第１０７回全国高校野球選手権大会第１日の５日、２年連続４度目の出場となった小松大谷（石川）は、開幕戦で創成館（長崎）に１—３で敗れた。 一回、江守敦士選手の適時打で先制したが、三回に勝ち越しを許した。最後まで諦めずに戦った選手たちにスタンドから大きな拍手が送られた。 昨夏の経験が糧 三回、２点を勝ち越され、なお一死二、三塁のピンチで中田凛投手が２番手でマウンドに上がった。「甲子園の借りは甲子園で返せ」。何度も聞かされてきた西野貴裕監督の言葉が頭に浮かんだ。昨夏の大会を経験した唯一の投手として「今年は自分がチームを勝たせる」と相手打者に強気で向かい、追加点は許さなかった。 昨夏の甲子園は３回戦で先発したものの、三回途中までに２点を失って降板。「何もできずに３年生の（先輩の）夏を終わらせてしまった」と悔やんだ。 だが、１年前の「苦い思い出」が原動力にもなった。１メートル６５、５６キロと小柄な体格をカバーするため、打者の反応を見ながらいかに打ち取るかを宮下諒大捕手と研究してきた。 その成果を存分に発揮して、スライダーとカーブで緩急をつけた。相手打線を２安打、無失点に抑え、警戒していた１番打者から三振も奪った。西野監督は「ナイスピッチングだった」とたたえた。 中田投手は「相手打者を抑える度に歓声が上がり、本当の意味で甲子園を楽しめた」。試合後に涙は見せず、勝てなかった悔しさをにじませた。（宮崎乃亜） 田西称（とな）主将「守備は粘って我慢することができたが、好投手を前に攻撃で上回れなかった。来年は石川に優勝旗を持って帰ってほしい」
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