NNNと読売新聞が9月13日から14日まで行った世論調査で、次の自民党総裁に誰がふさわしいかたずねたところ、1位は高市前経済安保担当相で29%、2位は小泉農水相で25%でした。自民党の総裁選の告示日に向け、各陣営はどう動くのか。日本テレビ・政治部の矢岡亮一郎解説委員が解説します。 ■高市氏の強み「自民党支持層での勢い」 今回、高市氏、小泉氏「2強」の構図が浮かび上がってきましたが、それぞれの強みを数字、データでみていきます。 まず、高市氏の3つの強みを紹介します。1つ目は「自民党支持層での勢い」、2つ目は「露出の伸びしろ」、3つ目は「野党の支持」です。 まず1つ目、自民党支持層に限ってみると、先月12%だった高市氏への支持が、今月28%に跳ね上がりました。 小泉氏は、先月31%、今月33%。選挙は「ベクトル」勢いが大事、というのはよく言われます。自民党支持層の伸びは、総裁選でカギを握る党員票の伸びにもつながりますから、この「勢い」は強みになります。 ■今週から本格露出の高市氏…さらに支持を伸ばす可能性 ──高市氏の強さ、2つ目は? 2つ目は「露出による伸びしろの大きさ」です。どういうことかというと、石破首相が辞任を表明して1週間。名前が挙がる5人のうち、高市氏以外は、全員メディアの前で会見など取材に応じて露出をしています。 一方、高市氏の姿を捉えたのは、ごくわずかです。 議員事務所や宿舎にこもって、一言も公には発言していません。高市氏本人は周辺に今回の調査結果、「存在を忘れられていないのは、ありがたい」と話しています。 このメディア露出、立候補一番乗りで、メディア出演を増やした茂木前幹事長が、支持率を先月の1%から7%に大きく伸ばしたことからも効果がうかがえます。 高市氏は今週、記者会見などで本格露出を始めますので、さらに支持を伸ばす可能性があります。 ■高市氏の強み「野党の支持」 国民民主党支持層からの支持 ──3つ目は? 3つめの「強さ」は、「野党の支持」です。 今回の私たちの調査では、自民・公明の連立政権に加わる相手として、国民民主党を挙げる人が最も多くいました。 この国民民主党支持層に限って「総裁に誰がふさわしいか」を聞くと、高市氏50%、小泉氏6%と圧倒的な差がありました。 高市氏と国民民主党には、「積極的な財政出動」という政策の共通点があります。 今回の総裁選は、少数与党として今後、政治をどう前に進めるかが焦点ですから、野党の連携相手がポイントになります。この有力な相手の支持層から支持を受けている、という点も高市氏には好材料と言えます。 ■小泉氏にとっての「強さ」は…「石破票」どこへ? ──支持率2位の小泉氏にとっての「強さ」は何ですか? それは「石破票」への期待、になります。前回、最も票を集めた石破首相は立候補しません。この票がどこに向かうのか、今回の調査で気になる数字があります。 「石破内閣の実績を評価するか」という問いに「評価する」とした人のうち33%が小泉氏を次の総裁にふさわしいとしていて、18%の高市氏を大きく上回っています。「大いに評価する」とした人に限れば、小泉氏42%、高市氏5%です。これは小泉氏に「石破票」を期待できるデータかと思います。 ■告示日は22日 今週の注目の動きは? 林官房長官は16日に「立候補の意向」だけ表明します。政策の発表会見は「今週後半に」と露出を切り分け、ピークを22日の告示日に近づける戦略です。これは小泉農水相も同じです。 小泉陣営の1人は「高市さんは射程圏内にいる。まだどちらも会見していないし、勝負は今週」と話しています。特に後半が注目です。 政策発表会見は、茂木氏が先週終えていますが、小林鷹之氏が16日に、他の3人も今週相次いで行います。各候補がどう停滞した政治を前に進めるのか、その具体策をしっかりみていきましょう。