【150万円台の小さなチューニングカー】魂を奮い立たせる!日産マーチ12SRの思い出

1台のクルマを夢中になって走らせた ちょっと古い話を聞いて欲しい。今から約20年前のこと。僕は1台のクルマを夢中になって走らせた。あの時以上に楽しかった試乗は、今までなかったかもしれない。 【画像】150万円台の小さなチューニングカー!日産マーチ12SR 全20枚 先日、ある著述業の先輩と電話で長話をした。この先輩とは20数年の付き合いがあり、AUTOCAR JAPANが雑誌の時代、よくふたりで新車試乗会に行ったり、個別にクルマをお借りして見分したり、深夜のファミレスでクルマ談義に花を咲かせたものだ。あの頃が懐かしい! 2003年10月15日に発売された日産マーチ12SRは、3ドアが152万円、5ドアが154万5000円だった。 日産自動車 「でもね、今の世の中で自動車の評論をするのって難しいよね」 突如、先輩が語り始めた。 「だって、どのクルマに乗ってもよく出来ていて、悪いクルマってないじゃない? 電気自動車だとなおのこと、運転フィーリングも似ているし……」 確かにそうだと僕も思った。事実、20年前は試乗したクルマの出来の良さ、愉しさにやられてしまい、すぐに購入を決めたり、ディーラーに行って見積もりを取ったりすることがあった。 そして、タイミングでどうしても購入は出来なかったものの、今でも『あの時に買っておけばよかった』と思うクルマの筆頭が『日産マーチ12SR』だ。1000万円以上するスポーツカーにもありがたいことに多く取材で乗らせて頂いたが、心ら惚れたのは152万円のマーチだった。 クルマを操る楽しさを提供するエントリースポーツ マーチ『12SR』は、旧オーテックジャパンが3代目日産マーチの『12c』をベースに仕立てた、言わば合法チューニングカーだ。 『クルマを操る楽しさを提供するエントリースポーツ』というコンセプトのもと、CR12DEエンジンの高出力化に加え、専用サスペンション、エキゾーストシステムをトータルチューニングし、走行性能を向上させたスポーツモデルである。 インテリアは、スポーツドライビングにふさわしい装備、空間となっている。 日産自動車 エンジンは、専用ピストン採用による圧縮比アップのほか、高回転型カムプロフィール採用や、排気マニホールド径拡大などを実施。さらに、低排圧キャタライザー、専用構造マフラー採用による排気効率向上などにより、最高出力はベース車から20%アップの79kW(108ps)を実現した。 シャシー関係では、人車一体のキビキビした走りを可能にした専用スポーツチューンドサスペンション、185/55R15 81Vラジアルタイヤ(ブリヂストン製ポテンザRE-01)を採用。 また、高出力化に伴い、車体剛性向上のために採用した専用テールクロスバーや、同年7月に発売したスポーティグレード『14s』と同様のエアロパーツおよび専用フロントエアスパッツ採用により、優れた操縦安定性と高速安定性を目指した。 インテリアには、12SR専用設計のスポーツシートのほか、オレンジステッチを施した専用ディンプル付本革巻ステアリング、本革巻シフトノブ、高い操作性を得るために専用アルミペダルを採用し、スポーツドライビングにふさわしい装備、室内空間とした。 マイナーチェンジで12SRはさらに進化 さらに、2005年8月25日に行われたマイナーチェンジで、12SRはさらに進化を遂げた。 まずはエンジン。CR12DEエンジンをベースに、圧縮比アップ、カムプロフィール変更、フライホイール軽量化などの従来からの変更内容に加え、新たに、専用ステンレス製エキゾーストマニホールド、シリンダーヘッドポート研磨加工を採用。これにより抑揚感や高揚感を向上させた、12SRならではのスポーツフィールを目指した。 『クルマを操る楽しさを提供するエントリースポーツ』をコンセプトとしていた。 日産自動車 足まわり、ステアリング系では、ブリヂストン製ポテンザRE-01R(185/55R15 81V)と新造形のアルミロードホイールに合わせ、サスペンション特性を変更し、あわせてパワーステアリングのアシスト特性を変更。また、フロントブレーキローターを大径化し、『走る・曲る・止る』の性能アップを図った。 車体剛性では、既に採用しているテールクロスバーに加え、テールゲートまわりとフロアの剛性を強化し、エンジン及び足まわりの強化に対応。 エクステリアでは、SRシリーズ専用デザインのフロントスポイラー、リアアンダープロテクター、大型ルーフスポイラーを採用。車体下部のエアスパッツなどにより、スポーツ走行に適した空力特性を目指した。 インテリアは専用スポーツシート、専用メーター、専用アルミペダルを採用、グレーとブラックでカラーコーディネートし、スポーツ走行に応えるコクピットとした。 『人の手が入っている』ことが伝わってくる 車両価格は176万4000円にアップしたが、マーチ12SRの完成形と言って良いこのマイナーチェンジ版は本当に素晴らしいかった。当時最上級のハイグリップタイヤであるポテンザRE-01Rを完全に履きこなしているし、チューニングされたステアリングフィールのなんと気持ちよかったことか。 マーチ12SRのチューニングには、旧オーテックジャパンにいた開発者の中島繁治さんという方が大きな役割を果たした。パワステのアシスト特性にしても、何日も徹夜をしてこだわり抜いて完成させたと言う。だからなのか、マーチ12SRに乗ると『人の手が入っている』ことが伝わってくるのだ。 こちらは5ドア。『人の手が入っている』ことが伝わってくるスポーツカーだった。 クルマはこうでなくっちゃ!

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