イチローは「交流を避けていた」 MLB成功の裏に…親交深い米司会者が語る“隠された真実”

地元テレビ局「Root Sports」のブラッド・アダム氏  アジア人初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が27日(日本時間28日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで表彰式典に参加した。前日にはパレードや記者会見などが行われ、人口約2000人の小さな町は数多くの来訪者で大盛況。祝賀ムードに沸く現地の様子を伝え聞きながら、約4320キロ離れたエンゼルスタジアムから「おめでとう!」の言葉を贈る人がいる。シアトルの地元テレビ局「Root Sports」でキャスターを務めるブラッド・アダム氏だ。  マリナーズ戦の中継全てで情報番組の司会を担当。マリナーズファンにはおなじみの存在で、イチロー氏とは現役の頃から親しくする米メディアの1人だ。「2001年にメジャーデビューした日からヤンキースにトレード移籍するまで、ゴールドグラブやMVP受賞、数々の記録が生まれる現場を目撃してきた。そして、2018年に再びシアトルに戻ってきてからも、イチローがマリナーズだけではなく、メジャー全体、そして世界にインパクトを与える様子を誰よりも近くで見てきたよ」と胸を張る。  マリナーズと契約を結んだ当時、現地ではイチロー氏に対して懐疑的な声が多く聞かれた話は有名だ。入団会見に姿を現したのは、細身で小柄な27歳の日本人男性。「彼が一流の野手だなんて、誰も思いもよらなかったんだ」と振り返るアダム氏も、実は番組内で「まあ守備が良くて、リードオフマンとして打率.270くらい残せばいいんじゃないですか?」とコメントしたとか。「それがフタを開けたら……打率.350、ゴールドグラブ、新人王、MVPって! 驚きを通り越して、笑いが止まらなかったよ」と大笑いだ。  スプリングトレーニングが始まると「かなりの才能があるぞ」という声が、そこかしこから聞こえるようになった。だが、オープン戦で成績が上がらないイチロー氏に、当時のルー・ピネラ監督は「もっと打球を引っ張るようなスイングに変えるよう助言したんだ」という。 「でも、イチローはオープン戦は自分のスイングを調整する場として考えているから、ヒットになるかどうかなんて気にしていない。ルーの言葉を聞き流し、開幕すると同時に圧倒的なパフォーマンスを見せつけて、懐疑的な声を黙らせてしまった。あれはただただアメージングだったよ(笑)」  もしイチロー氏がピネラ監督に耳を傾けていたら……。「歴史は変わっていたかもしれない」とアダム氏。同時に「自分を信じる強さ、自分のルーティンを変えない強さ、それの2つを持ち合わせていたからこそ、イチローの偉大な功績が生まれたんだと思う」と拍手を送る。 引退後に気付いたイチロー氏の変化「あれが本来の姿」  今でも本拠地での試合前には、現役時代と変わらぬルーティンを行い、まるで試合に先発出場するかのように準備を整えるイチロー氏の姿がある。だが、大きく変わった点が1つある。それはイチロー氏が柔和な表情を浮かべるようになったことだという。 「現役時代は信じられないくらいに集中力を高め、やるべきことに専念していたから、時にはファンや仲間たちとの交流を避けたり、壁を作ったりしているように見えたかもしれない。自分から話し掛けてきたチームメートを袖にするようなことはなかったけど、自分から話しかけることもなかった。でも、今は自分から話し掛けにもいくし、ファンにサインをする機会も増えている。チーム内の誰とでも会話するし、自らアドバイスを送ることもある。引退後は極限まで集中力を高める必要がなくなったから、自分だけではなく広く周囲が視界に入るようになったんだと思うんだ」  中継局の特権として、ファンはもちろん他のメディアも入ることを許可されない、チームの舞台裏を垣間見ることができる。「実はイチローがユーモアセンス抜群でいたずら好き、そして心の広い人だと知っていた」というアダム氏は、引退後に見せるようになったイチロー氏の姿こそが「本来の姿。現役中は少なからず、“イチロー選手”という顔を作る必要があったんだと思う」と話す。  これまで数々の節目に立ち会ってきたアダム氏だが、今回は会社の都合で泣く泣くクーパーズタウン行きを諦めたという。マリナーズと一緒に訪れたエンゼルスタジアムでは「仕方ないのはわかっているけど、他でもないイチローの殿堂表彰式典なんだから自分が行くべきだったんだ。残念すぎる……」と恨み節。だが、ネガティブな感情は遠征地に捨て置き、シアトルに戻ったら心の底からの「おめでとう!」を伝えるつもりだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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