第１０７回全国高校野球選手権大会第１３日の１９日、準々決勝４試合が行われた。 　山梨学院（山梨）が昨夏覇者の京都国際（京都）に大勝し、初の準決勝進出。２０日は休養日。抽選で組み合わせが決まった準決勝は２１日に行われる予定。 山梨学院１１—４京都国際 　山梨学院が１３安打１１得点で大勝した。二回、横山の本塁打で追いつき、敵失で２点勝ち越した後、鳴海の犠飛、宮川の適時打で突き放した。京都国際は西村がつかまり、終盤の反撃も及ばなかった。 直球狙い打ち１３安打１１点 　京都国際のエース西村が自信を持つ球種の一つが、打者のタイミングを崩すチェンジアップだ。山梨学院は一体となった攻めで、その武器を封じ込んだ。 　号砲は４番横山の一発だった。１点を追う二回に先頭で右打席に入った。チェンジアップの誘いには乗らず、２ボール１ストライクに。４球目の内角高めの直球を左翼ポール際に運び、「１球で仕留められた」と振り返った。 　５番平野も「（振るのを）我慢できた」とボール球のチェンジアップを２度見逃し、フルカウントから直球を左前へはじき返した。相手の捕手・猪股は「チェンジアップをしっかりと見られている」と直球を増やしてきたが、続く万場はその直球を右前に運んで好機を拡大。敵失で２点を勝ち越した後、１番鳴海の犠飛、２番宮川の適時打も直球を捉えたものだった。 　山梨学院では普段の練習試合から相手投手攻略のために作戦を立てて臨んでいるという。準々決勝に向けては前日に西村の投球映像を念入りに確認し、「膝の高さの球は落とされることがある。ベルトより上の球を振っていく」（主将の梅村）ことを徹底した。 　低めに落ちるチェンジアップを見切ることに成功し、大会屈指の左投手・西村に「相手が上だった」と脱帽させた。打線の実力を十分に示す勝利となった。（松本慎平） 昨夏の歓喜知るエース、制球に苦しむ 　連覇を目指した京都国際・西村の挑戦が終わった。「自分が打たれて負けてしまい、本当に申し訳ない」。この日は自慢のチェンジアップの制球が今一つ。「警戒しすぎたのもあったが、自分の制球ミス」と、６回で５四死球を与えた。連続四死球と安打で満塁のピンチを背負った五回は、菰田に走者一掃の三塁打を浴びた。「研究されていたと思うけど、自分の球が通用しなかっただけ」。１年前、歓喜の輪の中心にいたエースは言い訳しなかった。 ４番・清水詩太、食らいついき先制打 　京都国際の４番清水が、先制点をたたき出した。一回一死二、三塁。エンドランのサインが出た５球目で、低めの直球に食らいついた。打球は高く弾み、三ゴロの間に三塁走者が生還した。しかし、その後は快音が響かず、「悔いがないと言えば、うそになる」と唇をかんだ。 　京都国際・小牧監督「山梨学院さんが強かった。完敗です。最終回に意地を見せてくれたのは、この１年間の成長だなと思う」 　山梨学院・吉田監督「たくさんバットを振り、体を鍛えてきた努力の成果。横山、平野、万場がうまくつながればと思っていた。うちのいい形が出た」