精密機械製造会社「大川原化工機」（横浜市）に対する違法捜査を巡り、警視庁は７日、幹部が捜査指揮を怠り、誤った逮捕につながったとする検証報告書を公表した。 　迫田裕治警視総監が記者会見し、逮捕した同社社長ら３人や関係者に、「多大なご心労、ご負担をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪。警察当局は当時の警視庁公安部長ら１９人（退職者含む）を処分や「処分相当」とした。 　報告書では、液体を瞬時に乾燥させて微細な粉末にする同社の「噴霧乾燥機」が、軍事転用可能で輸出規制に該当するとした警視庁の解釈について、経済産業省が疑問を示していたのに合理性を再考しなかったことなどを問題点に挙げた。 　その上で、現場を指揮した外事１課５係長が捜査方針に沿わない証拠に十分な注意を払わず、課長も指揮監督が不十分だったと認定。公安部長らも軌道修正できず、「捜査指揮系統が機能を発揮せず、大きな過ちにつながった」と総括した。 　再発防止のため、同庁は公安部内に「公安捜査監督指導室」（仮称）を置く。警察庁も「適正捜査指導室」（同）を新設し、不正輸出事件の捜査は原則、取り調べを録音・録画するなどの対策をまとめた。 　警察当局は、社長らを逮捕した当時の５係長と上司の管理官（いずれも退職）を「減給１００分の１０（１か月）の懲戒処分相当」としたほか、近藤知尚・元公安部長（退職）を「警察庁長官訓戒相当」、初期の捜査に関わった新美恭生・元公安部長（同）を「口頭厳重注意相当」などとした。 　一方、最高検は７日、社長ら３人を起訴した東京地検が有罪立証に不利な消極証拠の確認や検討を十分行わず、法令解釈の慎重さも欠いたとする検証報告書を公表した。ただ、「起訴は組織の決裁を経て行われたもので、個人に制裁を加えるべきではない」として、主任検事らの懲戒処分は見送った。