『ヒックとドラゴン』テレビでもおなじみの劇伴が新たな感動を生む——作曲家が明かす音楽の進化

 9月5日より劇場公開される映画『ヒックとドラゴン』。これは、バイキングの少年ヒックとドラゴンのトゥースとの友情と大冒険を描いた、2010年公開のアニメーション映画を実写化した作品だ。 【動画】聴いたことがあるかも!? 日本オリジナル本予告映像  アニメ版は、『シュレック』『ボス・ベイビー』『野生の島のロズ』など、数々の世界的人気作を生み出してきたドリームワークス・アニメーションが手がけ、全世界で約5億ドルの興行収入を記録する大ヒットとなった。その後、2014年と19年には続編が公開され、スピンオフのTVシリーズも配信されるなど、長く愛される人気シリーズへと成長してきた。  シリーズの大きな魅力のひとつが、作曲家ジョン・パウエルによる壮大な音楽だ。アカデミー賞作曲賞にノミネートされた劇伴は、感動的なシーンや冒険の高揚感を際立たせ、日本のバラエティ番組やドキュメンタリーでもBGMとして頻繁に使用されてきた。映画を観ていなくても「どこかで聞いたことがある」と感じる人は多いだろう。  そんな『ヒックとドラゴン』が、実写映画としてスクリーンに帰ってくる。日本に先駆けて公開された海外では、北米およびインターナショナルの週末興行収入ランキングで2週連続1位を記録する大ヒットを収めた。  実写版の監督を務めるのは、アニメ版3部作を手がけたディーン・デュボア。そして音楽を担当するのはもちろんジョン・パウエルだ。彼は「往年のファンが“何も変わっていない”と感じられるようにすること」を意識しつつ、映像や俳優の演技に合わせてスコアを再構築。アニメ版の壮大なスケール感を受け継ぎながら、現代的なリアリティを音楽でも表現している。  パウエルは「アニメ版の音楽は非常に映画的で、他のアニメ作品よりも実写に近い感性を持っていた」と振り返る。実写化に際しては、過去の楽曲をそのまま再利用するのではなく、「アニメーションと実写ではタイミングやテンポ、強弱など、あらゆる面で変化が生じる。演技には一味違う重みが加わり、物語の伝え方にも新たな深みが生まれた。そのため音楽も進化する必要があった」と語っている。  さらに本作では、新たに書き下ろされた楽曲も加わった。登場人物たちの感情を丁寧にすくい取り、物語のテーマをより強く印象づけるこれらの新曲は、作品全体にさらなる深みをもたらしている。制作には2010年当時と同じプログラム、同じスタジオを用い、「ツールは進化しているが、楽譜が紙であれデジタルであれ、オーケストラ音楽を作る基本的なアプローチは変わらない」と、変わらぬ信念を強調している。  完成した作品についてパウエルは、「映像と音楽がうまく噛み合うことを願っていたが、最終的には私の期待を超えていた。すべてが一つになる瞬間を見るのは、滅多にない素晴らしい体験だった」と手応えを語っている。  少年ヒックとドラゴンのトゥースが育む友情と試練の物語。その中でパウエルの音楽がどのような魔法をかけているのか。“聞き覚えのある”旋律が、きっとスクリーンでより深い感動を与えてくれるに違いない。

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