【それって本当?】SNSで拡散 選挙・政治めぐる「偽誤情報」はなくせる? プラットフォーマー大手5社に独自アンケート (上)現在の各社の対応

問題視されるようになったSNSに広がる選挙・政治をめぐる「偽誤情報」。与野党7党による協議会も6月下旬、参院選を前に、ソーシャルメディアを運営するプラットフォーマーに「偽誤情報」への対策などを求める共同声明を発表。法制化に向けた検討も始まった。 こうした中、日本テレビでは、東京都議会議員選挙や参議院選挙にあわせて大手プラットフォーマー5社に独自アンケートを実施した。 アンケートを送ったのは、・Google(YouTube)・LINEヤフー(LINE/Yahoo! JAPAN)・Meta(Instagram/Facebookなど)・X・TikTok Japan(TikTok)の5社で、全社から回答があった。 前編となるこの記事では、プラットフォーマーが「偽誤情報」にどう対応しているのか、現在の各社の対応を紹介する。 ◇ ■「偽誤情報」はどうやって見つけ出している? どのプラットフォーマーも「偽誤情報」にあたる投稿について、独自のルールを作っている。アンケート結果を見ると、ルールに違反する「偽誤情報」であるかどうかは、専門チームによるチェックや利用者からの報告など人の目で見つけ出すことに加えて、AIによる自動検知も活用していることがわかった。 例えば、Metaは、約4万人という体制でセキュリティチェックに取り組んでいるという。また、TikTok Japanは、20以上のファクトチェック機関と連携し、投稿されたコンテンツの正確性の評価を行っていると回答した。 ■「偽誤情報」が見つかったら…各社の対応は では、人間の目やAIにより「偽誤情報」と判断された場合、各社はどういう対応を行っているのだろうか。 投稿の削除・非表示化やアカウントの停止はもちろん、ユーザーへの警告表示、検索結果からの除外が対応として挙げられた。また、LINEヤフー!やTikTok Japanは、「収益化の停止」も選択肢に挙げた。 YouTubeを運営するGoogleでは、こうした「偽誤情報」に対して、4つの「R」で対応をしているとした。「Remove(削除する)」「Redece(減らす)」「Raise(持ち上げる)」「Reward(報いる)」の4つを指し、偽誤情報を削除し、おすすめとして拡散されることを減らすことに加えて、正しい情報を見つけやすくし、信頼できる投稿者に還元をすることを原則としているという。 一方、ルールに違反していると判断され、コンテンツが削除された投稿者はルールについて学ぶトレーニングの受講を課せられる。また、90日間のうちに違反を3回繰り返すとアカウントが停止される場合があるという。 Xは、ユーザーが別のユーザーの投稿に追記ができる「コミュニティノート」のシステムがあるとした。 ■選挙関連の投稿、どこまでOK? 選挙に向けた各社の対応 選挙や政治をめぐる「偽誤情報」が問題視される中、各プラットフォーマーは夏の選挙を前にどういった対策を考えているのかについても聞いた。 そもそも、選挙に関するコンテンツについても、各社ルールを決めている。例えば、Xでは、投票日や投票方法について誤解をまねく投稿、投票所などでの暴力をあおるような投稿、候補者などになりすますといったことはルール違反になるとしている。 一方で、候補者などに関する「不正確な言及」や「対立的で、偏見に満ち、特定の政党を極端に支持する、物議を醸す見解を含むコンテンツ」については、ルール違反にはならないと示している。 その上で、具体的な対応については以下のような回答だった。 InstagramやFacebookを運営するMetaは、選挙時には部門横断チームを作って対応するとした。また、LINEヤフー!は、「アンケート回答時点では未定」とした上で、過去の選挙では、Yahoo!ニュースに特集ページを作り正確な情報を掲示したほか、コメントを投稿しようとする投稿者に対し、公職選挙法に違反していないか注意を呼びかけたという。 TikTok Japanは、なりすましアカウントがないか確認をするとともに、選挙について検索したり選挙に関する動画を見たりしようとすると、ルールの再確認を呼びかけ、信頼できる情報サイトに移動できる仕組みをこれまでの選挙で取り入れたという。 一方、Googleは、選挙関連の投稿を「おすすめ」として紹介する場合は、信頼できる情報源のものとするとしている。また、AIの影響を考慮し、AIにより製作・修正がされた投稿には、投稿者にそのことを明らかにするよう義務づけた。 ◇ ◇ ◇ 【アンケート回答全文】※質問に対して回答がリンクしない場合は、無記載※2025年6月回答 ———偽誤情報に対するガイドラインを設けているか? 【5社すべて】「設けている」 ———偽誤情報はどのような方法で検知しているか? 【Google】・AIによる自動検知・専門チームによるチェック・利用者からの報告機能 【LINEヤフー】・AIによる自動検知・専門チームによるチェック・利用者からの報告機能 【Meta】・AIによる自動検知・専門チームによるチェック・ファクトチェック機関との連携・利用者からの報告 【X】・AIによる自動検知・専門チームによるチェック・利用者からの報告機能・その他外部の情報を参考にすることもある。また、「コミュニティノート」という仕組みを実装していて、ユーザーがより正確な情報を入手できるようにすることを目指す。 【TikTok Japan】・AIによる自動検知・専門チームによるチェック・ファクトチェック機関との連携・利用者からの報告 ———偽誤情報が見つかった場合の対応は? 【Google】・投稿の削除、非表示化・アカウントの利用制限(一時停止、永久停止など) 【LINEヤフー】・投稿の削除、非表示化・収益化の停止(対象は、LINE VOOM)・検索結果からの除外または検索順位の降下/低下(対象は、LINEオープンチャットの検索機能)・アカウントの利用制限・関連情報の提示 【Meta】・投稿の削除、非表示化・警告表示・検索結果からの除外または検索順位の降下/低下・関連情報の提示・その他第三者によるファクトチェックプログラム 【X】(「選挙のガイドラインに違反した場合の措置」)・投稿の削除、非表示化・警告表示・検索結果からの除外または検索順位の降下/低下・その他誤解を招く可能性があるポストに対しては、Xユーザーが「コミュニティノート」を後記する場合がある。 【TikTok Japan】・投稿の削除、非表示化・収益化の停止・警告表示・検索結果からの除外または検索順位の降下、低下・アカウントの利用制限(一時停止、永久停止など)・関連情報の提示・自社によるファクトチェック ———今年の都議選や参院選で、「偽誤情報」に対してどのような対応するか? 【Google】YouTubeでは、選挙に関連するコンテンツについていくつかのポリシーを定めている。例えば、有権者が投票方法を誤解するようなコンテンツや民主的なプロセスの妨害を助長するようなコンテンツは認めていない。また、暴力の扇動、ヘイトの助長、有害な陰謀論の助長、また選挙関係者等特定の個人への脅迫にあたるコンテンツは速やかに削除。 選挙期間中にはとりわけ、悪意を持った人がAIの悪用を試みるという新たなリスクを認識しているため、コンテンツの一部にデジタル的な修正や生成が行われていることを明確に視聴者に伝えるため、改変または合成されている選挙関連コンテンツにラベルを付ける追加措置を講じることがある。 【LINEヤフー】現時点では未定。過去の選挙期間中においては、Yahoo!ニュースの選挙特集ページが設けられ、Yahoo!Japanのトップページなどでより正確な情報の掲載・誘導を行っている。また、Yahoo!ニュースコメント欄において選挙期間中、投稿者に投稿前に公職選挙法の注意文言を掲載するなどの対応をしている。 【Meta】社会的な出来事や緊急事態に、必要に応じて即座に対応できる体制を整えている。たとえば、選挙が行われるときには、部門横断のチームを結成し、選挙の整合性を保つ。選挙のたびに学んだことを取り入れ、新たな脅威に先手を打てるよう努力重ねている。 【X】弊社が定めるポリシーに基づき対応。詳細は紹介できない。 【TikTok Japan】(昨年の選挙では、)なりすましアカウントや投稿などがないかの確認を適宜実施するとともに、選挙期間中における信頼できる情報源へのユーザーアクセスを促進するために、TikTokアプリ内で選挙に関する検索バナーの設置や、該当する動画の下部に信頼できる情報源に移動できるバナーを表示。 〔検索バナーの設置〕「選挙」「投票」など特定キーワードを検索すると出現するバナーを設置し、信頼できる情報源をしようして情報を取得するよう案内。〔特設サイト〕動画の投稿文に「#選挙に行こう」など選挙・投稿に関するハッシュタグが含まれている場合、特設サイトに移動するバナーを自動的に表示。

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