第１０７回全国高校野球選手権大会第２日の６日、２年連続８回目の出場となった金足農（秋田）は１回戦で沖縄尚学（沖縄）と対戦し、０—１で惜敗した。 　金足農は先発の斎藤遼夢（２年）、佐藤凌玖（３年）、吉田大輝（３年）の３投手の継投で４安打に抑えたが、打線は沖縄尚学の末吉良丞投手（２年）に１４三振を喫し、打ち崩せなかった。敗れはしたが、スタンドからは最後まで奮闘した選手たちに大きな拍手が送られた。 沖縄尚学１−０金足農 2年生捕手が好投引き出す 　五回二死三塁。芹田礼捕手（２年）は、３人目としてマウンドに上がった吉田投手に声をかけた。「思いっきり楽しんでください」。要求通りに投げ込んできた直球で詰まらせて二ゴロに打ち取り、ピンチを切り抜けた。 　秋田大会の３回戦が終わった７月中旬の練習中、正捕手の渡部蒼空選手（３年）が左手小指を骨折した。「やるしかない。自分がチームを引っ張っていく」と投手陣を引っ張る覚悟を固めた。準々決勝から先発出場し、３試合を１失点で抑えた。この日も、相手打者の１巡目は外角中心、２巡目は内角を中心に組み立て、的を絞らせなかった。 　先制された直後の八回、二死三塁の好機で打席が回ってきたが、「スライダーが頭にあった」と高めの直球に手を出し空振り三振。好投した３投手を援護することはできなかった。 　「実力不足だった。好機で１本が出せるようにしたい」。悔しさを晴らす機会はまた巡ってくる。（菅崚乃介） 健闘たたえＰＶで拍手…秋田・中通 　金足農のプレーを地元から応援しようと、秋田市中通のエリアなかいちで６日、パブリックビューイング（ＰＶ）が開かれ、市民ら約８０人が声援を送った。 　秋田竿燈（かんとう）まつりの観光客も足を止めて試合を見守る中、途中登板したエースの吉田大輝投手（３年）が、得点圏に走者を背負ったピンチの場面で打者を凡打に打ちとると、「よっしゃ」と歓声が上がった。試合は惜しくも敗れたが、健闘をたたえる拍手が上がった。 　吉田投手を応援してきたという潟上市の女性は「結果は残念だったが、健康第一で秋田に帰ってきてほしい」と涙ぐんでいた。 　佐藤晃真主将（３年）「投手陣が１失点に抑えてくれたのに、１点も取れなかったことが悔しい。２年連続出場で注目されたので、後輩たちには来年、悔しさを晴らしてほしい」