【解説】森山幹事長が退任の意向表明…石破政権、今後はどうなる?

自民党の森山幹事長は、参議院選挙を総括する両院議員総会で、大敗の責任をとり、幹事長を退任する考えを表明しました。今後、石破首相の政権運営はどうなるのでしょうか。政治部官邸キャップの平本典昭記者に聞きます。 両院議員総会は終わりましたが、森山幹事長が「辞任する」と表明しました。その後、新たに小野寺政調会長も辞任を表明、党幹部の辞任表明が相次いでいます。政権にとっては、大きな打撃となります。ただ、総会に出席した議員に話を聞くと「幹事長、政調会長の辞任は当然だ。ただ、トップが辞めなければ、けじめとはならない」という意見が早速でています。 この先、石破首相の判断はどうなるのか。3つの疑問を聞きます。 (1)辞任? 慰留? どうなる森山氏の進退 (2)何が? 総裁選求める声“拡大” (3)総裁選? 異例の“総選挙”? ——まず1つめ、森山幹事長は退任の意向を表明した一方、退任については「総裁にあずける」といった発言もありました。これは、どういったことを意味するのでしょうか? 森山幹事長は辞意を表明しましたが、この通りになるか、まだ不透明な部分が残っているといえます。 というのも、森山幹事長を最も必要としているのは石破首相です。森山氏の党内調整の力、少数与党国会での野党との交渉力は、政権運営を支える大きなパワーで、石破首相は周辺に「森山さんなしでは政権はもたない」と話しています。石破首相は周辺に、「辞任といっても慰留する。森山さんも最後は任命権者の意向に従うといっている」と話しています。 党内には「結局やめないのでは…」という見方もありますが、それでも大きな反発は確実です。森山氏なしでは政権運営は厳しい。ただ、慰留すれば党内の反発を招き、総裁選を求める力が強まる、石破首相は「ジレンマ」を抱えます。 ——そんな中で、総裁選を求める声は今、増えているのでしょうか? 取材をしていると、じわりと増えていると感じます。先週、石破内閣のメンバー、副大臣、政務官から「賛成」の声が上がり火がつきました。その火が拡大していると感じます。 新たな動きが2つ出ています。1つ目は「同期会」による動きです。実は両院総会のあと、今も同期で集まっての作戦会議が計画されています。今週、出席者したある議員の1人は「同期で結束し、賛成する意思を確認する」と話しています。 自民党では、派閥が解消し機能が弱まった分、「同期会」が活発になっています。当選2回の2期生は今週集まり、出席者の1人は「8割が賛成の意思を確認した」と述べています。 2つ目は、自民党内「チーム石破」の“石破離れ”の動きです。去年、総裁選で石破陣営の幹部を務めたある議員は「これまで反対だったが、今の状況みると賛成」と1日夜の取材に話しました。一番近くで支えていたメンバーからも離れていく人が出てきて“石破おろし”の火が拡大している、とみています。 ——では3つ目。そうなると総裁選が行われるのか、はたまた、総裁選だけではなく、衆議院の解散総選挙も行われる可能性もあるのでしょうか? まず、総裁選を行うかどうかは、国会議員295人、都道府県連の代表47人、あわせて342人のうち、過半数172が賛成するかどうかで決まります。これは来週8日に確認が行われます。 ただ、ここにきて、石破首相は周辺に「総裁選を求める議員が多ければ、国民の声を聞くしかない」と話しています。異例の総選挙になる可能性があるのでは、という見方が浮上しています。 石破首相サイドの理屈はこうです。いま世論調査では、続投を求める声が辞任すべきより多い。石破首相は自民党と世論に「かい離」がある。ならば、どっちが正しいか選挙で国民に聞いてみよう、というものです。石破首相は周辺に「総裁選はやらない、やるなら総選挙だ」などと話しています。 ——去年の選挙から1年も経っていませんが、石破首相は本気でそう思っているのでしょうか? 脅しでいっているだけではないのでしょうか? たしかに党内では、総裁選を求める動きを封じるために、「脅し」でいっているだけだという見方も多くあります。ある自民党のベテラン議員は「実際に選挙ができるわけがない」、別の自民党議員も「選挙で大敗したトップがまた選挙をやるなんて、冗談にしか聞こえない」などと冷ややかな声もでています。 総裁選を行うかが決まるのは来週8日です。残り6日間、賛成、反対、両勢力による攻防が激しくなりそうです。

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