参政党 大躍進の理由は意外にも草の根!風に頼らない戦略とは?【大石邦彦が見た参議院選挙】自民党は歴史的大敗

台風シーズン間近の真夏の参院選、最大の台風の目となったのが参政党だった。公示日の前夜、神谷宗弊代表は私の取材に「5議席は獲得したい」。東京都議選で3議席獲得と、“躍進”したばかりとは言え、5議席でも上出来の数字だったはずだ。 【写真を見る】参政党 大躍進の理由は意外にも草の根!風に頼らない戦略とは?【大石邦彦が見た参議院選挙】自民党は歴史的大敗 それが選挙戦に入ると、参政党の勢いはさらに増し、“大躍進”を遂げた。その理由は何なのか?取材して見えてきたのは、参政党の意外な姿だった。 本当の姿は“風”でなく“組織”だった 参政党といえば、SNSを駆使し動画を拡散させる空中戦が得意なイメージだが、議席を伸ばした理由はそれだけではなかった。実は、地道な地上戦を展開していたのだ。 2020年に結党して以来、参政党は衆院選の全国の小選挙区に政党支部を設置してきた。その数は、今や287まで増えた。小選挙区は全国289選挙区なので、ほぼ全ての選挙区に支部が設けられた形だ。 政党カラーのオレンジ色が印象的な愛知県連本部を訪ねると、決して広いとは言えない室内に足の踏み場もないほど段ボールが積まれていて、中には候補者のビラがびっしりと入っていた。愛知県には16の小選挙区があるが、それぞれの政党支部向けに用意されたものだった。 参政党は、この各政党支部を拠点に党員が一軒一軒にポスティングしたり、タウンミーティングを開催したりして、同志を増やしてきたのだ。ポスターは、アニメやドラマ風など親近感のあるタッチで製作されていて、政治参加のハードルを下げる工夫も見られた。間口を広げ、各地域に根ざす、まさに草の根活動が奏功したのか、全国の党員はこの3年間で10倍の7万人を超え、地方議員は150人を超えた。 風頼みのブームに乗った政党にも見えるが、実はこの5年間で着実に政党として「組織力」をつけ、足腰を鍛えていたのだ。ここにこそ、参政党の今があると感じた。 バッシングこそ“エネルギー” 17日間と長い闘いとなる参院選では、失言や不祥事などは命取りになる。政治とカネの問題が争点にもなった去年の衆院選では、自民党の党本部から公認されていない候補が代表を務める政党支部に、2000万円が振り込まれていたことが発覚した。 これが投開票日の3日前だったため、自民党に強烈な向かい風となり、少数与党に転落したことは記憶に新しい。今回はどうだろうか?ご多分に漏れず、自民党は鶴保庸介参議院議員の被災地に関する「失言」で、より失速した可能性がある。 参政党も神谷代表に関する週刊誌の記事や過去の発言が取り沙汰され、他党からも、SNSなどでバッシングを受けた。しかし、このバッシングは参政党の党員の結束をより強め、むしろこれをエネルギーに換えて支持を集めていったように見えた。相手が攻めれば攻めるほど「逆効果」で、参政党の思う壺だと気づいていた政党は少なかった。 もちろん、「日本人ファースト」というキャッチコピーが、国民を向いていない政治をしたと判断された自公政権や、それを打破できないと見なされた全ての政治家に対し嫌気がさした有権者の心に刺さったことは間違いない。 参政党の党員の多くは、これまで政治に関心が薄かった人が多く、政治活動を初めて経験した人が殆どだという。「これまでは政治ってこんなものか、と諦めていたが限界を超えた」と党員の一人が政治参加の理由を語っていたのが印象的だった。 今回の参院選で、参政党は永田町で一定の勢力を持つまで大きくなった。ただ、気になることがある。この人気は一過性のものなのか?という疑問だ。これまでも時代は新党を必要としたが、その多くは時代の波にのまれ消えていった。参政党もそうなのか?新党にありがちな賞味期限はすでに迫っているのか。 参政党、ここから正念場 先日取材した自民党の前国会議員が言っていた。「日本人ファースト?本来は自民党が言わなければいけない」自民党の中でも保守系の前議員からすれば、自分たちのお株を奪われた形の参政党人気は歯がゆいというわけだ。一方で、「日本人ファースト」が「外国人の排斥にあたるのでは?」と批判が相次ぎ、日本に住む外国人らに不安を与えたのも事実だ。 もちろん、選挙戦では「外国人の排斥ではない」と明確に否定していたが、政党が社会に与える影響を考えれば、今後も丁寧な説明が必要になる。それを怠り、「政治家ファースト」に陥れば、国民にそっぽを向かれ、過去に消えていった政党のような末路になってしまう。 時代が変わり、政党や思想のウイングが広がる中、国民が望む政治のカタチが問われている。所属議員が10人を超え、参院では法案を単独で提出できるようになるが、まずはどんな法案を出すのか?政治に初めて熱い思いを抱いたという参政党支持者の多くは、今まで以上に政治に関心を持って見ているに違いない。この思いを裏切ってはならない。裏切れば、この国において政治に関心のない人をさらに増やしてしまうことにつながるからだ。 【CBCテレビ 論説室長 大石邦彦】

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