お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリこと照屋年之(52)が監督する映画「かなさんどー」の予告編が公開された。劇場公開は来年2月の予定で、主演は大河ドラマ「光る君へ」(NHK)で源幾子を演じる松田るか(29)。その父親役は、なんと浅野忠信(50)……。配信ドラマ「SHOGUN 将軍」で米エミー賞の助演男優賞を受賞した国際俳優が、なぜゴリの映画に? *** 【写真をみる】「えっ、今こんな感じなの!?」 ガレッジセール・ゴリ“現在の姿” 照屋監督といえば、2019年に公開された「洗骨」が話題になった。沖縄の離島・粟国島を舞台に、一度は土葬された死者の骨を海水や酒などで洗って再び埋葬する風習を通して、家族の葛藤や絆を真面目かつコミカルに描いた。民放プロデューサーは言う。 浅野忠信 「『洗骨』は照屋監督としては2作目の長編映画でしたが、主演が奥田瑛二(74)、その妻役に筒井真理子(64)、二人の息子役に筒井道隆(53)など、こちらも演技派を集めました」 なぜ2作目で、こんな役者たちを集められたのだろう。 「照屋監督はこれまでに十数本もの短編映画を撮り続けてきました。2006年、初監督作の短編映画『刑事ボギー』が国際短編映画祭のショートショートフィルムフェスティバル&アジアで話題賞を受賞するなど、早くから才能の片鱗を見せています。『洗骨』も16年に短編で撮った『born、bone、墓音。』を長編化した作品です。そもそも彼は、中退とはいえ日本大学芸術学部映画学科の出身ですから、芸人として吉本興行に入る前は映画を学んでいたわけです」 とはいえ、演技については一家言ありそうな奥田を、よく起用したものだ。 「脚本を読んでOKしたそうです。当時はまだ二枚目役が多かった奥田さんですが、妻を亡くして酒ばかり飲んでいるだらしない親父役を演じたことも話題になりました」 当時のインタビューで奥田はこう答えている。 北野武監督に次ぐ受賞 《最初に照屋監督から『まだ奥田瑛二(のイメージ)が出ています』と注意されて、このやろうと思いながらも、『いかん』と自分に言い聞かせた》(大阪日日新聞:2019年2月9日) 奥田の演技に文句をつけるとは大した度胸だ。ちなみに、長編デビュー作は2009年公開の「南の島のフリムン」だった。 「お笑いコンビ・品川庄司の品川祐(52)の監督デビュー作として話題になった『ドロップ』に続く吉本と角川映画のコラボ作として製作されました。照屋監督の作品は、この長編デビュー作を含めほぼ一貫して出身地の沖縄が舞台になっています」 沖縄で先行公開された「洗骨」は、木村拓哉が主演の「マスカレード・ホテル」を抑えて県内では3週連続で動員1位となり、5万人を超えるヒットとなった。また、トロント日本映画祭 で最優秀賞(グランド・ジューリー賞)を受賞、オランダのシネマアジア映画祭では審査員特別賞を受賞している。 「照屋監督は『洗骨』で日本映画監督協会新人賞も受賞しました。お笑い芸人としては北野武監督(77)に次ぐ受賞ですから、業界でも期待する人は少なくありませんし、本人も意識していると思います」 そして長編3作目が「かなさんどー」だ。沖縄の方言で「愛おしい」の意だという。 満島ひかりも絶賛 「母が亡くなる間際にかけた電話を取らなかった父を許せずにいた娘と、老いて認知症を患った父との関係を描いた作品だそうです。本作も彼が21年に監督した短編映画『演じる女』が元になっており、そちらの主演は満島ひかり(38)でした。彼女はこの作品でショートショートフィルムフェスティバル&アジアのジャパン部門ベストアクターアワードを受賞しています」 満島は照屋監督についてこうコメントしている。 《脚本をいただいてから完成まで、変わらず『好き』な作品です。照屋監督のシンプルで気持ちの良い青空のような演出は、すごい》(沖縄タイムス:2021年7月30日) 彼女も絶賛である。 「作品の良さに加え海外で賞までもらえるのですから、俳優だって出演したくなるでしょうね。もっとも、これまでの作品は沖縄以外では大きなヒットはありません。今回は浅野忠信が出るということで注目もされるでしょう。お笑いタレントよりも映画監督として名を挙げている劇団ひとり(47)や脚本家としても売れっ子のバカリズム(48)のように、彼が化ける可能性も十分あります」 ところで、ガレッジセールでの活動はどうなっているのだろう。 「今もコンビでルミネtheよしもとの舞台には上がっていますが、テレビのバラエティにはあまり出ていません。彼自身、『今のバラエティはあまり出たいのないから』と言っているそうです。2人ともコンビで売れていた時の貯金はあるでしょうからね。相方の川田広樹(51)は趣味の釣りやバイクを楽しんでいるそうです。そのためゴリは監督業に重きを置いているようです。いずれ深夜の連ドラなども監督するようになるかもしれません」 デイリー新潮編集部