開票も「暑さとの闘い」…「夏の選挙の時は、倒れる人がいないといいなといつも思う」

 参院選(20日投開票)の開票所について、栃木県内の9市町の開票エリアに冷房がないことが、全25市町の選挙管理委員会への取材でわかった。  多数の職員が暑さの中で開票作業にあたることになり、暑さへの対策が急務となる。(八幡大輝、脇上怜大)  「夏の選挙の時は、倒れる人がいないといいなといつも思う」。2022年の前回参院選で、冷房がない開票所での業務を経験したある自治体の男性職員は、こう案じる。  日中の本部待機についてこの男性職員は「部屋がサウナ状態。水を飲んでも汗で出てきてしまう」と表現する。開票作業が行われるのは夜間だが、気温は多少下がっても暑いことに変わりはなかったという。しかも、作業に疑義を持たれることがないよう、開票エリア内への私物の持ち込みは厳しく制限されており、熱中症対策グッズを持ち込むこともできなかった。男性職員は「開票作業では1票のミスも許されないが、暑い環境は集中の妨げになる」と、実感を込めて訴える。  読売新聞の取材で、開票エリアに冷房がないと回答したのは、栃木、佐野、日光、大田原、那須塩原、那須烏山、下野市、高根沢、那須町の9市町だ。公職選挙法では、開票所について「市役所、町村役場又は市町村の選挙管理委員会の指定した場所に設ける」と定められている。県内では、ほとんどの自治体が大規模な体育館などに設置している。空調設備が整っていないケースも多いが、開票作業のための広いスペース確保などの条件が優先されるのが実情だ。  全国でも有数の暑さで知られる佐野市が開票所を設置する「花・花薬局さの体育館」(市運動公園市民体育館)にも、冷房がない。  夏に行われる参院選の暑さ対策に、市選管は頭を悩ませてきた。前回参院選後にはあまりの暑さから、本部だけでも冷房のある部屋にしようと、開票所を「DAIKYOアリーナ佐野」に移すことを検討した。図面にレイアウトを落とし込む作業も行った。しかし、駐車場不足への懸念などから、断念せざるを得なかったという。  市選管は代替策として今回、冷房のある会議室を休憩場所として用意するほか、開票エリアにスポットクーラーや扇風機を導入し、暑さの緩和に努めるが効果は未知数だ。  暑さの中での開票作業について、県選管は「熱中症にならないよう作業にあたってほしい」と呼びかけている。

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