日本ではなじみの薄い「チップ」。いま、飲食店でお客さんがスマートフォンから送る動きが出ているといいます。この動きはフードデリバリーなどでも広がっています。 　　　　◇ 東京湾近海でとれたキンメに穴子などなど、目にも舌にも満足なセットを提供するすし店。主な客層は、日本を訪れた外国人です。 オーストラリアから 「おいしすぎて、もうオーストラリアで刺し身を食べられないかも」 会計の際に驚いていたのが、スマホに表示されたチップ選択画面。 オーストラリアから 「日本にチップはないと聞いてたんですけど、渡しても問題ないですか？」 迷うことなく、会計の10％、547円のチップを選択しました。この店舗では先月から、スマホを使い0〜25％の間でチップの額を選択できるシステムを導入。 これまでに受け取ったチップは、なんと23万円。もらったチップは、福利厚生でスタッフ全員に還元する予定だといいます。 すし店が導入したこのチップ支払いシステム。先月サービスが始まったばかりですが、すでに全国の飲食店、およそ900店舗で導入されています。 開発した会社によると、狙いは深刻化する人手不足の問題を解消するため、従業員の賃金をアップさせること。 日本ではなじみのないチップについて、外国人観光客に聞きました。 スイスから 「来る前に日本でチップを払うのは、失礼だと聞きました。日本の文化を尊重したいです」 アメリカから 「個人的には、他国の文化に影響される必要はないと思います。日本には違う文化があって、ユニークだから観光に来てる」 “スマホでチップ”の動きは、他にも出てきています。フードデリバリーサービスのUber Eatsです。 5年ほど前に、配達員のモチベーションアップなどのため、チップ制度を導入しました。客が商品を受け取ったあと、金額を選択するシステムです。 Uber Eats配達員 「一手間時間を割いてやってくれるというのがうれしい。頑張ろうという気になります」 去年11月から“スマホでチップ”に対応したタクシー会社もあります。それまでは… コンドルタクシー乗務員 「（これまでは）『おつりいいよ』って感じでチップとしていただく」 乗客が受け取らなかったおつりをチップ代わりにしていましたが、キャッシュレス決済の広がりとともに減少。正式なチップ制度の導入を喜んでいました。 コンドルタクシー乗務員 「（チップは）300円とか、多いときだと500円。チップをいただいたということは、安心して目的地までお送りすることができたんだなと、いいサービスができたんだなと」 とはいえ、もともと日本にはなかった「チップ文化」。この現状を、日本に住む人たちはどう見ているのでしょうか。 80代 「日本は日本の文化があるから、チップを払わなくてもいいと思う。その分『ありがとうございました』『ごちそうさまでした』とか、言葉の文化があるじゃない」 20代 「こっちで消費税にプラスで払ったら、税金増えたって感覚。ちょっときつい」 「5000円とか食べて10％だったら、払ってもいいかな。500円くらいなら」 しかし、もらう側になると不安も… 20代 「なんか比べられる。バイト同士とか争いみたいになりそう、怖い」 「『また来ます』とか言葉で言ってくれたら満足」 少しずつ広がりを見せている日本での「チップ文化」。今後の展開に注目です。