アナ・デ・アルマス、火炎放射器アクションはノーCG! 大変すぎて「思わず泣いちゃった」

 現在公開中の「ジョン・ウィック」シリーズ最新作『バレリーナ:The World of John Wick』で主演を務めるアナ・デ・アルマス。今月初めに来日し、ジャパンプレミアでのファンとの交流も話題となった彼女にインタビューを実施。「ジョン・ウィック」ワールドに新たな血を注ぐ復讐の女神イヴを演じたアナが、過酷を極めた撮影の裏側やキアヌ・リーブスと再共演を果たした感想、さらにアクションへの思い入れを語ってくれた。【インタビュー第2弾】 【写真】来日したアナ・デ・アルマスが美しすぎる! 全身ショット<撮り下ろし>  幼い頃に父を殺され孤児となったイヴ・マカロは、ジョン・ウィックを生み出した闇の組織、ルスカ・ロマに引き取られ、暗殺者として育てられる。12年に及ぶバレエとサンボのスパルタレッスンを経て、過酷な最終試験にパスしてようやくプロの殺し屋デビューを果たしたイヴだったが、ふとしたきっかけで父を殺した謎の暗殺教団の情報を入手してしまう。イヴはルスカ・ロマの長・ディレクター(アンジェリカ・ヒューストン)からの警告を無視し、ひとり教団への復讐の道を歩み始めるが…。  彼女の復讐劇に加わるのは、シリーズを通してコンチネンタルホテルの支配人として登場するウィンストン役のイアン・マクシェーンや、ジョン・ウィック役のキアヌ・リーブスはもちろん、新たなキャラクターとして教団と繋がりを持つ謎の男ダニエル・パイン役に『ウォーキング・デッド』シリーズでおなじみのノーマン・リーダスらが参加している。 ■「最初から最後まで本当に大変な挑戦だった」 ──すばらしい作品でした。アクションシーンの見応えもすごかったのですが、一番難しかった挑戦は何でしたか? アナ・デ・アルマス(以下、アナ):私にとって最初から最後まで本当に大変な挑戦でした。トレーニング期間は3〜4ヵ月で、とてもハードでした。アクション映画には以前も出演したことがありましたが、これほどのレベルのものは初めてでしたね。最初は側転のやり方から教わりました。それが基本の動きなんですよ。それから映画で演じたあらゆるアクションを習得していきました。チームから戦い方の基礎をしっかり教わり、コレオグラフィーやアクションシーンを繰り返し練習しましたね。その過程で自分の得意なことやそうでないことがわかり、戦いのシーンは私の強みに合わせて調整しながら、本物のバレリーナのような繊細な動きも加えていきました。 ──メイキング映像を拝見しましたが、格闘技からナイフに銃の扱いまで、劇中のイヴと同様の厳しい訓練を実際に行っていました。あれほどの激しいアクションシーンを乗り越えるうえで、メンタル面で苦労はありましたか? アナ:いいやり方で取り組めたおかげで順調に上達し、精神面でも強くなって自信もつきました。ただ、セットに入ってからその場で即興で演じることも多かったんです。なので、多くのアクションシーンは撮影当日に作られています。だからこそ心を開き、チームを信頼することが大切でした。みんなが安全だと感じ、やるべきことを理解しているからこそ安心して臨むことができる。もちろん、シーンごとにそれぞれ違った難しさがあり、撮影が進むにつれて役柄と同じように私もどんどん疲れが溜まって、あざや痛みも増えていったけど……でも、この経験は本当にすばらしかったです。私にとって、努力している姿をスクリーンでちゃんと見せることが、観客に敬意を表すことのように感じていました。だから毎日、やるべきことを成し遂げられたり、それがうまくいったりした時、とても報われた気持ちになりました。 ──本作への出演や経験を通してアクション映画に対する印象や想いに変化はありましたか? アナ:最近、俳優が実際に体を張って演じるリアルアクション作品が増えているように感じています。もちろん、CGIやアクション映画、スーパーヒーロー映画などで使われるグリーンスクリーンの技術は今後も間違いなく必要になります。ですが、本作のように実際に俳優たちが挑戦し、キャラクターになりきっている姿を観たい、というニーズが増えたと思うんです。キャラクターのフリをするだけだったり、別の誰かの顔を使ったりするのではなく、本物の演技を見せてほしいと。だんだん現実に戻っていくような感覚があるし、それがこれからも大切にされていくべきだと思っていますし、そうなることを望んでいます。 ■キアヌは言うなれば“模範的なリーダー” ──本作では映画『ノック・ノック』(2015)、映画『エクスポーズ 暗闇の迷宮』(2016)以来のキアヌとの共演ですね。彼と再び一緒に仕事をしていかがでしたか? アナ:キアヌとまた一緒に仕事ができて、本当にうれしかったです。10年前に初めて会ったとき、私は英語が話せなかったんです。当時は今とは全く違った形のつながり方や友情がありましたが、あまりコミュニケーションが取れませんでした。だからこそ運命に導かれて、こうしてまた彼の世界であるこの映画の現場で一緒に仕事ができるのは、とても素敵なことでしたね。 ──キアヌの印象や、彼から学んだことなどは? アナ:彼はすごく寛大で、私たちがやっていることに本当に感動してくれるから大好きです。彼は私たちの技術やセットのみんなにとても敬意を払って接してくれる。そしていつでも何でも積極的に取り組むんです。彼は言うなれば“模範的なリーダー”で、決して自分の考えを押し付けるようなタイプじゃありません。一歩引いて、相手が自分のやりたいことができる空間を与えてくれる。そして必要な時には踏み込んでくれます。本当にすばらしいパートナーで、ただ彼を見ているだけで自然に多くのことが学べます。 ──キアヌも日本が好きで、特に来日時には必ず大好きなラーメンを食べるみたいです。 アナ:それはうれしい共通点! 私もラーメンが大好きなの! ■お気に入りの武器はアイススケート靴! ──アクションについて話題を戻しますが、あなたの演じる主人公のイヴは身の回りのものを何でも武器に変えて戦います。本作で一番印象に残っているアクションシーンや、お気に入りの武器を教えてください。 アナ:イヴはリモコンやズボン、お皿、手榴弾、それにアイススケート靴まで、本当に何でも使うから楽しかったです。特にアイススケート靴はかなりハードでしたね(笑)。あれを使って戦おうなんて考えたこともなかったから驚きました。レン(・ワイズマン監督)はこういったアイデアに対してとてもクリエイティブで、ある日急に「スケート靴をボクシンググローブのように使うのってどう?」って言い出したんです。私は「えっ、どうやるの?」って思わず聞き返してしまいましたが(笑)、実際に試してリハーサルをしてみたら、うまくいきました。あのシーンは本当に良い出来だと思っています。 映画では、そのシーンでそのまま氷の上で戦い始める場面があります。あれは本物の氷で、本当に滑りやすかったので転ばないように靴にスパイクをつけていたんです。そんなふうに、大変な撮影環境と向き合う必要がありましたが、それが戦いにリアリティを加えていて、とても迫力のあるシーンになったと思います。 ──しかも、イヴはその氷の上の移動をうまく利用して相手を倒していましたよね。 アナ:そうなんです。そこがすごく好きで。彼女はいつも先のことを考えていて、自分の空間や周りの状況に適応する力に長けているんです。そういうところが彼女の強みですね。大きな男性には筋肉があるけど、彼女には頭脳がある。そんな彼女を演じるのが本当に好きでした。 ■本物の火と格闘「CGIは使っていません!」 ──火炎放射器のシーンもどうやって撮影したのか気になるくらい激しかったです。 アナ:あれも本当にすごかった!(笑)。とても激しくて、本物の自然の力を相手にしていたのでとても怖かったです。火ももちろん、本物でしたよ。それに本物の水。CGIは使っていません! とにかく信じられないような体験でした。 ──まさか実際の火だったとは……。 アナ:火炎放射器もすごく重くて、火を動かす時の扱いが難しかったです。銃を撃つ時は撃ってから隠れることができますが、火を吹く場合はそうはいかない。人が動くと、そのまま火も動いてしまうからです。防火対策でまつ毛や髪にジェルを塗らなければいけませんでした。本当に、とても熱かったんです(笑)。実際に私が使っていたケープは本物の防火ケープで、それがとてもいい感じでした。他のアクション映画にはない、まさに「ジョン・ウィック」らしいシーンだと思います。このジャンルでしかありえないようなシークエンスですよね。このシーンの撮影も大がかりでしたし、映画全体もとにかく美しくて、シネマティックで壮大に感じます。ただ……とても大変でした(笑)。撮影で初めてスタントの方に火をつけるシーンを撮った時は、思わず泣いてしまいました。「本当にこれやるの?」って思ってしまったほど(笑)。 ■今作のイヴは「突進する雄牛のよう」 ──大変な経験でしたね(笑)。さて、本作のテーマは“復讐”ですが、イヴは最終的に彼女の復讐の結果に満足していると感じますか? アナ:そうですね……。ある意味、満足していると思います。でも、彼女はさらに深い痛みと悲しみを抱えることになります。というのも、復讐は時に満足感をもたらしてくれると思いがちですが、実際には自分にとってさらに悪い結果を招くこともあります。時に知らない方が痛みが少なかったりするのです。でも、現実は変えられない。彼女はこれからその結果を受け入れ、対処しなければいけません。復讐の代償として、さらに多くの問題が自分に降りかかることになるでしょう。 ──“結果”(consequence)は「ジョン・ウィック」シリーズのキーワードでもありますね。 アナ:まさしく。彼女は多くのルールも破りました。まるで突進する雄牛のようで、何者も彼女を止めることはできません。ただ、それはキャラクターの成長の一環であって、まだイヴはこの世界について学んでいる途中なんです。これはミッションでも仕事でもなく、ただ彼女自身の個人的な問題だった。単に勝手に行動したわけです。だから、彼女はルールを破ることの代償を学び、それを払っていくことになるんです。 ──彼女の今後への期待も高まりますね。 アナ:本当に! 私も楽しみです。 ──最後に、観客へのメッセージをお願いします。 アナ:シリーズのファンは、期待している通りのものを本作でちゃんと楽しめると思います。本作は「ジョン・ウィック」の世界観にとても忠実な作品で、アクションを存分に味わえるはず。皆さんが観たいと思っているアクションや、ジョン・ウィックはもちろん新しいキャラクターたちの活躍にもきっと喜んでくれると思います。ぜひ劇場でご覧ください! (取材・文:アナイス/ANAIS 写真:上野留加)  映画『バレリーナ:The World of John Wick』は公開中。

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