子どもを別世界へと誘う絵本や図鑑、テレビ。適切な関わりで豊かな感性や知性を磨く土台に

子どもは自ら育つ存在です。とはいえ、子育ては簡単なことではありません。子どもへの対応が昨日はうまくいったのに、今日同じようにしてもまったくうまくいかない、ということも起こります。大きな声で泣き出すわが子を見て、対処法がわからず「どういうことなの!」と途方に暮れることもあるでしょう。 子どもの育ちは、まわりの人やもの、場の雰囲気などに支えられています。大人たちが「おいしいね」とパクパク食べていると、同じように口を動かし始めます。人は「させられる」より「する」存在。子どもに対しても、「する」気持ちを呼び起こし、支える関わりが大切なのです。 今回は、子どもが本を読んだりテレビを見たりする際に心がけたい、「子どもが伸びる接し方」について見ていきましょう。 「やりたい」を引き出す! 宮里先生の子どもが伸びる育児のレシピ 第7回 『切り貼りやお絵描きが楽しい!子どもの表現を大切にして創造力を育もう』より続く。 お気に入りの本から子どもの興味を知り、大事に受け止める 子どもが小さいとき、本を持ち歩いたり、同じページを見続けたりする姿を見かけることがあります。 本を手に持つというのは、子どもにとって特別な意味があるようです。そこに載っている絵や写真が好きだったり、お話が気に入っていたり、ママやパパに読んでもらえたことがうれしかったり……。「この本が大好き」「大事だからずっと持っていたい」という気持ちの表れなのでしょう。 お気に入りの本からは、その子の“今大事にしたいテーマ”が見つかることもあります。とくに自分の思いを言葉で伝えるのがむずかしい時期は、子どもが何に興味を抱いているのかを知るヒントになります。大事に受けとめてほしいと思います。 「大好きなんだね」と、子どもの気持ちに寄り添った声かけができるとよいでしょう。子どもが小さいときなどは、こちらがにこにこしていると、持っていた本をスッと渡してくることも。「読んで」の合図ですから、喜んで読んであげましょう。 【接し方のヒント】 (1)子どもの“好き”の気持ちに共感する 「いつも大事に持っているよね」など、本人の気持ちに寄り添う声かけをすると、子どもは共感してもらえたことにうれしさを感じます。読んでもらおうと、自分から本を持ってきたりします。 (2)ほかに好きそうなテーマの本を手に取りやすいところに置く 本への興味が高まっている様子なら、ほかにも子どもが好きそうなテーマの本を手に取りやすい場所に置いておきましょう。読みたい(読んでほしい)気持ちがわき起こるかもしれません。 子どもの好きな本を読み聞かせして感性や知性を育む 寝る前に本を読んでもらうのを楽しみにしている子どもは多いものです。同じ本を何度もくり返し読んでほしがることも、あるあるです。 絵本や図鑑は、子どもにとって別の世界につながる魔法の扉です。お気に入りのページを開き、絵や写真を見て楽しむのはもちろんのこと、ママ・パパの声で読んでもらうと、特別な記憶として心に残ります。その体験が、豊かな感性や知性を育む土台となるでしょう。 本を読んであげる時間を大事にしたいという思いはありつつ、親としては、疲れていると「もう1回読んで!」がつらいときもありますね。無理はしなくて大丈夫。できる範囲で付き合い、切り上げるときは“サッと”。「また次がある」と子どもが思えたり、気持ちを切り替えたりしやすい声かけを意識できるとよいでしょう。 1〜2歳の頃は、子どもがお気に入りのページを開きたがったり、ページを次々にめくったりすることがあります。そんなときは、すべてを読むことにこだわらず、子どものペースに合わせてかいつまんで読むのもアリ。いっしょに楽しく読むことが大事です。 【接し方のヒント】 (1)“読んでほしい”という思いは否定せず受けとめる 子どもの気持ちへの共感は大事にしたいところです。「もう○回も読んだでしょ」などと拒むのではなく、「本当にこの本が好きだね」など、読んでほしいという子どもの思いを受けとめましょう。 (2)切り上げるときは“次”を提案しよう 「もうおしまい」など終わりを示すと、子どもは途端にがっかりします。それよりは、「お皿を洗ってくるね」というふうに別の用事があることを伝えて、「また明日ね」など次があることを示し、サッと行動しましょう。 テレビ番組の見せる・見せないの線引きは、柔軟に対応して たまたまテレビでやっていたアニメを子どもが気に入り、それ以来くり返し見たがるものの、途中に怖いシーン(暴力的、残虐的)があるので、見せていいものかヒヤヒヤしてしまう……。テレビ番組などの見せる・見せないの線引きは、どのように考えたらよいのでしょうか? すべてを制限するのも違うのではないかと思う人もいるでしょう。 どんなものを子どもに見せるか、あるいは見せないかというのは、人それぞれ価値観の異なる部分であり、家庭ごとに責任を持って考えていきたいところです。ただ、“見せるつもりがないものを知らないうちに子どもが見ていた”という状況を避ける努力は必要だと思います。テレビや動画も文化のひとつ。年齢が低ければ低いほど、大切なわが子がどんな文化に出会っているか、どんな情報を得たかを親が知っていることは大切です。 一方で、たとえば昔話などには、「舌切りすずめ」ですずめが舌を切られるなどショッキングな場面もありますが、物語から得られる教訓もあります。文化と出会うという意味では、表現のみに注目してOK・NGの線を引くのは、考えものかもしれません。 できるだけ柔軟に考え、ときにはお子さんが見たがるものをいっしょに見たり、逆にお子さんに出会わせたいと思うものを、親子でいっしょに楽しむのもいいでしょう。ドキッとする場面が出てきたとしても、「今のはちょっと怖かったね」「だけど、最後はこうなってよかったね」など気持ちを共有できれば、それも子育ての時期ならではの大事な体験になりえます。親子でたくさんの文化と出会い、味わっていきましょう。 『子どもが対話する力を磨き、感性を豊かにしていくには、どんな遊びを選ぶのが正解?』へ続く。 『「やりたい」を引き出す! 宮里先生の子どもが伸びる育児のレシピ』(宮里 暁美 監修) 講談社より発売中! 【つづきを読む】子どもが対話する力を磨き、感性を豊かにしていくには、どんな遊びを選ぶのが正解?

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