無人で遠隔操作や自動操縦ができる航空機「ドローン」。映像の撮影に利用したりするほか、農業など様々分野での活用が進んでいます。 そのドローン。県内でも最先端の研究開発が行われています。どんな技術なのでしょうか、取材しました。 ◆国内最大級の防災イベント“ぼうさいこくたい” 9月6日、7日に新潟市の朱鷺メッセで開かれた「ぼうさいこくたい」。 県内では初めての開催で、行政や民間、団体などの関係者が集い、経験や教訓を共有することで、次の災害に備えることを目的とした国内最大級の防災イベントです。 ◆ドローンの展示 防災に関する活動や製品、技術を紹介するブースに展示されていたのは「ドローン」です。 ◆ドローンとは ドローンとは遠隔操作により無人で飛行する航空機の総称です。 2010年代ごろから一般に普及するようになり、個人でも、それまで難しかった臨場感ある映像の撮影ができるようになりました。 ◆災害時の情報収集に また2019年には、新潟市消防で災害時などの迅速な情報収集を目的として、ドローンの運用が始まっています。 一方、ロシアによるウクライナ侵攻ではドローンを使った無人攻撃も行われるなど、負の側面も持ち合わせている実態もあります。 ◆防災への活用 様々な分野で活用されるドローン。防災に活用しようという試みも進んでいます。“ぼうさいこくたい”で開かれた講演会。 事業創造大学院大学の嶋津恵子教授です。 【事業創造大学院大学 嶋津恵子教授】 「皆さんに操縦していただきますね。左側のスティックを奥に倒すとドローンが上に上がります」 島津教授は外資系IT企業での勤務ののち、研究機関や大学で人工知能やロケットなどを研究してきました。 この日、島津教授が紹介していたのは日本版GPSともいわれる準天頂衛星システム「みちびき」とドローンを組み合わせて災害時に役立てようというものです。 【事業創造大学院大学 嶋津恵子教授】 「東日本大震災の時の救助救命に当たった方々の話を聞いて、どこに今すぐ助けなきゃいけない人がいるか、わからない。重篤な被災地ほど通信手段がなくなってしまったからだと」 ◆衛星による測位システム 準天頂衛星システム「みちびき」は衛星による測位システムで、日本の上空から位置と時刻の信号を送っています。 位置情報の誤差はわずか数センチ……このほかメッセージも送ることができるのも特徴です。 2018年に運用が開始され、今年度中に本格的な体制が整う衛星システムで、様々な分野で、その利用方法が模索されている最新技術です。 【事業創造大学院大学 嶋津恵子教授】 「私は命をつなぐ最後の手段として『みちびき』のメッセージサービスを考えたいと思っています」 ◆メッセージサービスを活用 【機械音声】 「ただちに逃げろ」「とどまれ」 画面の右と左でエリアを区分。左右のエリアを移動するとみちびきから得られる位置情報とデータを利用して、エリア毎に異なるメッセージを伝えます。 嶋津教授はここに注目しました。 ◆避難情報などを迅速に伝える 災害時にドローンが飛んでいってその場所に応じたメッセージを送ることができれば、より有効な避難情報などを迅速に伝えることができると考えたのです。 【事業創造大学院大学 嶋津恵子教授】 「発災直後の救命救助に必要なことはいつとどこであるか」 「測位衛星システムは常時時と場所を計算できるようになっています。測位衛星のシステムこそ災害の急性期に利用できるのではないか」 ◆ 嶋津教授が開発のパートナーに選んだのが新潟市秋葉区の建設コンサルタント企業「トップライズ」です。 測量などでドローンを活用しているほか、県内8つの市町村と災害協定を結んでいて、実際の災害で状況を把握するためドローンを飛ばした実績があります。 【トップライズグループスカイフォトサービス 廣島美和子さん】 「私たちが普段使っているようなドローンでも災害対応をみちびきを使ってできるという所を一緒に研究していけたら良いと思っています」 ◆自律飛行する小型ドローン このトップライズで最近、開発されたドローンがあります。 それが、動いている人を避けて自律飛行する小型ドローンです。 【トップライズ 長崎清さん】 「ここから360度周囲にレーザー波が飛んでいくわけなんです。」 アメリカのカーネギーメロン大学と共同で開発したこのドローン。 レーザー波の反射とカメラ画像をAIで解析…人などの障害物を避けて飛行し、周辺の形状データを取得します。縦横45センチほどで産業用としては小型です。 ◆ドローンの実力は その実力はどれほどのものなのか。 およそ8メートルの距離を自動操縦で直線に往復するプログラムを組みました。同じプログラムで途中に障害物を置くとよけて飛行します。 さらに…人が歩いて近づいてもよけるのです。記者がちょっと意地悪をしてみました。 往路で障害がなかったポイントで、復路に記者が立ってみました。 <記者リポート> 「では、帰り道に入ります。この辺ですかね、風が近づいて来ていますね。」 見事によけて出発点に戻りました。 ◆トンネル工事でもドローン活用を この実験で取得した周辺データがこちらです。部屋の形状だけでなく障害物や人の姿も確認することができます。 この機能はドンネル工事での活用を想定していて、落石の危険のある中、作業員が目視で確認している作業をドローンが行うことで、安全で正確なデータの取得が期待されます。 【トップライズ 長崎清さん】 「これから色々な建設会社とかご提案をして、まだ実証段階のレベルなんですけど、実際のトンネルの中で行っていきたいと思っています」 ◆研究開発進むドローン 様々な用途で活用が進んでいるドローン。 県内でもその研究開発が大きく進んでいます。