中国軍機が自衛隊 “旧型機” に30mまで異常接近…あまりの危険行為に元空将が憤激「石破首相の対応は大間違いだ!」

「日本側の接近がリスクの原因だ」  中国国防相報道官は、7月13日、こんな強気のコメントをした。中国軍機が、9日と10日の2日にわたって、自衛隊機におよそ30mまで異常接近した問題。10日に日本の防衛省が発表し、同日、船越健裕外務事務次官が中国に懸念を表明した。  中国側はこれを受け、 「日本の航空自衛隊の偵察機が何度も中国の防空識別圏に入り、接近偵察をおこなったため、中国軍機は法に基づいて追跡と監視をおこなった。関連する措置と行動は完全に正当かつ合理的だ。日本側の接近偵察や妨害が、両国間の海と空のリスクの根本的な原因だ」  と、正当化したのだ。中国軍機の異常接近は2014年にも2回あり、今回で累計4例め。だが、今回の接近は、9日が水平距離30m、10日は垂直距離30mにまで近づいており(直線距離で70m)、危険の度合いがまったく異なるのだ。  今回の異常接近の危険性を、元空将の織田邦夫氏が解説する。 「日本の偵察機も公海上を飛んでいますから、邪魔されるいわれはまったくありません。それなのに、30mの距離まで近づくのは、きわめて危険で、看過できません。  というのも、今回の件が起きた2機ではあまりに性能差があるからです。航空自衛隊のほうは、YS-11EBという旧型の電子情報収集機で、これは初号機が1962年に初飛行した、かなり古い国産軍用機です。  これに対し、今回接近した中国機は、JH-7という戦闘爆撃機で、最大速力はマッハ1.7程度とみられます。超高速で飛行できますが、逆に、低速のときは非常に性能が悪くなる。  自衛隊機が普通に飛ぶ速度が、JH-7の失速速度に近い状況ですから、おそらく今回の急接近のとき、中国機はフラフラの状態で近づいてきたと思われます。ですから、ちょっとしたタイミングで衝突しかねない。最悪の場合、どちらかが墜落していた可能性が十分あるんです」  5月3日には、尖閣諸島周辺で中国海警局のヘリコプターが領空侵犯する事件も起きている。直前には日本の民間機が尖閣周辺で飛行しており、これが誘発した可能性が高い。  度重なる中国の “危険行為” について、対応に追われているのは、岩屋毅外相だ。5月13日には記者会見で、領空侵犯の件について「航行の安全を図る目的で、関係省庁から運航者に安全性を考慮すべきだと伝えた」として、中国を過度に刺激しないよう、「日本側」に飛行の自粛を求めたことを明かした。  7月10日には、訪問先のマレーシアで中国の王毅外相と会談し、異常接近の件について深刻な懸念を表明しているが、織田氏は「これではまったく効果がない」と憤る。 「よく『外交筋を通じて抗議した』などといいますが、これは中国にはまったく通用しないんです。私は人民解放軍の人間と何度も会いましたが、外交部のことを “サーバント”、つまり『召使い』と呼んでいましたからね。  彼らにとって外交部は、軍の決定を追認する組織でしかない。だから、大使館経由などで抗議しても、まったく響かないんです。  ではどうするかというと、いちばんは国際世論に訴えかけることです。  たとえばアメリカは、他国の危険行為があった際、必ず動画を残しておくんです。これは、2001年の『海南島事件』と呼ばれる、アメリカと中国の軍用機の空中衝突事件以降、必ずやっていると聞いています。  そうすれば、今回のような件があったとき、『こんなに危なかったんだ!』と世界に向けて発信できますからね。そこまでして、ようやく習近平国家主席の耳にまで “抗議” が届くわけです。  現状の日本では、とにかく『刺激しないように』が金科玉条のようになっていますが、それは間違っていると思います。岩屋外相もそうだし、石破茂首相も完全に対応を間違えていますよ」  その石破首相は、9日、参院選の応援演説で、アメリカとの関税交渉について「国益をかけた戦いだ。舐められてたまるか」と血相を変えて発言した。その舌鋒は、中国にも向かうのだろうか。

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