富士山の噴火について、国が初めてイメージ動画を公表しました。被害は遠く離れた首都圏にも及ぶ恐れがあります。 夕暮れ時、日本を象徴する山、富士山です。300年以上、噴火をすることは、ありませんでした。しかし…。 それは、専門家らが「いつ起きても、おかしくはない」と口にする、日本を襲う大災害です。 大町怜央フィールドキャスター「シミュレーションの動画に出ていた、まさに新宿の場所が、こちらですね」 火山灰に包まれ、灰色の町と化したのは、東京・新宿です。 「火山防災の日」である26日に合わせて、内閣府から初めて公開された、富士山・大規模噴火のCGシミュレーション。一体、どれだけの被害が広がるのか。その時、私たちは、どうすればいいのか。 看護師(26)「正直、富士山って遠いイメージだったから、今の見て怖いなと思いました」 大学生(19)「何も見えないですね。思っていたよりも、やばいなと」 風向きや噴火の規模で変わりますが、富士山から関東方面に向かって風が吹いた場合のシミュレーションを見ていきます。首都圏にも大きな影響を及ぼすとみられるのが「火山灰」です。 前回、発生したのは江戸時代です。16日間、噴火し続けた宝永噴火の火山灰は、現在の東京にあたる江戸にまで到達したといわれています。 影響を受けるのは、ライフラインです。 大町フィールドキャスター「ちょうど、ここからの景色がシミュレーションの動画と同じ位置ですね。動画を見ますと、この位置でも降灰が積もっていて、車は全く動けないような状況ですね」 道路の視界不良などが発生し、大渋滞。配送ができず、生活物資が不足する可能性があります。停電に、鉄道の運行停止。木造の家屋は屋根に30センチ以上、火山灰が積もった状態で雨が降ると、倒壊する恐れもあります。 様々な被害をもたらすと想定される「火山灰」。その影響は、富士山からの距離によって変わります。 まず、25キロほど離れた地点。ここでは主に、直径2ミリを超える火山岩石の破片が降り、富士山に近い場所では直径数センチの噴石が降ることも。2日後には、降り積もった火山灰などが60〜70センチの厚さになります。 次に、富士山から60キロほど離れた神奈川県相模原市付近です。砂浜の砂のような、直径2ミリ以下の火山灰が降り、噴火後まもなく積もり始めます。火山灰は、2日後には20センチに…。 そして、富士山からおよそ100キロ、東京・新宿では…。 毎日、大勢の人々が行き交う、この街にも直径0.5ミリ以下の細かい火山灰が降り、2日後には5センチ以上の厚さになります。雨が降ると泥のようになり、ぬかるむこともあるという富士山噴火後の新宿では…。 会社員(40代)「日が出てて、これってことですか?」 大町フィールドキャスター「これ太陽です」 会社員(40代)「えーやば! どういう対応すればいいか、わからなくて怖いですね」 会社員(27)「100キロで、ここまで降るんですね、火山灰が」 大町フィールドキャスター「今まさに、この景色が、ここ」 会社員(27)「新宿の映像というのが一番びっくり」 東京都も生成AIを使用した映像で、東京の被害想定を発表しました。スカイツリーや都庁など、東京の街は白くかすむ様子が映し出されています。 ■Q.できる備えは? もし噴火したら…。街の人たちの疑問を専門家に聞きました。 会社員(27)「(地震の備えで)水と食料は1週間分くらいと、電気もモバイルバッテリーで、ためるようにしているけど、噴火する前に何か日頃からできる備えは、あるのか」 「富士山の噴火」研究 山梨県富士山科学研究所・吉本充宏研究部長「最悪2週間は外に出られないことも考えられるので、それ相応の食料。火山灰はガラス質の成分が入っていて、火山灰を体に付着させない、目に入れないことが重要。一番していただきたいのはマスクとゴーグル。傘をさしていただくか、当然、頭も帽子をかぶっていただいて、手も覆った方がいいので手袋、レインコートのようなツルッとした物を上下に着て、足元もできれば長靴のようなもので、とにかく口と鼻に入れないことができればいい」 ■Q.車で移動できる? こんな質問も…。 大学生(19)「交通手段は、車とかで移動することはできるのか?」 吉本研究部長「基本的には乾燥していると、10センチくらいで二輪駆動の車は走れなくなるが、これに雨が重なると3センチくらいでも走れなくなる」 実際、富士山噴火の際に静岡県富士宮市で想定される10センチの火山灰の上を走行してみると、一般的な自動車で採用されている二輪駆動車の多くは、坂を進むことができませんでした。 吉本研究部長「(噴火が)数週間後なのか、1年後なのか、10年後なのか、100年後なのか、その時期は推測することができない状況。どの段階の情報で自分が逃げるべきかというのをしっかり理解しておいてほしい」 藤井貴彦キャスター 「ここからは、灰が降ると生活にどんな影響が出るのかについて見ていきます」 滝菜月キャスター 「関東方面で一番被害が想定されるケースでの、降灰量の時間ごとの推移です」 「まずは噴火から3時間後を見ていきます。ピンク色で示しているところが3センチ以上、オレンジ色が3ミリ以上、黄色で示しているところが微量以上で、東京では、すでに3ミリ以上の火山灰が降っていることがわかります」 「この時点で一部地域では、河川の水質悪化による断水や、電柱に降り積もった火山灰が雨でぬれてショートして起きる停電など、生活に直結する影響が考えられます」 「そして、6時間後を見ていきます。神奈川県相模原市に3センチ以上を示すピンク色が徐々に広がり、噴火から14時間後になると、東京都新宿区でも3センチ以上の降灰量となります。道路の通行が難しくなり、食料など物資の供給ができなくなる可能性もあります」 滝キャスター 「噴火の際には、気象庁から降灰予報というものが出されます。警報などが出ていない離れた地域の方々は、まずは予報を確認しましょう。自分のいる場所に降灰があるとわかった段階で、早めに帰宅するなど、建物内にとどまることが重要です。火山灰の侵入を防ぐため、タオルなどを使用して、ドアや窓の隙間をふさぐことも有効だということです」 藤井キャスター 「長濱さんは、どう見ましたか?」 長濱ねるさん(俳優・タレント・『news zero』火曜パートナー) 「今まで自分が経験したことがないことなので、情報を集めるのが本当に大事だなと思いました。災害に対する防災グッズは日頃から集めるようにしていますが、噴火に対応する物は持っていないので、映像であったゴーグルなどを準備しようと思います」 藤井キャスター 「富士山は300年以上、噴火していませんが、活火山であることに変わりはありません。26日は『火山防災の日』ということで、国がイメージ動画を公表しました。こういう機会に備えを見直してみるのは、いかがでしょうか」 (8月26日放送『news zero』より)