物価高対策、給付も減税も進まない?石破総理、参院選で大敗も続投表明 辞任でも「誰が総理に?」【Nスタ解説】

自公で過半数をとれなかった、今回の参議院選挙。衆議院に続き、参議院でも少数与党になりました。今後、注目される3つのポイントを見ていきます。 【写真で見る】実現しない可能性もある?野党内で異なる「減税案」 過半数割れで少数与党に…“給付”の可能性は残っていない? 山形純菜キャスター: 最大の争点であった▼「給付か?減税か?」▼「石破おろし」の動き▼「野党との連立の可能性」についてです。 まずは、最大の争点であった「物価高対策」についてです。 自民党・公明党の与党は、1人2万円の現金「給付」。一方で、野党は、中身はそれぞれ違うのですが、「減税」という方針は一致していました。 与党が掲げていた「給付」は、衆議院・参議院ともに少数与党ということで、法案が通らなくなります。現金給付はどうなるのでしょうか。 TBS報道局 岩田夏弥 政治部長: 自民党・公明党が過半数を取っていれば、民意の賛成を得たということで、給付金をやろうという話が前に進んだと思います。しかし、今回はそうならなかったわけですから、基本的に給付は非常に難しいです。 微妙に可能性が少し残っているのは、立憲民主党が選挙の中で、1人2万円の「食卓応援給付金」を配り、それと合わせて、消費税も下げると言っていました。この部分だけ、協力する余地があるのかどうか。まだ可能性はゼロではないです。 しかし、立憲が「1人2万円の「食卓応援給付金」は消費税とセットだから、減税をしてくれないのならば、給付だけするというのは駄目です」となったら、もうできません。 そこがどうなっていくのか。給付の可能性は若干あるのですが、なかなか難しいのが今の状況です。 政治部長「減税できないということもありえる」各党で異なる“減税”案 山形キャスター: では、一方の野党の減税はどうなのか。各党の減税案を見ていきます。 【“野党”各党の減税案】 立憲:食料品の消費税 原則1年間0% 維新:食料品の消費税 2年間0% 共産:消費税廃止めざし5%に緊急減税 国民:消費税一律5%(実質賃金が持続的にプラスになるまで) れいわ:消費税廃止 参政:消費税 段階的廃止 社民:食料品 消費税0% 即時実現 保守:食料品(酒類含む)の消費税 恒久的に0% それぞれ細かく見ていくと、減税の考え方が違います。減税案についてはどうなるのでしょうか。 TBS報道局 岩田夏弥 政治部長: 「消費税を減税すべき」だと、野党側はみんな言っていたわけです。 今回、野党側が過半数を取ったので“減税される”と思ってしまいますが、各党でどういう形で、どこを減らすのか、期限はどうするかなど、内容が違うわけです。 これから野党側がみんなで話し合って、消費税減税の具体的な方法がまとまれば、できなくはないです。 しかし、考えが違う中で、一致点を見出せなかったら、結局、過半数には到達せずに、消費税の減税もできないということもありえます。 出水麻衣キャスター: それは政党の身勝手と言いますか…。物価高で苦しんでる方々は必死に票を投じたわけです。給付も減税も、どちらも実現しないとなると、みなさんの怒りがこみあげてしまいますよね。 TBS報道局 岩田夏弥 政治部長: これからの与野党の話し合いで、何らかの結果をどうやって出していくのか、有権者の厳しい目で見ていかないといけません。結局、何も決まらないと、物価高対策もなくなってしまいかねないです。 “石破おろし”も時間の問題か 選挙3連敗の石破総理だが続投を表明 山形キャスター: 石破総理の進退について見ていきます。 目標の過半数ラインだった50議席に、今回届かなかったということですが、7月21日、石破総理は会見で「いま最も大切なことは国政に停滞を招かないこと。引き続き、公明党と連携して、政権運営にあたっていきたい」とし、“続投の考え”を示しています。 ただ、2024年10月に石破政権が発足してから、選挙に3連敗しています。 ▼2024年10月・衆議院選挙 15年ぶり過半数割れ 大敗 ▼2025年6月・都議選 過去最低21議席 大敗 ▼2025年7月・参院選 与党で過半数割れ 大敗 これまで、国政選挙で大敗すると総理大臣は“ほぼ辞任”していましたが、石破総理は続投の意思を示しています。 ただ、“石破おろし”の動きも時間の問題という発言もありました。 落選した議員からは「まずは総理が辞任することから始めないと」。党の重鎮からは「潔く辞めてもらわないと、党がバラバラに…」といった声があがっています。 TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんは、「実際には今の状況で総理を買って出る人はいない…」としており、「弱体化した石破総理の続投では『政策が進まない』」という懸念があると話しています。 井上貴博キャスター: この際、自民党内部の理論はどうでもいいと思っていて、国益にかなうのは何かと考えると、石破総理が大切にしている関税交渉があります。そこに向けて、政治の空白を作りたくないのだと思います。 そう考えると、衆参両院で少数与党になると、アメリカからも足元を見られます。野党からも足元を見られます。そうすると、石破さんが続けること自体が政治の空白を生むのではないかという見方もできるのではないでしょうか。 田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士): 簡単な解決法はないです。だからこそ、石破総理は「党派を超えて協議」とおっしゃっていますが、全くその通りなんです。 毎回、政治が難しいと思うのは、党派を超えて本当に協働できるのか。例えば、今回の選挙での減税や給付だという考えも、単なる枝葉の目的であって、その葉をどれだけ一緒に、いろいろな人たちが、さまざまな専門家とともに協働するのかが大事なのに、そこが難しい気がします。 TBS報道局 岩田夏弥 政治部長: 石破総理も会見の中で、物価高対策も含めて、これからどうするのか。いろいろな声を聞いて、各党で話し合っていきたいと言っていたわけです。 けれども今回の選挙結果を受けて、この状況の石破内閣の話を、野党がすんなり聞いてくれるのか、協力しようという気持ちになってもらえるのかというところにも、最初にハードルとしてありそうですね。 ========== 〈プロフィール〉 岩田夏弥 TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ 小渕総理以来、主に政治取材を担当 田中ウルヴェ京さん スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授 こころの学びコミュニティ「iMia(イミア)」主宰

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