あと1本が出なかった山梨学院、梅村団主将「後輩には自分たちを超えてほしい」

 第107回全国高校野球選手権大会第14日の21日、山梨学院(山梨)は準決勝で沖縄尚学(沖縄)に4—5と逆転負けした。  県勢初となる夏の甲子園の決勝進出はならなかった。山梨学院は、六回表までに沖縄尚学のエース末吉良丞投手を攻略して3点をリード。しかし、六回裏に3連打と失策が絡んで同点とされると、七回に勝ち越しを許した。1点を追う九回は二死走者なしから連打で好機を作る粘りを見せたが、あと1本が出なかった。 沖縄尚学5—4山梨学院 「超えてほしい」 後輩へエール梅村団主将  「昨夏の記憶はよぎらなかった」。1点を追う九回二死。山梨学院の3番梅村団主将が打席に入った。追い込まれた後の5球目。変化球をたたくと、遊撃強襲の内野安打に。後に続けとばかりにほえて、仲間を鼓舞した。  昨夏の山梨大会準々決勝。梅村主将の遊ゴロで試合を終えた。1、2年生は休養を取らず、その日から打撃練習を始めた。「来年はやり返して甲子園で勝ち上がる」。そう目標を定めた。  入寮時に「この世代で全国制覇します」とあいさつするほど思いが強い。主将になると、率先してチームのことを考えた。  今春の選抜大会は2回戦での敗退。「指導者頼りではなく、自分たちで考えて練習しないと夏は勝てない」と仲間に伝えた。部員全員で週1回、ミーティングを開くようになり、レギュラー外の選手からも意見が飛び交うようになった。「団を日本一のキャプテンにしようとみんな頑張った」と、平野天斗選手は振り返る。  迎えた今大会。準々決勝の京都国際(京都)戦を前に、宿舎でレギュラー以外の選手らが、相手エースの癖を書き込み、対策を練るなどして勝利を下支えした。  九回、後続の4番横山悠選手が左前打。二塁上で「みんなならかえしてくれる」と願ったが、最後の打者が捕飛に打ち取られた。  「悔しいけど、いろんな人の助けでここまで来られた。後輩には自分たちを超えてほしい」。大きな成長を感じた主将の目に涙はなかった。(伊能新之介) 8打数連続安打の横山悠選手 大会タイ記録  一回二死二塁、4番横山悠選手は甘く入った直球を快音とともに右前に流した。先制点が入るとアルプスに向けガッツポーズ。史上6人目となる最多8打数連続安打のタイ記録を達成した。  山梨大会では打率3割8分5厘だったが、部長のアドバイスで打撃時の肩の使い方を見直した。すると、甲子園では準々決勝終了時点で8割に達し、強力打線の要となった。前日の20日も相手エースを攻略しようと約4時間かけて動画で研究し、配球の癖などを見つけた。  追い込まれた九回二死には梅村団主将に続いて安打を放ち、逆転を狙う好機を演出。塁上から後続打者に向け、「つなげ!」と最後まで声をかけ続けた。  捕手としては2年生投手2人をリード。七回に勝ち越しを許した後も、檜垣瑠輝斗投手の動揺を抑えようと「お前の投球を変えるな。俺が打つ」と鼓舞した。  「初の4強入りを達成したが、勝ちきれず悔しい。1年間頑張って日本一を達成してほしい」。ともに戦ってきた後輩たちに夢の続きを託した。 ゲン担ぎのひげ伸ばし吉田正校長がエール  アルプス席では、勝利への験担ぎでひげを伸ばしている吉田正校長(69)が選手の活躍を見守った。  2021年に就任し、23年春の選抜高校野球大会で県勢初優勝を果たした。1回戦から自身のひげをそらずに蓄えてみたところ、願いがかなったという。  その後の甲子園出場時も同じようにしてみたが、思うような結果を収められず、ここ1年半ほどはひげを「封印」していた。  今大会の初戦、聖光学院(福島)戦では、終盤までもつれる接戦を制した。初優勝した23年選抜の初戦でも2点差の接戦を制し、勢いに乗ったことを思い出し、験担ぎを復活させた。  「夏にかける思いが選手たちから伝わってくる。声を届け続け、祈りながら応援するだけ」。強い日差しの下、ひげについた汗を光らせながらエールを送った。

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