現代版ロータス・エスプリ、量産化は「ほぼ可能」 1000馬力の次世代スポーツカーに足りないものとは

ワイパーを付ければ売れる状態 ロータスのデザイン責任者によると、昨年発表した未来的なコンセプトカー『セオリー1(Theory 1)』を量産化しない主な理由は、フロントワイパー機構の欠如だという。つまり、ワイパーさえあれば販売可能とのことだ。 【画像】ロータスの「エスプリ」を受け継ぐ電動スポーツカー【セオリー1コンセプトを詳しく見る】 全26枚 セオリー1は、かつてのエスプリを彷彿とさせる最高出力1000psの3人乗りEVで、革新的技術と次世代デザインのショーケースとして開発された。 ロータス・セオリー1コンセプト 量産化計画は正式には確認されていないが、ロータス・グループのデザイン担当副社長ベン・ペイン氏は現実的な設計案であり、その主要機能やデザイン要素は「現実に十分近い」と語った。 AUTOCARの取材に応じたペイン氏は、セオリー1を「拡張可能なイノベーションのタイムライン」と表現し、量産化を阻む要素はほとんどないと説明した。 「このクルマには、今すぐにでも実現可能な要素がいくつも存在します。フルで量産化するというのは少し無理があるかもしれませんが、未来の方向性を示すものです」とペイン氏は言う。 ボディサイズは既存のエヴァイヤとほぼ同等であり、「量産車の通常のサイズを超えるものは一切ない」という。ペイン氏はさらに、セオリー1の革新的技術の多くは、すでに量産車に搭載されているシステムの新たな解釈や進化形だとした。 例えば、超軽量のAPレーシング製カーボンセラミックブレーキディスクと鋳造アルミキャリパーは、エヴァイヤの装備品から「1世代進化した」ものだ。ハイグリップのピレリPゼロ・エレクトタイヤも他の量産車で採用実績がある。リサイクル・カーボンファイバー製のボディは、「今日でも実現可能です。あとは顧客の需要と、実際に試してみたいという意思があるかどうかにかかっています」とのこと。 車内の投影型ヘッドアップディスプレイも「普及しつつある」技術であり、電動リアビューミラーはエメヤから流用したもので、「無理な話ではありません」。 あくまでも未来を示す「指針」 ペイン氏はさらに、3人乗りのシートレイアウトや「グラスホッパー」と呼ばれるディヘドラルドアでさえも、現実での実用性を考慮していると説明した。奇抜なウェッジシェイプのシルエットやエアロボディも実用性を犠牲にするものではなく、シート後部には小さなトランクが備わっている。 セオリー1は実用を視野に入れて設計されたのかとの問いに対し、ペイン氏は「意図的にそうしました。ホイールとタイヤの組み合わせはエヴァイヤから直接流用しているため、その点で突飛な要素はありません。次世代のブレーキシステムを搭載していますが、タイヤサイズとホイールサイズはエヴァイヤとまったく同じです。非現実的な仕様ではありません」と答えた。 ロータス・セオリー1コンセプト また、公道走行に必要なホモロゲーションの取得を妨げる要素はわずかだという。 「率直に言うと、最大の課題はワイパーシステムが未装着なことです。ホモロゲーション取得にはカウル部の再設計が必要で、スクリーンを少し後方に移動させ、ワイパーを装着しなければなりません」 ただし、理論上は実現可能とはいえ、セオリー1をすぐに発売するような計画はない。ロータスは当面の間、エレトレやエメヤの販売促進と会社の財務的安定性の回復に焦点を当てているためだ。 ペイン氏はこう語る。「現時点では未来像を示すショーケースですが、当社のコアとなる焦点はブランド価値の再確立にあります。現在の状況を踏まえ、実行可能なことと、市場が求めるものを見極めているところです」 「当社の焦点は、販売台数をもう少し増やし、財務面で持続可能なビジネスを確立することです。この種のクルマは、おそらくその最善策ではないでしょう」 「価格帯を引き下げ、より多くの人々に製品を知っていただく方法を模索しています。それが次のステップになるでしょう。しかし、このクルマは多くの点で指針となるような存在です」 90年代にも存在した実験的なプロトタイプ 新しい技術やデザインのショーケースとして構想されたセオリー1は、1990年代初頭に開発されたロータスのプロトタイプ『SID』を彷彿とさせる。 1992年にロータス・エンジニアリングが開発した実験的なテスト車両で、エスプリのボディにメトロ6R4のエンジンを搭載し、当時としては先進的な四輪駆動、四輪操舵、アクティブサスペンションなどのシャシーシステムの検証を目的としていた。SIDという名称は、設計の主題となった「構造(structure)」、「遮断(isolation)」、「ダイナミクス(dynamics)」の頭文字をとったものだ。 ロータスが1992年に開発したプロトタイプ『SID』 ノートパソコンでダイナミクス特性をプログラムでき、特殊なサスペンションによりボディロールをほぼゼロに抑えたコーナリングが可能だった。バイクのようにコーナー内側にリーンすることもできたという。今ではあまり知られていない車両である。 ペイン氏は、このSIDが当時、革新的技術を量産車に導入する上で少なからぬ役割を果たしたと述べ、この意味でセオリー1はSIDの精神的後継車であると示唆した。 「SIDでは、ステアリングとサスペンション、ダイナミクスを分離し、さまざまなシステムを自由に試すことができました。現代のクルマには非常に多くのアクティブシステムが搭載されていますが、これはかなり昔に成し遂げられたものです」

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