吉田豊との不思議な“縁” 初代アイビスSD王者ジロダーリング

 【競馬人生劇場・平松さとし】  今週末、新潟競馬場ではアイビスサマーダッシュ(G3)が行われる。日本で唯一の直線1000メートルが舞台となる新潟名物のこの重賞。今年で25回を迎えるが、四半世紀前の2001年に記念すべき第1回を制したのがメジロダーリング。手綱を取ったのは吉田豊騎手だった。“メジロ”で吉田豊騎手といえば、G1を5回も制したメジロドーベルでも知られる名タッグ。しかし、このメジロダーリングに関しては紆余(うよ)曲折があった。  メジロダーリングは吉田豊騎手の師匠である大久保洋吉厩舎(15年に定年解散)の所属馬。同厩舎の他の管理馬と同様、デビュー当初からほぼ全てのレースで吉田豊騎手が乗っていた。しかし、関西遠征時に武幸四郎騎手(現調教師)が乗って好走すると、以降は度々彼が騎乗。アイビスサマーダッシュの直前に走った函館スプリントS(G3)も同騎手が乗り見事に1着。メジロダーリングに初の重賞制覇をもたらした。  となると、当然このアイビスサマーダッシュでも武幸四郎騎手が乗っておかしくなかったのだが、騎乗停止となってしまい、鞍上が吉田豊騎手に戻ったのだ。こうして吉田豊騎手は“メジロ”の馬でまたも勝利したのだから不思議な縁を感じたものだ。  さて、そんな吉田豊騎手だが、育った家庭は競馬とは無縁。幼少期に一時、函館に住んでいたことがあり、競馬場へ連れて行ってもらったことから興味を持った。「当時はメジロライアンのファンでノリさん(横山典弘騎手)に憧れました」。まさか後に自分が“メジロ”の馬で活躍するとは思ってもいなかったそうだ。  ところでメジロダーリングとのエピソードには続きがある。アイビスサマーダッシュを制したこのコンビは次走でスプリンターズS(G1)に出走する。G1の舞台でも3番人気に支持されたのだが、この時、同馬の背には田中勝春騎手(現調教師)が乗っていた。吉田豊騎手は直前のレースで落馬をして右手の親指を脱臼。急きょ乗り替わったのだ。結果は2着。果たしていつものコンビで挑めていたらどんな結果になっていただろうか…。 (フリーライター)

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