福岡選挙区「指定席」、「わかりやすさ」武器に参政が奪取…立民・国民は「共倒れ」

自公は死守  これまで自民、立憲民主、公明各党で議席を分け合ってきた福岡選挙区(改選定数3)は、自公が「指定席」を死守し、参政党が初の議席を獲得した。  参政が「わかりやすさ」を武器に自民支持層や無党派層に支持を広げた。一方、同じ支持母体を持つ立民、国民民主両党は与野党逆転を狙ったが「共倒れ」となった。  「生活者目線で訴えてきた政策が多くの人に支持していただけた」。初当選から一夜明けた21日、福岡市で街頭に立った後、報道陣の取材に応じた参政新人の中田優子さん(35)はこう振り返った。  躍進の原動力となったのは「日本人ファースト」という党のスローガンだ。インパクトのある言葉は有権者を引きつけた。以前は自民支持だった同市の会社員の男性(54)は「『何で生活が苦しいのか』と考えていた時、心に刺さった。外国への投資より国民の生活を大切にするという主張を聞いて参政党への投票を決めた」と話す。  読売新聞社が20日に実施した出口調査では、13人の候補者のうち、中田さんは無党派層で最も多い2割の支持を集めた。自民支持層の1割弱にも食い込み、自民候補に次いで多かった。争点として最も重視した政策では、「外国人に関する政策」を挙げた5割強が中田さんを選んだ。  一方、3選を狙った立民現職の野田国義さん(67)は、40人超の所属議員を抱える県連を挙げて選挙戦に臨み、各地で集会や街頭活動を行ったが、5番手に沈んだ。21日未明、福岡市内で支持者を前に深々と頭を下げた。県連の城井崇代表は「無党派層を引きつけるには力不足だった。戦略も戦術も大きく変えざるを得ない」とうなだれる。  「手取りを増やす」と訴えた国民民主新人の川元健一さん(45)は、玉木代表が何度も応援に入るなどテコ入れを図った。3年前の参院選で別の候補が獲得した13万票から30万票まで積み増したが、当選に届かなかった。  立民と国民民主の支持母体で、「2議席獲得」を掲げた連合福岡の幹部は「ショックだ。私たちの訴えよりも参政党の訴えが魅力的だったということだ」と悔しさをにじませた。  参政に票を奪われた自民の危機感も強い。自民現職の松山政司さん(66)は6年前の58万票から42万票まで減らし、大票田・福岡市の得票数は中田さんに及ばなかった。農業が盛んな地域でも「コメを巡る小泉農相の一連の対応への反発から『今回は参政に入れる』という若手農家もいた」(地方議員)という。  自民県連の松本国寛会長は「衆院選は遠くない。真摯(しんし)に受け止めなければならない」と話した。 ◇  投開票日当日の出口調査は、NHK、日本テレビ系列各局と共同で実施した。

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