三重・四日市市の市長が「M-1グランプリ」出場を断念した舞台裏

 被害から1週間が経っても、依然として被害の全容が見えない三重県四日市市の豪雨被害。四日市市の9月12日の雨量は1時間で観測史上最大の123.5ミリを記録し、駅前の地下駐車場が水没するなど大きな被害となった。 【写真】地下駐車場に勢いよく大量の水がなだれ込む様子。川のようになった道路や、商店街も 「仕事で駅前に出ていました。22時ごろから雨が一気に強くなり、仕事を終えて22時30分になってもまだ激しく降り注いでいて、これはまずいぞとなりました。商店街の道の下から水がゴボゴボと湧き出し、みるみるうちに川のようになっていきました」(四日市市民)  市の危機管理課の担当者が市内の被害状況についてこう話す。 「人的被害は今のところ確認されておりませんが、現段階では床上浸水で約200軒、床下浸水で約3100軒という被害が確認されております。17日から市では被害届証明書と罹災証明書の交付受付が始まりましたが、今後はこうした申請から被害状況の全容が判明してくると思います」(危機管理課)  なかでも全国的に報道されたのは地下駐車場の甚大な被害だ。  金曜日の夜とあって人出も多かった近鉄四日市駅前。すぐ近くの「くすの木パーキング」の地下駐車場には地下1階に160台、地下2階に114台、計274台が駐車されていた。 「水没した道路の様子を見るために車から出て歩いていると、くすの木パーキングの入口があり、勢いよく水がなだれ込んでいました。これは地下にある車はもう助からないだろうなと直感しました」(前出・四日市市民)  車は水没し、ポンプ車を使っての排水作業は豪雨から5日目の17日にようやく完了。今後、被害の補償はされるのだろうか。 「週末だったこともあり、買い物客や駅前の飲食店に勤務する従業員らの車が地下駐車場に駐車していました。被害総額は甚大です。基本的に自賠責保険では水没の補償は受けられず、任意保険の範囲になるそうです。このあたりは車社会で仕事も生活も車がないとできないので、被害を受けレンタカーを借りている人も多い。この費用も持ち出しとなっています。  ただ駐車場の管理会社の瑕疵が認められれば、損害賠償請求が行われる可能はあります。今後は被害を予見できたか、被害を食い止めるための設備はどうだったかなどを争点とした、補償を巡る話し合いが行われるでしょう」(全国紙記者)  先週の大雨では東京都内でも戸越銀座や自由が丘といった商業地で浸水被害が多数報告されている。新宿駅周辺などターミナル駅周辺には地下駐車場が多数あるため、線状降水帯の発生状況次第では事前に車を移動させるなど、都心でも教訓とすべき事例になってしまった。 市長がM1出場辞退、思わぬ余波も  四日市市の豪雨被害では意外な注目を浴びた人もいた。被害が確認されてから、森智広市長は連日ブログで市内の被害状況や被害申請の窓口開設などを投稿し続けるなど精力的に活動していたが、17日に報じられたのは「M-1出場辞退」という意外なニュースだった。 「発端となったのは今年4月5日に四日市市内で行われたイベント『エキサイトバザール』です。四日市市出身のお笑いコンビ『ザブングル』の加藤歩さんとのトークショーの際に、彼から『市長、M-1に出ましょう』とオファーがあったです。そして5月の定例会見に年末のM-1出場を公表していました。  加藤さんは市の観光大使にも任命されており、市長も『市の認知度向上になるなら』と出場を決めたようですが、公務の延長上でのM-1出場には賛否の声が挙がっていました」(前出・全国紙記者)  6月にはコンビ名を「三重県四日市」とすると会見を行い、8月には市内で行われた「大四日市まつり」で初めて漫才を披露。今月末に愛知で行われるM-1の予選に備えていたが、市長が今回の浸水被害対応に専念するため出場を断念せざるを得なくなった。  思わぬ形で全国から注目を集めてしまった四日市市だが、災い転じて福となせるか。漫才以上に市長の手腕が問われる局面となりそうだ。

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