この週末に行われた共同通信の最新の世論調査で、石破政権の内閣支持率が急上昇しました。石破総理に、いま“追い風”が吹いている理由は何なのでしょうか? 【写真で見る】内閣支持率上昇 各社の最新世論調査 世論調査で「石破総理辞任すべき」も減少 党内では「総裁選を前倒しする雰囲気では全くない」との声も IT関係者や投資家らが集まる、アジア最大規模のイベントに登壇した石破総理。 先週開催されたTICAD=アフリカ開発会議を振り返りました。 石破総理 「なかなか34か国と会談するっつうのは大変なことでした。アフリカには54の国がございますが、そのうち34か国の皆様方と会談しました」 また、23日には韓国のイ・ジェミョン大統領と会談し、「日韓関係を未来志向で安定的に発展させていく」などとする首脳同士の共同文書を17年ぶりに発表しました。 7月の参議院選挙での敗北後、自民党内で“石破おろし”の動きが相次ぐも、着々と外交日程をこなしていく石破総理。 週末に行われた各社の最新の世論調査では、内閣支持率が軒並み上昇しているほか、参議院選挙の敗北を受けて「辞任すべきだ」と考える人が減少傾向となっています。 【石破内閣の支持率】 共同通信 35.4%(+12.5ポイント) 読売新聞 39%(+17ポイント) 毎日新聞 33%(+4ポイント) 【辞任すべきだ】 共同通信 40%(-11.6ポイント) 読売新聞 42%(-12ポイント) 毎日新聞 39%(-3ポイント) 自民党関係者は「もう、総裁選を前倒しする雰囲気では全くないな」と話しています。 こうしたなか、自民党は参院選に敗北した総括を29日にも取りまとめる方向で調整に入りました。自民党内では、“世論調査と選挙結果は別だ”として、総裁選前倒しを求める声も根強くありますが、なぜ石破総理に世論の“追い風”が吹いているのでしょうか? 内閣支持率、なぜ“急増”? 「石破総理のせいじゃないのに」という同情も 小川彩佳キャスター: 各社の世論調査で総理の支持率がぐんと上がっています。読売新聞にいたっては17ポイントほど上がっていて、急上昇したという感覚があります。 TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏: 理由は2つあると思います。 1つは、アフリカ開発会議や日韓首脳会談で、相当メディアに露出しました。露出すると支持率は上がります。 もう1つは、一連の“石破おろし”で、旧安倍派の裏金関係議員や旧茂木派の議員などが動いていて、「石破総理のせいじゃないのに、かわいそうだな」と、ある意味で同情ですよね。 しかし、最高権力者である総理大臣が同情されるというのも、情けないような状況だと思います。 藤森祥平キャスター: このような世論調査を受けると、党内での“石破おろし”がトーンダウンする方向になるのでしょうか。 政治日程を見てみると、9月の初旬には、“総裁選前倒し”について、議員らへの意思確認が行われる見通しです。 星氏: 今、総裁選管理委員会というところで議論していますが、前倒しに“賛成する人”の氏名を公表すると言っています。名前が公表されると、人事で意地悪されるのではないか。また、旧安倍派を中心とした人たちが、石破総理を引きずり降ろそうとしているのではないか、という噂が広がると議員心理としては、それには乗りたくないという動きも出るので、“総裁選前倒し”を意思確認して進めるというのは、簡単には進まないと思います。 参議院選挙が終わって1か月になりますが、政策は全く進んでいません。それから、石破総理が当初やると言っていた戦後80年の談話も、結局出さずじまいということですので、政治が停滞しているということですよね。 「2万円給付」「減税」「ガソリン暫定税率廃止」はどうなる? 藤森キャスター: 経済対策の「2万円給付」「減税」や、「ガソリン暫定税率を廃止」などもあります。これらは、どうなりますか。 星氏: これらの政策を進めるためには、何といっても多数派を作らなくてはいけません。石破総理には申し訳ないけれど、自民党内を説得したり、野党を説得したりする実力がありません。結局、森山幹事長頼みなのですが、森山幹事長は参議院選挙の責任を取って辞めるという意思表示をしています。 藤森キャスター: 9月2日に参院選総括を公表するとみられていますが、時間がかかっていますね。 星氏: やや時間稼ぎのところもありますが、そこで森山幹事長が「辞める」と言った時に石破総理はどうするのか。そのまま辞めていただくのか、慰留するのか。例えば、幹事長代理などに降格して、別ポストで連立の見直し、拡大を担当してもらうなど、石破総理は思案しているところだと思います。 小川キャスター: ゴタゴタの中で、物価高対策は実施されるのでしょうか。 星氏: これは、秋の臨時国会以降となります。例えば「ガソリン減税」は早くて12月、給付金にいたっては「年明け」、「減税」はさらに先送りということで、物価高に喘ぐ国民からすると参議院選挙での意思表示は一体何だったのかということになってしまいます。 小川キャスター: 選挙の公約も信じられなくなり、ますます政治不信が深刻になってしまいます。 ======== <プロフィール> 星浩さん TBSスペシャルコメンテーター 政治記者歴30年 福島県出身