【エルサレム＝福島利之】イスラエル軍は２１日、パレスチナ自治区ガザ中部のディール・アルバラハで戦車を展開し、地上侵攻を始めた。 軍はこれまで、この地域で本格的な攻撃を控え、国連などの支援拠点となってきたが、侵攻で人道危機がさらに深刻化する懸念が高まっている。 世界保健機関（ＷＨＯ）によると、ディール・アルバラハの職員宿舎と主要な倉庫が２１日、軍の攻撃で破壊され、職員２人と家族２人の計４人が軍に拘束された。その後、３人は釈放されたが、職員１人は拘束されたままだという。ロイター通信によると、戦車の砲撃で住宅やモスク（イスラム教礼拝所）が破壊され、少なくとも３人が死亡した。 軍は前日の２０日、一帯の住民に退避を求めた。国連によると、軍が退避命令を出した地域と軍事作戦の対象地域は、ガザ全体で計８８％に上り、住民約２１０万人は残りの１２％の地域に押し込まれている。 軍がディール・アルバラハへの本格攻撃を控えてきたのは、イスラム主義組織ハマスに拘束されている人質がいるとみられるためだ。人質の家族会は２１日、「人質を意図的に危険にさらした者を許さない」と攻撃を懸念する声明を出した。
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