【解説】猛暑続く今夏…相次ぐ水辺の事故をいかに防ぐ?「every.しずおか」津川アンカーが検証(静岡)

猛暑が続く2025年の夏。海や川、水辺のレジャーでの事故が全国で相次いでいます。 静岡県内でも8月、沼津市の門池で男子高校生2人が溺れて死亡するという痛ましい事故がありました。2人はボート部の部員。部活の後、池で遊んでいたところ深みにはまったと見られています。 2025年ことし、静岡県内で発生した水難事故は36件。死亡、行方不明は計17人と2024年の同じ時期と比べ、どちらも大幅に増加しています。県は、5日から18日まで「水難事故多発警報」を発表、現在も注意報を出して事故防止を呼びかけています。 なぜ水難事故は起きてしまうのか?専門家は…。 (水難学会 斎藤 秀俊 理事) 「泳ごうと思うのがいけない、“浮く”という風に思えば簡単に浮ける」 水辺のレジャーは、お盆を過ぎても注意が必要です。水難事故にあわないためにはどうすればいいのか考えます。 (スタジオ解説 (津川 祥吾 アンカー) このコーナーは私、津川の視線で選んだ話題を取り上げるコーナーです。 きょうのテーマはこちら「水難事故どう防ぐ?もしも大切な人が溺れたら…」 水難事故は他人事ではありません。自分自身や大切な人が目の前で溺れるようなことがあった時どう行動すればいいのか、ぜひ皆さんも一緒に考えながらご覧いただければという風に思います。 先ほどもご紹介いただきましたが、県内でもですね、2025年に入り水難事故が36件起きています。亡くなった人、行方不明になった人は、それぞれ、今、増えてるという状況ですね。分類すると、ご覧のようになっております。 ▼門池 事故概要 8月、沼津市の農業用のため池「門池」で、高校生2人が亡くなるという非常に痛ましい事故が起こりました。1人が溺れていたところを、もう1人が助けようと手を差し伸べたところ引きずり込まれていってしまったということです。事故はなぜ起こってしまったのか?専門家に改めてうかがいました。 (水難学会 斎藤 秀俊 理事) 「今回みたいな溜め池の構造だと、多分、体が1回垂直の形になって、そのまま沈んだんではないかと推測できる。垂直立ちになって、足がつかないと、人間、相当の泳力がない限りは沈む。何でかというと、日本の教育で、足のつかないところから泳ぎ始めるというテクニックはどこも教えてない。だから、1番に気をつけなければいけないのは、水の深み」 (津川 祥吾 アンカー) ▼門池 事故概要 水辺では、何よりもまず「深さ」に注意が必要ということです。事故があった現場ですが、陸地から5メートルぐらいまでは1メートルの深さらしいんですが、その先急に3メートルに深くなって、さらには5メートルという深いところがあったということです。 ▼光の屈折 この水の深さなんですが、これ理科の授業でやったと思いますけども、この水の中に入ると光が屈折します。ですから見た目では浅く見えても、実際にはとても深いということが実際に起こりうるということですね。 増田さんは、水のレジャーで危険な目にあったことってありますか? (コメンテーター 増田 英行 弁護士) 恥ずかしながら、あるんですけど、若い頃にサーフィンをやっていてですね、よせばいいのに、台風が近づいていて、波が高くて面白かろうと思って、海に行ったんですね。ところが、波の上から落ちてしまったら、もう本当に見た目以上に、波の中が洗濯機のように回っていて、ち上がろうにも立てなかったんですね。本当に死ぬかと思いました。 (徳増 ないる キャスター) 私は川に遊びに行った時に、見た目よりも…やはり入った時に、少し浅いなと思ったけれど、少し深さがあって…水の勢いって、やはり力がすごく強いんですね。怖いなと思いました。 (津川 祥吾 アンカー) ▼溺れたら では、自分が溺れそうになった時にどうすればいいかと。キーワードは「浮いて待て」ということですね。「泳ごうと思ってはいけない」ということで、まず、浮くということが必要になってきます。 (水難学会 斎藤 秀俊 理事) 「泳ごうと思ういうのはいけない、浮くっていう風に思うと簡単に浮ける」 水難学会では「浮いて待て」をキーワードに全国各地で講習会を実施。水難事故の削減を目指しています。 (水難学会 斎藤 秀俊 理事) 「泳ごうとすると、体が垂直になる。体を垂直にすると人間本当に沈むんですよ。人間の体は、元々水に浮くか沈むかのギリギリの所にあるので、そうしたら、空気を、ちゃんと肺の中に入れてれいれば人間浮く。浮こうと思うと、水平、つまり背浮きとわれわれ言っているが、大の字で横になるってことです」 (津川 祥吾 アンカー) ▼「県立ども病院」広報誌 今の小学校の水泳授業でもですね、「背浮き」とか、あるいは「着衣泳」というのをやっていますので、お子さんたちは経験をしてる人が多いかと思います。私たちも泳ぐ練習で「背浮き」をやったことあると思いますが、最近は水難事故防止のために「背浮き」ということを皆さん、訓練されているはずです。ただですね、小さなお子さんについては、さらに、別途、注意をする必要があるということで、こちらちょっとご覧いただきたいんですが…「県立こども病院」のですね、広報誌になります。水難事故への注意が呼びかけられています。 「こども病院」でですね、まず、こちらの、センター長が書いていますが、数cmの水進で20秒でも水難事故というのは起こりうるんですと。また、お子さんの場合ですね、多くは、暴れたり騒いだりしないケースがあって、非常に静かに起こってしまうということがあります。なので、最も大事なことは、常に目を離さず、大人が監視をすることだということですので、家庭のプールなどで遊ぶ時も、ぜひ、ご注意をいただきたいということです。また、子どもに限らずですね、水のレジャーどこに注意をすればいいかということを、最後にまとめました。水辺によって若干違います。 ・例えば海ですと、離岸流…、浜から沖の方に流れていく強い流れがあることがありますから、こういったものに注意が必要です。 ・川の場合は、上流の雨で一気に増水をするということもあります。また、先ほど徳増さんがおっしゃったように、見えないところ に深いものが急にあるということもあるかもしれません。 ・プールは、基本的に安全なんですけれども、わずかな時間でも溺れてしまうことがありますので、特にお子さんに対しては、周りの人がしっかりと監視をするように…ということを注意いただきたいと思います。 ・そして湖や池なんですが、これはプールと違って、泳ぐようにできていません。中には急に水深が深くなっているというところもありますので、そういったところも、ぜひ注意をしていただきたいと思います。 そして、もし、人が溺れているのを見た時に「何をしなければならないのか」、そして「何をしてはいけないのか」ということですが…。 ・まず溺れてる人がいたら…知らせる。119番、118番。118番というのは海上保安庁ですね。「海の『もしも』は118番」と言いますが、119番か118番、そういったところに、まず知らせるということが1番。 ・そして投げる…というのは、ペットボトルなどの浮力のあるものを、ぜひ、溺れている人の近くに投げてください…ということですね。 ・そして声をかける…安心をさせるということです。先ほどもありましたが、慌ててですね、泳ごうとしてしまうと、かなり、余計に危なくなってしまうので、安心させるように「浮いて待つんだだよ」というようなことを声かけをしてほしいということです。 そして、一方でやってはいけないというのがこちらです。 ・助けようとして安易に飛び込んではいけない…本当に明らかに浅いところなら駆け寄ってもいいのかもしれませんが、浅くないかもしれません。そういったところには、ぜひ、飛び込んではいけないということを、皆さんも改めて考えていただきたいと思います。 ここまではですね、なるほどなと思われる人が多いと思います。もう、よく聞く話でもありますし、「そうだよね。自分もそうしよう」と思う人も多いと思うんですが、あえて、私、ここからもう1つ皆さんに問いかけたいことがあります。こちらです。 ▼自分の子どもや孫が溺れかけている時に、あなたは飛び込まずにいられますか? 実は私、自信がありません。自分の子どもが溺れていたり、あるいは自分の子どもでなくてもですね、小さなお子さんが溺れているのを見かけたら、本当に飛び込むんじゃないかと…私自身思ってしまいます。これはですね、実は心理学的にも、親が子どもを救おうとするのは、本能だという風にもいわれていて、生理的な本能ですから、それはなかなか止められない…そうなんですね。やめましょうと言ってもで、また助けなければ一生後悔するという思いも多分みなさんあると思います。子どもの命を優先して自分の命よりも、子どもの命を助けたいと思う人も多いと思います。ただですね、それであっても、安易に飛び込んではいけないということを、あえて、みなさんに申し上げたいと思います。 親が一緒に沈んでしまえば、家族には二重の悲しみになります。だからこそ、この本能に、実は、逆らう必要があるんですね。本能に逆らうということは、現実的には本来はできません。何をすべきかというと…、この衝動、「飛び込みたい」という衝動を、より子どもを助けるという行動に置き換える。ぜひ、やっていただきたいんですね。それが、まさに先ほどの3つになります。 飛び込みたいと思ったら…まず「知らせる」、「投げる」、「声をかける」。この私たちの思い、強い思いとして、ぜひ、やる必要があるのではないかと思いますし、また、ご本人1人で考えるのではなくて、家族みんなで考えるということが必要だと思います。水辺に遊びに行く時には、ぜひ、ご家族で、事前に、こういったお話し合いもしていただきたいと思います。そのことが、子どもを守り、また、二次事故、急護者事故というものを防ぐということにつがると思います。せっかくの夏です。楽しい思い出にするために、ちゃんとですね、皆さんも、ぜひ、このことを心にとどめておいていただきたいなという風に思います。

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