【戦後80年】戦争の記憶語り継ぐ活動続ける83歳の男性…胸に秘めた亡祖父との誓いとは(静岡)

2025年は戦後80年NNNでは「今を戦前にさせない」をテーマにお伝えしています。戦後生まれが人口の9割を占める今、戦争の記憶を語り継ごうと活動する83歳の男性がいます。胸に秘めているのは亡くなった祖父との誓いです。 4月、静岡市で開かれた「平和祈念式典」。 出席者は560人。ほとんどが戦没者の遺族からなる県の「遺族会」の会員です。約60年前、会員は6万3000人余りいましたが、高齢化が進み2割まで減少。2020年には、西伊豆町の遺族会が会員数の減少から活動が困難になり解散しました。 この日「平和の語り部」として壇上に立ったのは御殿場市遺族会の横山俊英さん83歳。 (御殿場市遺族会 横山 俊英さん・83歳) 「名前が書かれた紙きれ一枚の遺品に、祖父は『遺骨は紙一枚だぞこんなことってあるもんか』と、怒り泣きながら小学6年生の孫である私に悔しさを訴えた、70年前のあの 時の光景を私は忘れません」 横山さんは「語り部育成推進委員会」の委員長をつとめ、次世代の語り部育成に力を入れています。戦争の記憶を語り継ごうと活動する理由。それは「祖父との誓い」にありました。 自宅で見せてくれたのは親族の写真。 (御殿場市遺族会 横山 俊英さん・83歳) 父親の弟にあたる叔父横山重利さんと一正さんです。 重利さんは日中戦争や太平洋戦争に従軍。1943年ニューギニア方面で攻撃を受け29歳で命を落としました。一正さんは戦闘機操縦員として1936年、空中戦闘訓練中に仲間の機体と接触し3000メートル上空から墜落。27歳で亡くなりました。 相次いで息子を亡くした祖父・兼重さんの当時の日記です。 (横山さんの祖父・兼重さんの当時の日記) 『午前11時35分頃電話。一正衝突墜落重傷と。何とも言い知れぬ不安な気持ちで一杯だ。どうか生あれと神に念じつつ…悲しく ねむれど ねむれず』 (御殿場市遺族会 横山 俊英さん・83歳) 「おじさんが乗っていた飛行機の残骸の一部です。祖父が葬式に行って現地を見た時に拾った」 愛するわが子が懸命に生きてきた証である飛行機の残骸。そして、戦地から届いた手紙。祖父は大切に保管していたといいます。 (御殿場市遺族会 横山 俊英さん・83歳) 「おじいさんは、遺品から3人の息子のアルバムとか日記帳とか、それから勲章とか、それらを取り出して私に説明するわけですよ。なんていうかね、自慢話、それから悲しい話、そういったようなことを何回も聞かされてきました」 戦後、祖父の兼重さんは、戦争で多くの若者が命を落としたことを後世に伝えようと遺族会で協力し「慰霊碑」を立て、毎年、慰霊祭を開くなど活動していたといいます。その祖父の背中を幼いころから見て育ってきた横山さん。21歳になる年、実家の後を継ぐと共に、戦争を後世に伝えるための活動を引き継ぐ選択をする時がきたといいます。 (御殿場市遺族会 横山 俊英さん・83歳) 「川崎で就職していて祖父が私にいったんですよ。おまえは帰ってくるんだと。わたしは抵抗してすぐには分かったと返事ができなかった俺はやっぱり家を継ごうと、ここを継ごうということをおじいさんに言おうとしたんだけども、おじいさんはがんで亡くなっちゃったんですよね。で、それが今、私がものすごく悔いに残っている。生きている時にね、おじいちゃん、安心しろ、俺がこの後を継ぐからと言ってやりたかったんだよね。で、それができなかったから非常に苦しんだ。だから遺品もね、ちゃんと残してやろうという風に思ったんだよね」 直接交わすことのできなかった祖父との約束。現在では、自宅の一室を「遺品館」と名づけ、遺品の数々を大切に保管。戦争がもたらした悲しみや惨劇を後世に語り継ぐため活動を続けます。 (御殿場市遺族会 横山 俊英さん・83歳) 「小学生にも見てもらいたいなと思ってますね、要は親類以外の方にね、見ていただきたい。おじいちゃんがやってきていることの背中を見てきて今やっているんです。だから今度は私たちも自分の息子達に背中を見せたりそして長く続ける。このことを忘れないようにしていきたい。そう思っています」

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