【総裁選】なぜ高市早苗氏と旧安倍派は人前に姿を現さないのか 陣営からは「もっとメディア露出を」の声が

【前後編の後編/前編からの続き】  各候補者、生き残りを懸けた崖っぷちの自民党総裁選が9月22日、告示される。目下、レースの先頭を争うのは小泉進次郎農水相(44)と高市早苗前経済安全保障相(64)。しかし、両陣営は、早くも前回の総裁選とはまったく違う戦い方を見せているという。  *** 【写真を見る】麻生氏の意中の人とは…ミシュラン三つ星・超高級すし店での濃密“デート”  前編【「進次郎氏はコントロールしやすいみこし」 小泉農水相が総裁選レースで有利とされる理由 一方、プライベートで懸念材料も】では、小泉氏が総裁選レースで有利と目される理由や、懸念材料について報じた。  そんな小泉氏と人気を二分するのが高市氏である。高市選対の事務局長・黄川田仁志衆議院議員(54)が言う。 高市早苗前経済安全保障相 「小泉先生からは前回の総裁選から今に至るまで、ご自身の目指す国家観を聞いたことはありません。今の自民党はリベラル色が強いイメージを持たれていますけど、あらためて、しっかりとした保守政党であるとお示しせねばなりません。そのための政策を実行するためには、高市先生が一番良いのではないか」  高市氏は前回、党員票で石破茂首相(68)の108票をしのぐ109票を集めており、小泉氏の61票を大きく引き離した。彼女が1回目で首位に立つことができたのは、党員票の強さゆえだ。 「最大のネックは議員票です。高市氏は前回の総裁選でも推薦人20名の確保に苦労しましたが、そのうち9名は今回、落選や不出馬で不在となっています。前回、小泉氏の75票に次ぐ72票を獲得できたのは、麻生派が票を回したためでした。しかし今回は麻生太郎最高顧問(85)が高市氏を見限ったとされ、議員票の上積みはほとんど期待できない状況です」(政治部デスク) “麻生さんに会いにいくべき”  この点、先の黄川田氏は、 「30名余りの仲間と声をかけ合って、支持を増やしていきたい」  と、意気込む。一方、西田昌司参議院議員(67)はこんな話を披露する。 「高市さんには“麻生さんにしっかりと支持をもらうことが大事です。会いに行くべきです”と言っています。一度、食事の約束をしていたそうですが、先方の都合で流れてしまったので、もう一度設定し直すそうです。しっかりと麻生さんと意思形成を共有し、応援してもらうようお願いしなければなりません。高市さんは“分かりました”と言っていました」  その高市氏は他候補者が露出を増やす中、人前に姿をほぼ見せなかった。 「彼女は前からメディアにはあまり出たがらない。陣営からは“もっとメディアに露出した方がいい”という声が上がるのですが、彼女は周辺に“この3連休はこもって、公約として掲げる政策を練りたい”と言っていたそうです。だから他の候補者は直近の活動の様子が流されるのに、彼女だけは9月2日の両院議員総会の際の映像が繰り返し使われていたわけです」(政治ジャーナリストの青山和弘氏)  姿を隠しているのは彼女だけではない。  先のデスクが言う。 「先日、政策秘書が略式起訴された萩生田光一元政調会長(62)をはじめ、旧安倍派幹部は高市氏に“裏金”のイメージが付かないように大っぴらに活動するのを控えている状況です。推薦人についても、旧安倍派議員の名前はほとんど名簿に記載されない模様です」 懸念材料  高市氏についての懸念材料はほかにもあって、 「高市氏の夫、山本拓元衆議院議員(73)が今年に入ってから脳梗塞で倒れてしまった。彼女が氏の入浴介助などを行っているといわれています」(前出のデスク)  しかし、拓氏と前妻の間の子である、山本建福井県議(41)に話を聞くと、 「そもそも(拓氏が)介護認定を受けているとは聞いてないんです」  拓氏が現在、高市氏と共に東京・赤坂の議員宿舎に暮らしていると認めつつ、 「確かに体調を崩したのは事実です。父はどんな時でも、“大丈夫”としか言わないので、周囲にも確認したところ、“ちゃんと一人で歩いているよ”と。今は車いすや松葉づえは使わず、ゆっくりではありますが、自分で歩いている状態だそうです。(付きっ切りの介助が必要だったのは)当初の話でしょう。父と私の二人で総裁選のサポートをしようと話しています」(同) 他候補の動きは?  ここで、他候補の動きも見ておこう。  まず、茂木敏充前幹事長(69)は他候補に先駆けて、9月10日に出馬を正式に表明した。 「茂木氏がいの一番に名乗りを上げたのには理由があります。彼は前回、幹事長の立場でした。ために、総裁選に出遅れたのですが、“早く名乗りを上げてさえいればもっと浸透していた”という自負があった。それで、今回は最初に表明したのです」(前出のデスク)  一方、林芳正官房長官(64)氏と小林鷹之元経済安全保障相(50)は共に3連休明けの9月16日の表明となった。 「小林陣営は前回、中堅・若手が中心でしたが、今回は小林氏と同じ千葉が地盤の石井準一参議院議員(67)と浜田靖一前国対委員長(69)らベテランが陣営に名を連ねています。11日に開催された陣営関連の勉強会にはオンライン参加や秘書の代理出席を含めて、総計45名が参加。勢いが感じられます」(同) 林氏が“大穴”?  もっとも、林氏が“大穴”とみる向きもある。  元NHK解説委員で政治ジャーナリストの増田剛氏が言う。 「本命は小泉氏、対抗が高市氏、そしてダークホースとして林氏が浮上する展開です。小泉氏の強みは、後見人である菅儀偉副総裁(76)氏が日本維新の会創設者の橋下徹氏(56)らと太いパイプを持ち、維新との連立交渉に現実味を持たせられる点にあります。これに対し、高市氏には野党との強固な人脈が見当たりません」  続けて、 「勝敗を左右するのは、前回の総裁選で石破首相が獲得した議員票と党員票の行方でしょう。“石破票”はもともとリベラル色が強く、小泉氏が保守色を強め過ぎれば、林氏に票が動く可能性もあります」  また、小泉氏の経験や発言が不安視された場合は、 「林氏に議員票が流れ、1回目の投票で党員票に強い高市氏が1位で、2位に林氏が食い込むパターンもある。決選投票になれば、林総裁の誕生もあり得なくはない」  森山裕幹事長(80)は、 「今は大切な時期。総裁選挙の結果が出たら、みんなで一致団結しなければ」  と説くのだが、無論、誰を支持するのかは言明しない。自民党自体が崖っぷちの中、今回の総裁選はまさに混沌(こんとん)としている。  前編【「進次郎氏はコントロールしやすいみこし」 小泉農水相が総裁選レースで有利とされる理由 一方、プライベートで懸念材料も】では、小泉氏が総裁選レースで有利と目される理由や、懸念材料について報じている。 「週刊新潮」2025年9月25日号 掲載

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