なぜ信号は緑なのに「青」と呼ぶ?日本独特の呼び方の理由と歴史とは

なぜ信号機の「青」は実際には緑色なのか?日本独特の呼び方の理由と歴史  クルマの信号機で「進行可」を意味する青信号は、よく見ると緑色をしています。  この矛盾に気づいたことがある人も多いのではないでしょうか。 【画像】これが「世界に一つだけの超激レア信号機」です(17枚)  実は、この「緑なのに青と呼ぶ」現象には、日本の文化と歴史が深く関わっているのです。 見るからに「緑」だけど…「青」と呼ぶ不思議! なんで?  車両用の信号機は、向かって左側から青色・黄色・赤色となっています。  道路交通法施行令第2条によると、それぞれの色には次のような意味があります。  青色は直進、左折、右折ができることを示します。黄色は停止位置を越えて進行してはならないことを意味し、ただし黄色信号が表示されたときに停止位置に近接しているため安全に停止できない場合は除かれます。  赤色は停止位置を越えて進行してはならないことを示しています。  そもそも交通信号機に使用される色は、日本が独自に決めたわけではありません。  国際照明委員会(CIE)によって「赤、黄、緑、青、白」の5色が信号機の色として定められており、このうち交通信号機には遠い距離からでも人間が認識しやすいといわれている「赤・黄・緑」の3色が使われています。  海外でも日本と同様に緑色が「進行可」、赤色が「止まれ」を意味します。  アメリカやイギリスなどでは青信号のことを「blue(青)」ではなく「green(緑)」と呼び、共通してグリーンライトやグリーンシグナルと呼ばれているのです。  ●日本で「青信号」と呼ばれるようになった経緯  日本で初めて電気の信号機が導入されたのは1930年(昭和5年)のことでした。  東京の日比谷交差点に設置された際、アメリカ製の「緑色・黄色・赤色」の3色灯器が使用され、それ以降全国で電気信号機が広まっていきました。  当初は海外にならって信号機の色を「緑色・黄色・赤色」と決めており、法律上でも緑色信号と定められていたほか、緑信号と呼ばれていました。  しかし、信号機設置のニュースを扱った新聞記事などが「青信号」と記載したことで「青信号」という言葉が広がったといわれています。  その後、青信号という言葉が定着し、1947年に制定された道路交通取締法(道路交通法の前身)において、信号機を緑色ではなく「青色」と表記するように改正されました。  ●日本人が緑を青と呼ぶ文化的背景  なぜ新聞が緑信号を青信号と表現したのでしょうか。  その理由としては、日本人が古くから緑のものを青と呼んでいたことが影響しているとみられます。  現代でも緑色のものを青と表現する言葉として「青汁」や「青葉」などが残っています。  日本人は、瑞々しい緑色の野菜や春の鮮やかな新緑、緑の芝生などを”青々としている”と表現してきた民族なのです。  この緑色を青色と表現する日本独特な文化的背景と、光の三原色と同じ赤、青、緑と呼ぶ方が分かりやすいことから、青信号という呼び方が定着していったといわれています。  ●日本の信号機は「青みがかった緑色」  日本では色を認識しづらい色弱者の方への配慮として、青信号を「青みがかった緑色」で表示するよう調整しています。  1971年以降に作られた信号機の色は見分けやすい青に近い色に定められており、日本の緑信号の灯火は世界のなかでも青寄りの光源を採用しているのです。  過去の取材で警視庁交通課の担当者は以下のように説明していました。 「1930年に信号機が設置された当初から、赤色、黄色、緑色を使用していました。  当時は法令的にも緑色信号と呼ばれていましたが、日本語の場合、野菜や樹木や青物を表現する青々としているなどと表現する文化と、光の三原則の意味合いもあり、現在では青信号と呼ばれるようになったといわれています」  最近ではLEDランプでも青色に近いものを見かけるようになってきました。  そのため今後、LED信号機の普及に伴って限りなく青色に近い信号機になっていく可能性もあるといいます。  ●信号機の配置にも理由がある  ところで、一般的な横型信号機の灯火の色は、左から青・黄・赤と配列されています。なぜ左側が青色なのでしょうか。  その理由は、一般的に日本は右ハンドルのクルマが多いため、赤信号を右側に配置したほうが見やすいほか、街路樹の枝葉などで「赤信号が隠れる」おそれを低減できるからです。  もっとも重要な赤信号は道路の端から中央寄りに配置され、看板や街路樹で信号が隠れてしまっても、ドライバーから見やすい位置に設置することが目的となっています。  同様な理由で、降雪量の多い雪国では雪が積もりにくいよう「縦型の信号機」が設置されていますが、こちらも赤信号が目立つよう「最上段」に配置されています。  縦型は上から赤・黄・青と順番が決められており、信号機に積雪しても重要な赤色がしっかり見えるように配慮されているのです。  ●世界の信号機事情  ちなみに海外でも信号機の色を別の名称で呼ぶケースがあります。  イギリスでは基本的に黄色信号を「yellow(黄色)」ではなく「amber(琥珀色)」と呼びます。国や地域によっても細かい差異があるため、旅行に行ったときは確認してみるのもいいでしょう。  信号機の歴史は、1868年のイギリスが最初といわれています。  当時のロンドンでは、馬車の交通量の増加に伴い、道路を横断する歩行者が轢かれるなどの事故が多発しはじめ、ロンドン市内に「2色式交通信号機」が設置されました。  その後、1918年には米国で初めての電灯を使った「3色式自動交通信号機」が設置されます。  日本での信号機の歴史は1919年の大正時代で、東京・上野の広小路交差点に「信号標板」が日本で初めて試験設置されました。  当時は「進メ」「止レ」と書かれた板を、警察官が操作する手動式でしたが、通行者が信号標板の意味が理解できず、多くの通行者が戸惑い、広く認識されるまで相当な時間を要したといわれています。 ※ ※ ※  スムーズな交通の流れと車両などの安全運行にとって、なくてはならない交通信号機。 「緑なのに青信号」という日本独特の呼び方には、古来からの日本人の色彩感覚と文化が深く関わっていることがわかります。  最近では、ほとんど見た目は青に近いような信号機も増えてきました。  今後はさらに新しい形へと変化していきながら、交通安全を守るための機能として進化していくといえるでしょう。

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