兵庫知事選、斎藤氏の支持“急拡大”…何が? Xフォロワー数3倍 「報道と別の姿」「戦うイメージ」拡散か【#みんなのギモン】

失職した斎藤元彦前知事を信任するかどうかが問われた兵庫県知事選で、斎藤氏は2位の候補に13万票以上の差をつけて再選しました。選挙期間中に支持を拡大させましたが、SNS戦略も奏功したとみられます。専門家に、背景や今後への影響を聞きました。 そこで今回の#みんなのギモンでは、「兵庫県知事選 SNSの影響は?」をテーマに解説します。 ■再選で「いい政策をどう進めていくか」 富田徹・日本テレビ解説委員 「17日、兵庫県知事選挙の投開票が行われ、前知事の斎藤元彦氏が再選を果たしました。18日午後1時すぎ、斎藤氏はこう語りました」 「ここまでの選挙戦を皆さんの力を借りてさせていただくことができたことを、うれしく思います」 「政策を、どういいものを進めていくかがすごく大事だと思いますので、それについては県職員の皆さんも県議会も同じ思いをお持ちだと思いますから、そこはしっかり議論しながらコミュニケーションしながらやっていけば、きちんとできる」 ■投票率は前回より14.55ポイント上昇 富田解説委員 「今回の県知事選は過去最多の7人が出馬しましたが、開票の結果は斎藤氏が獲得したのは111万3911票。97万6637票だった前尼崎市長の稲村和美氏に、13万票以上の差をつけて再選しました」 「投票率は55.65%で、3年前に行われた知事選に比べて14.55ポイント上昇しました」 鈴江奈々アナウンサー 「投票率自体はそれほど高くないのかなと思いきや、前回と比べると上昇していますし、それだけ関心が高かったんですね」 ■SNS戦略が奏功か…投票前日の様子 富田解説委員 「それだけ多くの人が投票に行ったということです。今回の選挙の争点は、斎藤氏を信任するかしないか、この1点に絞られました」 「斎藤氏は今年9月、県議会の不信任決議により失職しました。その斎藤氏が3年間担った県政への評価や、告発文書問題への対応の是非が主な争点となりました」 「斎藤氏はどのような戦略で支持を拡大していったのか。選挙戦では知事としての実績などをアピールしたほか、SNS戦略が功を奏したとみられています」 「投票前日の様子を見ると、斎藤氏の街頭演説をスタッフが配信したり、有権者と握手する場面をスマホで写真撮影したりしていました。この演説から1時間後には、SNSのXに写真などが次々と投稿されていました」 ■Xフォロワー数、3倍近くに増加 斎藤佑樹キャスター 「囲んでいる人の数を見ても、選挙スタート直後とは全く違いますね」 富田解説委員 「選挙戦の前と後で比べた変化は、具体的な数字でもわかります。斎藤氏のXのフォロワー数は失職する直前の9月28日は約7万5000(ネットコミュニケーション研究所)でしたが、18日午後3時時点では約21万9000。3倍近くに増えています」 瀧口麻衣アナウンサー 「最近はXなどのSNSも参考にする有権者の方も多いと思いますので、この数字は非常に大事になると思います。対立候補の稲村氏のフォロワー数を先ほど確認したところ、1万5000人ほどでした。斎藤氏はXだけでも大きな影響があったのかなと感じました」 ■専門家「SNSでイメージ拡散」 富田解説委員 「SNSはいろんな候補者が使っていますが、なぜ今回斎藤氏(をめぐる投稿)がこれだけ拡散したのか。専門家の意見を聞いてみました」 「ネットメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授は『ある時点から、いろんな人が報道されているのとは別の姿だ、という様々な情報をSNSに投稿して、どんどんうねりが大きくなった』と言います」 「また特徴として『SNSではわかりやすいもの、例えば何かと戦うという姿は拡散しやすいので、今回、斎藤氏は県議会やいろんな政党を敵に回しての選挙だったので、そうしたイメージがSNSで大いに拡散された』と山口准教授は分析しています」 ■“石丸現象”皮切りに変化が? 鈴江アナウンサー 「政党から応援をもらえない中での選挙戦でしたからね」 富田解説委員 「逆風で戦っている姿がイメージとして広がったということです。山口准教授は今回の知事選について『東京都知事選の“石丸現象”を皮切りとして、ついに選挙結果が変わるぐらいになった点は注目すべき』と話しています」 ■SNSの「単純接触効果」も作用か 富田解説委員 「計算社会科学が専門の東京大学大学院の鳥海不二夫教授は、SNSの効果として『単純接触効果』を挙げます。これは、人がたくさん触れれば触れるほど好意を持つという現象です」 「鳥海教授は『ネット上に大量に上がり始めた斎藤氏の動画を一度見ると、次から次へと関連動画を勧められてさらに見る。それで親近感をわかせ、どんどん効果が大きくなっていったのでは』と分析しています」 「また今回の選挙をきっかけに、『選挙の際にマスメディアよりもSNSを信用する人がさらに増える可能性がある』と鳥海教授は指摘しています」 斎藤キャスター 「SNSで1つ調べたら、アルゴリズムでどんどん同じものが出てきます。そうすることで印象に残りやすくなる効果というのは、すごく感じています」 ■百条委員会、県議会との対立なお 富田解説委員 「ただ、兵庫県の県政自体は課題は山積みです。斎藤氏のパワハラ疑惑などを告発した文書問題では、この問題を調査する兵庫県議会の百条委員会が続行中です。検証の結果は報告書にまとめる予定で、指摘に対して知事が再び釈明を求められる展開もありそうです」 「そして、県議会との対立もあります。今後は県の来年度予算案の審議などが待っていて、対立が長引けば県民の生活に直結する審議にも影響が及ぶ可能性もあります」 鈴江アナウンサー 「今度は議会がどう対応するのかが注目されます。ルールとしては県議会が不信任決議をもう一度出すこともできなくはないですが、そこは県民の理解はなかなか得られないと思います」 森圭介アナウンサー 「県民の信任をこれだけ受けて当選した方に、となりますからね」 鈴江アナウンサー 「議会と知事でどういうコミュニケーションを取ってどう説明していくのか、というところが注目されますね」 富田解説委員 「特に県民からは選挙中でも『一日も早くゴタゴタが収まってほしい』という声が聞かれました。選挙結果を受けて県政が正常な状態に戻るのかどうかが、今後の焦点となります」 (2024年11月18日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より) 【みんなのギモン】 身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)

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