道路陥没の埼玉・八潮、半年たっても「窓開けられない」「売り上げが減少」…補償も進まず

県「前例のない事故、どこまで補償すべきか…」  埼玉県八潮市で県道が陥没してトラックが転落した事故は、28日で発生から半年となる。  県は交通規制などの影響で売り上げが減少した事業者や、下水の悪臭などに苦しむ住民らへの補償を行う方針だが、補償対象が確定できず、支払いはほとんど進んでいない。現場では復旧工事が続き、事故前の日常は戻ってきていない。(さいたま支局 立原朱音、大須賀軒一) 「大きなストレス」  「臭気を感じると夫がせき込む。住民の不安に丁寧に対応してほしい」「臭くて窓が開けられない。空調をつけっぱなしにするので電気代がかさむ」。15日に非公開で行われた八潮市長と近隣住民との意見交換会。出席した約20世帯からは、悲痛な訴えが続いたという。  事故現場は今も半径約200メートルの範囲で立ち入りが制限され、日曜日を除いて、大規模な土木工事が続く。連日の猛暑で、流れ込む下水から悪臭が漂う日も多い。  穴から約50メートルの場所に自宅がある男性(83)は「臭いや騒音は大きなストレス。住民は目に見えない健康被害に直面している」と訴える。 「前例がない」  工事の振動で住宅に被害が出たり、交通規制で売り上げが減少したりした場合を想定して、県は補正予算を組み、補償費用として4億円を確保した。  周辺住民を対象に被害状況も個別に聞き取っているが、「前例がない事故。どこまでを補償すべきなのか判断が難しい」(県幹部)として、支払いは始まっていない。  県の第三者委員会は陥没が起きた原因の究明を進め今夏に中間報告をまとめる予定だが、大野元裕知事は「原因や責任が明確になっていない中、税金を我々の意図だけで拠出するわけにはいかない」と、慎重な姿勢を示している。 風評被害  八潮市商工会が2〜3月、飲食店などに事故の影響を尋ねたアンケートでは、回答した125事業者の6割以上が「売り上げが減少した」「交通規制で業務に支障が出ている」などと訴えた。事故直後には転落したトラックの捜索のため節水への協力も求められた。鈴木進事務局長は「『補償はまだか』という切実な声も多い」とため息をつく。  来客数が1割強減った飲食店の男性店長(47)は「『八潮は危ない』という風評被害で、市外からの客が減った」とぼやく。  来年3月頃に埋め戻しが終わるまで、現場周辺の悪臭は続くとみられる。その後、現場周辺に2本目の下水道管を埋設する「複線化」の大規模工事も始まる見込みで、県は工事完了までに「5〜7年程度かかる」としている。

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