スズキ「新型コンパクトSUV」登場! 斬新“ゴツゴツ”デザイン×日本風のインテリア採用! 今夏にも登場の新たな“スズキの要”「新型eビターラ」デザインの特徴は?

新型「eビターラ」 デザインのポイントは?  スズキは2025年7月10日、SUVタイプの新型BEV(バッテリーEV)「eビターラ」の先行情報を公開しました。今夏から各市場で発売し、日本でも今年度の発売を予定しています。  そんなeビターラですが、デザインは「ハイテク」と「アドベンチャー」を融合したものといいます。今回筆者(内田俊一)はデザイナーにその詳細を聞いてみました。 スズキ初のバッテリーEV「e VITARA」 【画像】超カッコイイ! これがスズキの「新型コンパクトSUV」です!(30枚以上)  今回お話を伺ったのはスズキ商品企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課 課長の前田 貴司さんと同 インテリア課 課長の林田 崇さんです。 Q:スズキとしては初めての登録車の電気自動車です。そのデザインをするのはとてもハードルが高かったかと思いますが、いかがでしょう。 前田さん(以下、敬称略):そうですね。大きく2つのアプローチがあると思いました。やはりEVなので、新種の乗り物っぽく、今までの手法とは違うやり方です。  もうひとつはあえてスズキが出すのですから、SUVテイスト、「ジムニー」や「エスクード」といったクルマたちの進化系に見せるやり方ですね。 Q:そして今回はどちらを選んだのでしょう。 前田:やはりスズキらしいEVを作りたいと判断しました。そこで、ゴリゴリとした力強さメインのEVでありながら、ディティールやインテリアの使い勝手などに最新のデジタルフィーリング取り入れた、スズキならではのEVが作ろうと考えたのです。 Q:そのスズキらしいデザインとはどういうものですか。 前田:特に欧州でのスズキのラインナップを見ると、ジムニーや「イグニス」など4WDを常にラインナップしていました。以前は「SX4」などもありましたね。  そういった小さいながらもきちんと4WDが機能し、力強く走ることができ、安心感があるイメージです。そのあたりはすごく意識して、今回も大事にすべくSUVらしく見える骨格作りをどう表現するかを突き詰めていきました。  一方で日本ではスイフトのイメージが強いと思うので、Aピラーが黒くてCピラーの造形が特徴的な部分もモチーフとして取り入れています。 Q:今回のデザインコンセプトは「ハイテク&アドベンチャー」です。これをエクステリアデザインで表現しているのはどのあたりでしょう。 前田:ハイテクで分かりやすいのはフロントの灯火器周りですね。シグネチャーランプは一般化していますが、ただのラインで光らせるだけではなく、3つの長方形の光で表現しています。  何となく瞳を感じさせ目力がありつつも、ちょっとハイテクという感じ。デジタルの世界から出てきたものみたいな感じに見せています。 Q:ではアドベンチャーはいかがですか。 前田:特にフェンダーがゴリゴリと盛り上がったような足回りの表現や、全体的に重心を高い位置に上げて、オンロードだけでなく、ちょっとした山道でも頼もしく走れそうな造形に仕立てていくことを意識しました。 Q:細かいディティールですが、六角形を多く使っています。これを何か意識をしているのでしょうか。 前田:フェンダーもそうですし、フロントの顔もエンブレムを中心に六角形の塊が入っています。六角形はSUVで用いられる手法で、堅牢でかつ安定感を出せるのです。 Q:そのほかにeビターラのエクステリアデザインで意識したところを教えてください。 前田:パッと見て黒い部分が多いですよね。塊で見るとBEVは床が高いですし、いくらタイヤが大きいといえど、割と鈍重になりがちなデザインなんです。  それを上手く(サイドシル上あたりを)レイヤー構造にするとか、黒をうまく使うことによって、ボディの抑揚をできるだけしっかりと出そうとしていますし、この辺はキーになりました。  しかし、黒いところだけがペタッとしたただの板だと全然見応えが出てきませんので、そのあたりをいかに大きくデザインしながらバランスを取っています。  もうひとつ、スタンスの良さもこだわりました。グローバル車ですのでヨーロッパ、それこそ(ドイツの高速道路)アウトバーンなども含めて力強く走っている姿を見られますから、足腰がしっかりしているように見せないと、選んでもらえないのです。  日本の軽自動車をデザインするところからの延長線上では全くないんです。  そこで足周りやピラーの落ち方、よく数字の6の字を書くといういい方をするのですが、サイドから見て前後のピラーから数字の6を当てはめるように(リアは6を裏返しにする)することで、きちんと踏ん張って、ボディの荷重がどこに落ちているのかを見せるようにしています。  またボディ全体を引き締めて、いらない駄肉をいかに削るかは、走っているさまを想像しながらデザインしました。 インテリアのキーワードは「“抜き・隙き・浮き”」  続いて、インテリアのデザインについて、林田さんに話を伺いました。 スズキ商品企画本部 四輪デザイン部 インテリア課 課長の林田 崇さん(左)とエクステリア課 課長の前田 貴司さん(右) Q:インテリアの特徴について教えてください。 林田さん(以下、敬称略):ガソリン車の「ビターラ(日本名エスクード)」は、SUVで機械式のドライブシャフトが床下を通っていましたので、インテリアもそれをなぞるような形でT字のインパネを配し、見やすくしていました。  そのプロポーションは引き継ぎつつも、ハイテクな部分としてIDS画面(大型のスクリーン)や、2階建てのコンソールで新しい時代のEV×SUVというコンセプトに沿って表現しました。 Q:その新しい時代を表現したポイントはどういうものでしょう。 林田:実はちょっと変わったインテリアデザインの捉え方をしています。それは“抜き・隙き・浮き”という日本語を解釈することで、それらを達成することで次の世代の表現を組み立てました。  例えば、“抜け”でいえばコンソールは2階建てで、本当に穴が開いていますよね。“透き”は透明感。透明素材はなかなかハードル高いのですが、ハザードボタンやスタートスイッチはクリア層を設けています。  最後の“浮き”は、インパネをあえて全部色をつなげないようにして矩形(くけい)でくくりました。  そしてドアハンドルの周りのシルバーの加飾あたりにアンビエントライトを仕込み、同じくコンソールの下にも配することで、ふわーっと浮いて見えるような感じに見えます。まさにEVがスーッと走っていくイメージですね。 Q:ドアを開けた瞬間にシルバー加飾で囲まれたエアコンの吹き出し口と、ブラウンのインパネが目に飛び込んできますね。 林田:これらはまさにスズキらしさと新しさを模索した結果です。この吹き出し口ですが、いまのトレンドは薄くて見えないベンチレーションだと思うんですよ。  しかし、例えばインドは暑くてエアコンを浴びたいよという要望が強い国もありますし、SUVの機能性の部分も忘れてはいけないということで、あえてここはアイコニックに見せた形であり、配置にしています。  それが先程の“浮き”というテーマの中に溶け込んだような。仕立ての良い4連にしました。  軽であれば「ハスラー」の丸3つのようなものも記憶に残りますが、そこまでコミカルなキャラクターにする必要はなく、大人びた中で機能性然としたところが伝わるようにしています。  もうひとつ、インパネからドア周りまで矩形で括り、広くして見せるために色をつなげていくのはいわば常套手段です。さらにそうすることで、インパネがドアハンドルのシルバー加飾あたりまでつながっても見えるんですね。  そのうえで実はドアハンドルの後ろ側や下側は大きくえぐっているんです。そこにアンビエントライトが光るので、端がどこにあるかわからなくなってより広がって見える工夫をしています。 ※ ※ ※  BEVの主力グローバルカーとして登場したeビターラ。その走りは十分に満足のいくものであり、そのイメージを裏切らないデザインをまとわせたデザイナーの手腕も見事です。  あえてEVらしさを強調しすぎないそのデザインには好感が持てました。

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