フィリピン事業を行う会社への出資を勧誘したとして、男女9人が逮捕された事件で、警視庁はこのうち、実質的経営者の男ら3人について、27日にも詐欺の疑いで再逮捕する方針を固めたことがわかりました。全国の出資者から約460億円を集めていたとみられています。 ■詐欺容疑で再逮捕 27日、警視庁が詐欺の疑いで再逮捕する方針を固めたのは、「S DIVISION HOLDINGS（SDH）」の実質的経営者・須見一容疑者（45）元社長の池田葵容疑者（38）、経理責任者の小谷慈容疑者（41）の3人です。 捜査関係者によりますと、須見容疑者らは2022年11月から2023年2月の間男性4人（40〜60代）にフィリピンの事業で利益が出ているとウソの説明をして、出資金7300万円をだまし取った疑いがもたれています。 ■手口は…代理店と共謀し勧誘 事件を巡っては、国に登録せず事業への出資を勧誘したとして金融商品取引法違反の疑いで、須見容疑者ら3人を含む男女9人がすでに逮捕されていました。 3人は代理店の経営者らと共謀して勧誘を行っていて、主に大阪や東京、名古屋、福岡でセミナーを開いたり個別で勧誘したりしてSDH社の外国社債などへの出資を呼びかけていました。 ■利益あるよう説明も実際は赤字 3人は勧誘の際「今月3000万円購入していただければ年利15％の利息をもらえますので2年後には3900万円になる計算です」と高利息の配当金を提示。 さらに、「SDH社グループはフィリピンで営むレンディング事業やコールセンター事業などによって、 多額の利益をあげておりSDH社債の償還および利息の支払い能力に問題がない」と話していましたが実際には年に数千万円から1億円以上の赤字の状態だったということです。 ■被害額“460億円”…約5500人から回収か 須見容疑者がフィリピン関連事業の会社を設立したのは2015年ごろ。 その翌年ごろから社債などへの出資を呼びかけていたとみられ、2016年8月から2024年6月の間、全国の男女約5500人から総額約460億円を集めていたということです。 ■配当が止まった後も勧誘 SDH社債への出資を呼びかけて以降配当金はしばらくの間支払われていましたが2024年2月頃には完全に配当がなくなったとみられています。 この時期にSDH社は証券取引等監視委員会から業務の禁止命令を申し立てられたことなどから集金が出来なくなり、須見容疑者らは新しい会社を立ち上げその会社への出資を呼びかけていたとみられています。 警視庁は出資金としてあつめた金をそのまま配当金にあてるいわゆる“ポンジスキーム”の手口とみて捜査しています。 ■集めた金…どこへ 総額460億円にも上る金はどこへ行ったのかー 総額460億円の内 ・配当金として160億円 ・元本返還で93億円 ・出資を呼びかけていた代理店の報酬として110億円 を支払っていたとみられていて残りは約100億円。 その約100億円の一部は須見容疑者が高級バッグや時計、さらにフィリピンのマンションの購入費に充てていたとみられています。 警視庁は残りの金についても調べるとともに、事件の全容解明を進めています。