1選挙区に公明党支持者は1〜2万人いる」という。自民党は、この公明党の支持母体である創価学会の支援を得る事で、選挙戦では優位に戦いを進めてきた面がある。連立解消によって、この選挙協力がなくなれば、自民党は議席を大幅に減少する可能性が高い。その詳細を分析する。 ■自民の小選挙区当選者は4割減の可能性も 選挙においてどれほどのインパクトがあるのか。前回の衆院選のデータを用いて、公明党支持者が自民党の候補者に投票しなかった場合の選挙結果を日本テレビが試算した。 試算の方法は以下の通りだ。 去年の総務省の市町村単位の衆院選の得票データから、各小選挙区の公明党の比例票を算出し「公明票」と位置づける。次に、公明党の支持がなかった場合の仮定として、自民党の小選挙区の得票数から「公明票」を差し引き、他の候補者との勝敗を判断するというもの。公明票は、自民党を含めて他の政党にも流れないことを前提として試算した。また、公明党から推薦を受けていない候補者は試算の対象外とした。 結果、自民党が小選挙区で勝った132選挙区のうち、最大50選挙区で敗北する可能性があることがわかった。これは自民党の小選挙区当選者の約4割にあたる数字で、比例代表での獲得議席などを考慮すると総獲得議席はさらに減ることが予想される。 また、50選挙区を地域別に見ると、都市部において大きな影響があることがわかる。 【“逆転”可能性のある50選挙区の内訳(都道府県別)】 8選挙区: 東京 6選挙区: 神奈川 5選挙区: 埼玉 3選挙区: 千葉、兵庫、福岡 2選挙区: 北海道、栃木、岡山、長崎、沖縄 1選挙区: 青森、秋田、福島、茨城、群馬、富山、石川、長野、岐阜、山口、徳島、宮崎 ただ、「公明票」は連立を解消しても一定程度、自民党に流れることも予想される。公明党の斉藤代表も「いままでの協力関係が消えるわけではなく、選挙区ごとに判断する」としている。その場合は、議席がここまで減らない可能性も考えられる。逆に、選挙戦の状況によっては「公明票」が他の野党に流れれば、自民党にはさらなる逆風になることも否定できない。 ■自民議員の声は?「“女性初の総理”で上向きも?」 連立離脱に対する選挙への影響、また今回の分析について、自民党、公明党の議員はどうみているのか。まず、自民党議員。 連立離脱による選挙への影響について、自民党のある元幹部は「相当な影響が出る。小選挙区当選者のうち30〜40人ほどが厳しくなる可能性があり、いま解散はできない」と危機感をあらわにする。 一方、小選挙区で当選した自民議員は、連立離脱の影響は大きいとしつつも、「もし高市総裁が総理になれば、女性初の総理であることの期待や流れてしまった保守層の回帰により、ここまで大きな減少にはならないのでは」と分析する。 また、比例復活で当選した自民議員は、この試算について「前例のないことだから全く読めない。選挙区ごとに事情が違うため一概には言えない」と見ている。 ■公明議員の声は?「ここまでは減らないのでは」 次に、公明党の議員はどう捉えているのか。 ある公明党幹部は「選挙区事情にあわせてやっていくことになる。いきなり敵対関係になるわけではないので、今回の予測は“最大”の可能性だろう」と分析した。 別の公明幹部は、影響は見通せないとの認識を示した。「公明党は小選挙区の候補者を一部撤退し、比例代表を軸とする戦い方にシフトせざるを得ない。その場合、自民党への影響はわからない」 一方、ある公明ベテラン議員は「この試算は数値が大きく出ているとみている。今までも公明党の支持者のうち自民党の候補者に投票するのは8割程度だった。ここまでは減らないのでは」との見方を示した。 26年にわたる自公連立の解消によって、自民党は総理大臣指名選挙だけでなく、国会運営や選挙においても、このままでは相当に苦しい状況が予想される。高市総裁は新たなパートナーを探しきれるのか、それとも「単独」のまま進めるのか。高市総裁の判断が問われる局面が続きそうだ。 【試算方法】 2024年に行われた衆議院選挙に関する総務省の市町村別の公式データから「小選挙区」毎での公明党の比例代表の票数を試算。その票を「公明党の基礎票」と定義した。 次に、自民党議員が小選挙区で当選をした132選挙区(公明党が自民候補者に推薦を出していない選挙区含む)において、自民党議員の得票数から「公明党の基礎票」を引き、2位との票差が逆転する候補者を「小選挙区敗北の可能性」と判定した。「公明党の基礎票」は自民党はじめ、他の政党に上乗せをせずに試算した。

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