「初めて人を焼いた時は泣いた」『バレリーナ』アナ・デ・アルマス&監督、来日Wインタビュー

『ジョン・ウィック』シリーズ最新作『バレリーナ:The World of John Wick』がいよいよ日本公開となった。『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)とクロスオーバーした時系列で、スタイリッシュで奇妙な独自の世界観はそのままに超絶アクションが炸裂。広がり続けるジョン・ウィックワールドに新たな血を注ぐ“復讐の女神”誕生の物語が描かれる。 THE RIVERでは、この最新作のために来日した主演アナ・デ・アルマスとレン・ワイズマン監督に単独Wインタビュー。作品の舞台裏や背景について詳しく聞いた。 『バレリーナ:The World of John Wick』アナ・デ・アルマス&レン・ワイズマン監督 インタビュー  ──日本へようこそ!アナは2017年の『ブレードランナー 2049』以来ですね。レンはいつぶりの日本ですか? レン:僕は『アンダーワールド』ぶりだから、2003年が最後かな。 ──22年ぶり? レン:そうですね。 ──わぁ。ところで、外が暑すぎてすみません。 アナ:暑いのは大好きです! レン:あなたのせいじゃありませんよ(笑)。僕も暑さは好きです。びっくりしましたけどね。 アナ:私もびっくりしたけれど、大丈夫。 ──不要不急の外出は控えてと言われているくらいです。でも、この映画は“必要”だ! アナ:そうですね!(笑) レン:気に入った!この映画は必要だ! ──外出して、劇場で観てね!さて本作には、日本の夏よりアツ~いシーンがあります。火炎放射器のシーンです。圧倒的。あんなヤバい映像は観たことがない(笑)。アナ、実際に自分で火炎放射器を扱ったのですか?スタントマンたちも、実際に身体に火をつけた? アナ:そうです。全てリアル!私が本当に火炎放射器を操作して、全部が特撮です。彼(レン)のほうがちゃんと説明できると思いますけど、火炎VS火炎、火炎だらけ、火炎と水……(笑)。 レン:どれくらいリアルだったかというと、彼女は火炎を噴出しながら、防火ジャケットを着ていた。着ないと熱に耐えられないから。とにかく、特撮でやっています。彼女も「本物でやりたい」と希望して、しばらく楽しんでいましたね。 アナ:熱かった。 ──どれくらい熱かった? アナ:熱すぎて、熱気が跳ね返ってくるような感じ。髪やまつ毛が燃えてしまうから、ジェルや水で保護していました。でも、すごくカッコよくて最高の気持ちでした。現場では安全がちゃんと守られていて、みんなが安全第一に気を配っていましたから。だから、きちんと撮影できたんです。 レン:でも、その迫力というのは、たとえば銃撃戦のアクションシーンを撮る時にも言えることです。タイミングが決まっていて、撃つ合図でスタントが発砲して、それに合わせて撃たれた演技をする。でも、誰かが本当に火炎に包まれるとなると、全く違った感覚です。恐ろしい感覚です。リアルで、全く違った感覚。もちろん演技なんですけど、直接的に身体に影響を与えますからね。 アナ:人が実際に燃えてましたからね。火がつけられる上限は4分か5分で……。初めて人を焼いた時は、泣いちゃいました。激しかった。 ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. ──人を焼くのは怖かった?(笑) アナ:はい。 レン:誰かを火炎放射器で焼いて、その上で彼らは苦痛に悶えるという演技もしている。それはもう、限りなくリアルですよ。 ──本作のようなアクション映画では、アクションを通じてキャラクターが定義されるということがあると思います。つまり、アクションを演じて初めて、そのキャラクターを真に理解できるというか。アナ、本作の脚本を読んでから、実際にアクションをやってみたときに、キャラクターの見え方は変わりましたか? アナ:そのプロセスは撮影に入る前から起きていたと思います。撮影前の3~4ヶ月の準備期間で格闘シーンの稽古をして、このキャラクターをどう演じたいかを考える時間が得られましたし、自分の能力や得意分野、不得意分野を知って、それに合わせて戦い方を調整しました。確かに、リハを通じてキャラクターを理解しました。格闘の基礎づくりをして、自信を持って全体を通せるようになったら、それからはリラックスして演技に集中できるようになりました。私はドラマ派の女優なので、演じるのが好きなんです(笑)。演技が好き。ご存知のようにアクションは私にとって重要ですが、演技はそれよりも重要です。地に足ついた、リアルなキャラクターにして、観客のみなさんに共感してほしいからです。 ──キアヌ・リーブスも、思っていた以上の出番と共に登場します。このシリーズで彼はいつも満身創痍で、ギリギリの戦いを繰り広げてきました。僕達はいつも“彼は生きているのか?生き延びるのか?”と見守ります。でも本作で、彼は賢くてすこし余裕がある。彼が味方なのか敵なのかは映画を見てからのお楽しみですが、ちょっとオビ=ワン・ケノービっぽいというか。 レン:確かに。メンター的な立場なので、正しい表現ですね。ネタバレになりそうなのであまり多くは語れませんが、言えることといえば、キアヌと一緒に仕事をしたり、脚本について議論したりするのは、なんだか彼の頭の中にある「ウィック」と「ジョン」の間の境界線を見るようでとても面白かった。そこには考え方の違いがあって、魅力的で面白い。それが彼の『バレリーナ』への関与にも大きく影響しています。 ──物語としても視覚的にもジョン・ウィックとイヴとの対比を際立たせるために、どのようにキャラクターを造形したのでしょうか? レン:いくつかあって、ひとつは彼との対峙シーンですが、ずっと『真昼の決闘』(1952)のようにしたいとイメージしていました。アナが気配を感じ、振り向いて、対面するというのを静かにやりたかった。そこでは音楽もナシ。敬意をこめました。あの瞬間は長い間ずっと想像していました。それが結実したときは、すごく報われるような思いでした。ビジュアル的にどんな雰囲気にしたいかは、事前にイメージしていたんです。 ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. ──チャド・スタエルスキと何度かお話ししたのですが、彼は、このシリーズにはいつも必ず日本映画の要素がどこかに入っていると言っていました。本作では日本刀を使ったアクションシーンもあります。今作で日本映画や伝統に影響を受けたことはありますか? レン:日本の要素は『ジョン・ウィック』シリーズに欠かせません。僕もチャドと話していて面白かったのが、どんな映画監督も何かしら影響を受けているものですが、どんな映画に影響を受けたのかを話し合ったことです。アナとも最初に話したのですが、僕の場合は『ランボー』(1982)の要素があります。小さい頃に観ましたから。チャドはまた別のさまざまな映画に影響を受けています。 日本刀のシーンでは、“怒り”が宿る瞬間を表現したかった。彼女がすべてを失う瞬間です。その場合は、銃撃戦よりも刀だろうと。様々な分野から影響を受けています。 ──アナ、あなたはこれまで、ダニエル・クレイグやクリス・エヴァンス、ライアン・ゴズリング、キアヌ・リーヴスといった素晴らしい俳優たちと共演してきました。現在はトム・クルーズと共演中ですね。彼らから学び、役者として成長していると感じるのはどんなときですか? 皆さん、それぞれタイプがぜんぜん違う。すごく才能があって、経験豊富です。もちろん、彼ら全員から常に学んでいます。映画でのパートナー全員、監督や製作者の全員から。素晴らしい共演者に恵まれて本当に幸運です。みなさん素晴らしくて、一人ひとりと素晴らしい経験をさせてもらっています。 ──『ジョン・ウィック5』が製作されるそうです。そこにイヴがが登場する可能性は? レン:どうでしょう? アナ:わからないですね! ──でも、出たい? アナ:もちろんです。出たいです! ──2000年代の映画を観て育った世代として、本作には新しさと懐かしさの両方を感じました。たとえばレナの衣装は、なんだか『アンダーワールド』を思い出しました。もしかしたら、意図的に懐かしさを織り交ぜたのかなと思ったのですが。 レン:その通りです!確かに、昔懐かしい感じを取り入れました。個人的に言うと、僕が子どもの頃に観ていた映画から影響をを受けた部分もたくさんあります。テクノロジーや、80年代や90年代のアクション映画から失われてしまったものを懐かしむ感覚があります。だから、その通りで、僕が魅力に思って懐かしい要素が染み込んでいると思います。 『バレリーナ:The World of John Wick』は絶賛公開中。THE RIVERによるアナ・デ・アルマス&レン・ワイズマン監督 来日インタビュー動画は公式YouTubeチャンネルにてフル公開中。

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