不振でイチロー氏から助言も「ピンと来なくて」 数年後に実感…菊池雄星が忘れぬ言葉

2019年にチームメートとなるも、試合での競演はわずか1試合  マリナーズ、ヤンキース、マーリンズで活躍し、日本人として初めて米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が27日(日本時間28日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで表彰式典に参加した。イチロー氏が引退した2019年にマリナーズに入団し、ブルージェイズ、アストロズを経て、今季はエンゼルスで先発マウンドに上がる菊池雄星投手は、メジャー1年目終了時に受けた金言を「イチローさんならではの言葉だった」と大切にしている。  2019年、マリナーズと4年契約を結んだ菊池は、子どもの頃、すでにスーパースターとして活躍していたイチロー氏とチームメートになる幸運に恵まれた。だが、イチロー氏はMLB日本開幕シリーズ中の3月21日をもって引退。「右翼・イチロー」と「先発・菊池」の競演は、その日が最初で最後となった。だが、現職で球団に席を置き続けることになったイチロー氏は、現役時代と変わらず球場に姿を現し、変わらぬ練習とトレーニングを積んだ。 「現役中は2試合しか一緒にできなかったんですけど、引退されてからもずっとマリナーズの球場には来られていました。常に誰よりもトレーニングをして、誰よりも早く来て練習されていて、本当に誰よりも野球を愛している方だなっていうのが印象ですね」  そう話す菊池は、マリナーズでの3年目を終えた2021年オフに契約延長オプションを破棄し、フリーエージェント(FA)になるとブルージェイズと3年契約を結んで移籍。シアトルを離れたが、イチロー氏とは「今でも食事を一緒にさせていただいたりもします。物の考え方とか見方とか、そういうものがひと味違っていて、いつも勉強になります」と刺激を受ける存在のままだ。 不本意なメジャー1年目を終えた菊池にイチロー氏がかけた言葉とは…  折に触れてアドバイスを受けてきたが、最も印象深く残るのが1年目を終えた時にかけてもらった言葉だという。 「本当に苦労した」と振り返る2019年の成績は、32試合に先発し、6勝11敗、防御率5.46。投球回は161回2/3で、完封勝利を1度記録したものの、36被本塁打、与四死球56、1イニングあたりの走者数を示すWHIPは1.52。モヤモヤした思いを抱えながら、シーズン終了の挨拶にやってきた左腕に対し、イチロー氏はこんな言葉を贈ったという。 「1年ローテーションを守ったっていうことが大事で、そこで疲労とのつきあい方とか、ローテーションを守るメリハリだったり難しさだったりが分かる。そういうものをしっかり1年目で経験するっていうことが本当に大事。だから、成績どうこうじゃなくて、1年間まずローテを守ったということ。それが来年以降、絶対に生きるから。どこかで怪我をしてしまうと、ローテーションをどうやって守るか、1年間どうやって戦うかが分からないまま、年を重ねることになってしまうんだ」  菊池は言葉をかけられた当初は「正直ピンと来なくて。そうは言われても結果を出したいという思いがあった」と振り返る。だが、2年、3年とメジャーでの経験を重ねるうちに、イチロー氏の言葉がストンと腹落ちした。 「今になってようやく、怪我をせずに投げ続けることで、初めて試行錯誤できるんだと分かりました。実際、僕自身もそんなに怪我をせずに、こうやって毎年毎年勉強しながら7年目を迎えられた。今、振り返ると、あの時の言葉って本当に長いキャリアを積んだイチローさんならではの言葉だったと思います」 ローテーションを守り、積み重ねから得られる学び  菊池自身、怪我なくマウンドに上がり続ける、その何気ない積み重ねから得る学びを感じている。 「投げないと勉強できないですから。毎年『このボールを増やしたい』とか、『このボールは打たれ始めたから、もう少し違うボールを投げよう』とか、そういうのは、1年間通して同じ対戦を繰り返すと、もっと必要な引き出しだというものが見えてくる。1試合だけだと分からないけど、2,3試合投げることによって見えてくるんですよね。打者との勝負は、新しいことをやったら対応されて、の繰り返しなんで」  チーム側の立場で考えても、シーズンを通して離脱することなく、ローテーションを守る意義は大きい。菊池はメジャー投手の規定投球回数について調べてみたことがあるという。 「過去5年くらいの規定投球回数を見るとクリアしているのは、両リーグで40人、多い年で50人くらいしかいないんです。規定投球回に達した投手がいないチームもあるので、到達した投手が2人以上いるチームは少ないことになる。だからこそ、チームにとって先発投手として一番大事なことは、しっかり5日に1回投げられることかなと思っています。その上で、どんな成績を残すか。まずは32〜3試合投げること。僕はそこを一番大事にしています」  コロナ禍でシーズンが短くなった2020年を除くと、菊池は5シーズンのうち3シーズンで32先発を達成している。届かなかった2021年は29試合に先発、2022年は一時中継ぎに配置転換されたこともあり、先発こそ20試合に留まったが、1年で32試合に登板。今季もすでに22試合に先発し、順調であれば32試合に到達するはずだ。  偉大なる先輩から受けた金言を胸に、先発投手としての矜持を守っていく。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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