5年間で11校目の指導は母校・愛工大名電高 　マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が、18日に母校・愛工大名電高で指導にあたった。今回はOBとしての訪問。今月は大阪・大冠高、岐阜高に続いて3校目の指導で、2020年からこれで11校目となった。 　母校の野球部員45人が参加。事前に訪問は知らされておらず、部員たちはまさかの“登場”に衝撃の声を上げた。ホーム付近に整列した部員は、イチロー氏の姿を見ると拍手した。イチロー氏「拍手、いらないから（笑）」と照れた表情で登場すると「初めてだね。3年生はバッティンググローブ、来たでしょう？　回収です。ベスト8は最低、行ってくれないと」と笑いを誘う場面もあった。 　今秋はベスト16にとどまり「1回戦負けと一緒でしょ。愛工大名電にとっては」と厳しい言葉も。「（練習の前に）寮や施設などを見学させてもらいました。で、この成績はないでしょ。この施設を持っている学校、ないでしょ。当然、甲子園もそう（目標）でしょうし、そのあと、どうなのか。卒業した後に、プロで活躍したいという子が多い。監督の話を聞いていて、僕がみんなに教えることはないです。疑問、聞きたいことがあったら、聞いて下さい」と“挙手”を求めた。 　練習では実際にベースランニングを披露するなど、部員の目を引いた。「ストライドが大きい、というのが僕の特徴。足を使っているのではない。僕の走りにそういうイメージはない。僕はもも上げもしない。股関節を使って、いろんなことを組み立てる。股関節を割る。それを僕はやっています。一歩が大きいのは、股関節から（足を）引っ張ってきて、最後、膝から下」など、細かな指導も行っていた。 　キャッチボールはソフトバンクからドラフト5位指名された石見颯真内野手を指名して行うなど、精力的に部員との関わりを持った。フリー打撃では柵越えも披露し「打ちに行っている意識。その姿勢がないと、バットが出て来ない。ボールを見逃して、ストライクを打つというスタンスでは遅れる。目を使いたくない。ストライク、ボールは関係ない。ヒットにできると思ったら、それがストライク」と語った。 　練習の最後には「お互い、長所、短所を指摘しあって、高め合ってください。名電に来るって決めた時、すごい不安があった。長い間、来ていないからどんな雰囲気で野球をやっているのか、怖さの方があったんだけど、みんなと一緒に練習して、実際にやって、やっぱり野球が好きな高校生。気持ちのいい空気だし、頑張ってほしい。また来るかもしれません。母校ですから。愛工大名電の伝統をしっかりと引き継いで、後輩たちに」と熱い思いを明かした。 　2020年2月に「学生野球資格回復制度」の認定を受けたイチロー氏は同年12月、教職員と草野球で対戦するなどの交流があった縁で、3日間にわたって非常勤コーチとして智弁和歌山を指導。同校は、翌2021年夏の甲子園で優勝を果たした。昨年は旭川東（北海道）、宮古（沖縄）を指導していた。（Full-Count編集部）