なぜ自宅前の「段差スロープ(駐車スロープ)」NG? 法律違反になる理由と安全な解決策とは? トラブルで訴えられる可能性も… リスクを解説

駐車場の「段差スロープ(駐車スロープ)」設置は法律違反?道路の安全を脅かす「便利」の落とし穴  街中で見かける駐車場と道路の間の段差を解消するための「段差スロープ(駐車スロープ)」。  ホームセンターなどで手軽に購入できるこのアイテムですが、実は設置方法によっては法律違反に該当する可能性があります。 【画像】「えっ…!」これがダメなの? これが「駐車スロープ」です(全17枚)  なぜ違法とされるのか、どのような危険性があるのか、詳しく解説します。 「駐車スロープ(段差スロープ)」を道路上に設置する行為、なにがダメなのか?  ●便利だけど危険?段差スロープの問題点  道路に面した住宅やお店、駐車場の出入口などには、道路との段差を解消するためにゴム製やコンクリート製のブロック、鉄板などが設置されていることがあります。  これらは「段差スロープ」「駐車スロープ」「乗り入れブロック」などと呼ばれ、クルマのスムーズな乗り入れを可能にするほか、車高の低いクルマでもバンパー下部を擦らずに発進できるメリットがあります。  また、車いすや台車の通行にも役立つため、ホームセンターやカー用品店、インターネットサイトなどで気軽に購入でき、多くの人が利用しています。  しかし、道路上にこうした段差スロープを設置することは、実は法律で禁止されている違法行為に当たるのです。  ●道路法と道路交通法に違反する可能性  具体的には、道路法第43条(道路に関する禁止行為)第2号では以下のように規定されています。 「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること」  さらに道路交通法第76条第3項でも、次のように定められています。 「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」  つまり、道路上に段差スロープを設置する行為は、これらの法律に違反する可能性があるのです。  ●事故のリスクと実例  段差スロープを設置すると、そこを通行した歩行者や自転車、バイクが転倒して大きな事故につながる危険性があります。  実際に1999年8月には、大阪府堺市内の国道で原付バイクを運転していた大学生が段差解消プレートに乗り上げて転倒し、後続車にはねられて死亡する事故が発生しました。  この事故では、店舗前の国道にプレートを設置していた飲食店経営者が道路交通法違反(道路での禁止行為)容疑で書類送検、略式起訴されています。  SNS上でも「雨が降った後に自転車で段差スロープに乗り上げて転んだ」「滑って怪我をした」などの報告が複数寄せられており、事故が起こりやすい状況がうかがえます。  ●設置者が負う法的責任  万が一、段差スロープが原因で事故が発生した場合、設置者には刑事上の罪だけでなく、民事上の損害賠償責任も生じる可能性があります。  民法第709条(不法行為による損害賠償)には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」との規定があるためです。  被害者の治療費や働けない期間の給与など、多額の賠償金を支払わなければならないケースも考えられます。  ●排水機能への影響  事故のリスク以外にも、雨の日には段差スロープによって雨水の流れが止まり、うまく排水処理ができずに道路が冠水してしまうおそれがあります。また、豪雪地帯では除雪作業の妨げとなる事例も報告されています。  ●適切な解決策は「切り下げ工事」  この問題に対し各自治体は、道路法第24条に基づく手続きを経て、自宅や駐車場などの出入口付近をスロープ状にする「切り下げ工事」を推奨しています。 「道路管理者以外の者は、(中略)道路に関する工事の設計及び実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事または道路の維持を行うことができる。ただし道路の維持で政令で定める軽易なものについては、道路管理者の承認を受けることを要しない」  つまり、自治体の承認を得ることができれば、歩道や縁石を切り下げるなどの工事を行うことが可能です。  ただし、切り下げ工事にかかる費用は個人(申請者)の自己負担となり、一般的に60万円程度かかると言われています。  ●どうすれば良いのか?  費用の問題から切り下げ工事が進まないのが現状ですが、自治体の道路管理部門は「段差スロープの設置は非常に危険なのでやめてほしい」と注意喚起しています。  兵庫県庁などでは「道路に段差解消ブロック等を置かないでください!」と呼びかけ、「段差解消ブロック等を設置されている場合は、速やかに撤去してください」と警告しています。  切り下げ工事が難しい場合には、クルマを出入りさせるときのみブロックを使用するなど、一時的な利用にとどめる工夫が必要かもしれません。

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