参院選の選挙戦最終日となった19日、各党党首らは最後の訴えに声をからし、17日間にわたる戦いを締めくくった。 物価高対策、トランプ関税への対応、社会保障政策——。日々の暮らしに直結する課題が山積する中、党首らの主張は有権者にどう響いたのか。 自民党総裁の石破首相は午後7時半過ぎ、東京都大田区のJR蒲田駅西口で最後の演説に臨んだ。外交・防衛問題を語り、「何としても日本を守り抜く」と熱弁をふるう姿に、目黒区の主婦(53)は頼もしさを感じたという。「トランプ関税の問題やガザ地区を巡る紛争など世界情勢は不安定さを増しており、日本にも影響を及ぼしている。安定した政治を実現してほしい」と話した。 千葉県船橋市のJR船橋駅前では午後5時半頃、公明党の斉藤代表が演説に立った。耳を傾けていた同県習志野市の男性(64)は「日本版の政府系ファンドを創設し、新たな財源を生み出す」との公約に注目。「孫を育てるのにお金がかかるのが心配だ。財源を国債に頼れば、将来の社会保障政策も危うくなる。安心して暮らせるようにしてほしい」と期待した。 「福島の再生なくして日本の再生なし」。午後7時半過ぎ、福島市でマイクを握った立憲民主党の野田代表の訴えを聞き、同市の団体職員の女性(61)は大きくうなずいた。東京電力福島第一原発事故の影響で、被災地に住む親族は今も遠方の病院に通う。「被災地には人が戻らず、医療や福祉など生活に必要な基盤も足りていない。もっと復興を後押ししてほしい」と願った。 日本維新の会の吉村代表は大阪・難波の百貨店前で、「社会保険料は高すぎる。国は皆さんに負担を求めるばかりだ」と訴えた。給与から引かれる社会保険料の高さに不満を持っているという堺市の会社員女性(25)は「物価が上がって食費が厳しいが、社会保険料が下がればその分を回せる。身近な問題に取り組む政党に期待したい」と真剣な表情で演説を聞いていた。 午後7時半過ぎ、東京・新宿で行われた共産党の田村委員長の街頭演説を聞いた東京都八王子市の会社員男性(63)は、「命を犠牲にして医療費削減をやることは許されない」という田村委員長の主張に納得の表情。最近、歯の治療のため多額の出費があったといい、「年齢を重ねるにつれて健康不安も増えてくる。安心して医療を受け続けられるような社会であってほしい」と願った。 東京・新橋駅前で行われた国民民主党の玉木代表の演説を聞いた横浜市の会社員女性(39)は、「手取りを増やす」との訴えに魅力を感じたという。スーパーでは値引きされた商品を買い、帰省の回数も減らしている。「仕事を頑張っても、税金と社会保険料をたくさん取られて何のために頑張っているのかわからなくなる。庶民の生活に目を向け、より良い政治を実現してほしい」と話した。 東京・秋葉原では午後7時20分頃から、れいわ新選組の山本代表がマイクを握った。「消費税を廃止し、国民の使える金を増やす」。そう訴える山本代表を見守った栃木県足利市のトラック運転手の男性(60)は「物価高で食費を切り詰める生活が続いている。一時的な給付金より恒久的な減税が必要だと思う」とし、「零細企業や貧困に苦しむ人に寄り添った政治に期待したい」と話した。 「国民の暮らしを安定させたい。減税や積極財政をやらないといけない」。参政党の神谷代表は午後7時半頃、東京都港区の芝公園でそう訴えた。演説を聞いていた練馬区の自営業の女性(45)は、経済事情から大学進学を諦め、就職氷河期で就職もできず多くの夢を諦めたといい、「数万円のバラマキや時限的な減税で日本経済が良くなるとは思えない。積極財政こそ生活改善に必要だ」と語った。