辞めるのか辞めないのか 自民党内で臨時総裁選を実施するか否かを判断することになり、石破茂首相(党総裁)の進退がこれまで以上に注目されている。首相の退陣は不可避と報じられてきたが、本当に辞めるのか、そのタイミングはいつか、永田町内でも諸説飛び交う状況が続いているという。 【実際の写真】スーツを脱ぎ捨てて“おめかし”した「石破首相の重臣」が会いに行ったのは? 「永田町の人間は石破氏の意思をはかりかねているというのが実情と言えるでしょうか。“首相の地位に恋々としないこと”と“首相の責任を果たし仕事を投げ出さないこと”を石破氏は大事にしているようですが、ある意味で真逆の方向性であり、辞めるのか辞めないのかなかなか判断がつかないということですね」 石破首相 と、政治部デスク。 直近の外交日程で言うと、20日に開幕した第9回アフリカ開発会議(TICAD9)、23日に来日する韓国の李在明大統領との会談、29日予定のインドのモディ首相の来日を済ませればしばらく予定されていない。首相がホスト役を務める日本開催の外交日程が相次ぐというのはなかなかレアケースなのだという。 総裁選前倒しは 「外交日程がひと区切りした後、党の参院選総括のとりまとめは9月頭に予定されています。“外交日程を済ませた後の、党総括の前”は一つのタイミングとしてあり得ると指摘する人もいますし、韓国とインドの首脳来日のあいだの日程がぽっかり空いていて、そこで“辞任示唆もあるのでは”と見ている人もいました」(同) そもそも石破氏の意向とは別に、支える側の人たちが辞める気になっているというのはこれまでにも指摘されていたことだ。 「石破政権を陰に陽に支えてきた森山裕幹事長は参院選総括のタイミングでの辞任をにおわせており、党執行部は同調すると見られています。その時点でもし石破氏がまだ辞意を表明していないとしたらかなり厳しい事態に陥ることになります。そのころには総裁選前倒しの検討が進んでいることでしょう」(同) 前倒しを決定するには所属国会議員と47都道府県連代表を合わせた数の過半数の賛同が必要になるわけだが、仮にそれを石破氏がくぐりぬけたとしたら、新たな党執行部を立ち上げて10月上旬に招集予定の臨時国会に臨むことになる。 内閣支持率の上昇で 「衆参両院で過半数割れしていますから、どこかの野党を連立に引き込むか法案ごとに野党の顔色をうかがって話を進めていかざるを得ません。いばらの道ですね。連立に引き込むターゲットとして名前の出る維新はハッキリと“石破政権には手を貸さない”と言っており望み薄。となると政権は行き詰まる運命にあると言えるでしょう」(同) そういった未来を見すえているのかはともかく、石破氏は何を考えているのだろうか。 「なかなか本心がつかめないというのが周辺の見方ではないでしょうか。参院選後に内閣支持率が上昇したという各社の報道がありましたが、それを石破氏はことのほか喜んでいるとか。それを受けて“期待があるうちはまだ続けなければ”との考えを示すことがあるようですが、一方でどこかのタイミングで身を引く意思を感じさせる発言もあり、スタンスが首尾一貫していないと不審に思う周辺もいるようです。支持率は上昇しても不支持率よりは低いままなので手放しで喜べるものではないのかもしれませんが、そこはあまり気にしていないのかもしれませんね」(同) あなたがやらなくても大丈夫ですから 過去のケースから見れば、辞めないという判断がかなり常識外なため、永田町のプロたちも展開が読みづらいようなのだ。石破氏とは20年来の付き合いという知人はこう語る。 「普通ならば、空気を読んで辞めるでしょうが、もともと空気を読むといったことに向いていない。読もうという意識もさほどないのでは。だからこそ麻生氏含め、大物にかわいがってもらうようなことができなかったわけです。ただ、地位に恋々としないというのもおそらく本音でしょう。無理してまで首相になる気はないと常々口にしていましたから。単に目の前に自分がやったほうがいいと思える仕事がある、だからやる、というシンプルな思考法だと思います。人気が高い頃、派閥と関係なく頼まれれば応援演説に出向いていたのも、“頼まれたからやらねば”という程度の考えで、あまり計算がない。目の前になにかあるとやらねばと思うのではないでしょうか。交代させたいのならば、政局的に動いて引きずり下ろすよりは、次の体制を整えて、“あなたがやらなくても大丈夫ですから”と示したほうがスムーズなのでは」 デイリー新潮編集部