１００年以上の歴史がある関西大（大阪府吹田市）の応援団で、団長と副団長のいずれも女性が担い、約１７０人の団員を指揮している。 　応援団は男子学生のイメージが強かったが、多様化が進んだことや後継者となる団員が不足していることが背景にあり、他大学でも女性の団長が誕生している。８月には、大阪・関西万博で関大のイベントに出演する。（川崎絵莉子） 創設は１０３年前、歴代４人目 　関大の応援団は、大正時代の１９２２年に創設された。現在は、応援を統率するリーダー部と戦後にできた吹奏楽部、バトン・チアリーダー部の３部で応援団を構成している。 　団長を務めるのは、チア部に所属する松山小夏さん（２２）で、第１０３代となる。副団長は２人おり、チア部の米田晴香さん（２１）と吹奏楽部の楠田梨乃さん（２１）。３人とも４年生だ。 　団長は、リーダー部の３年生から翌年の団長を選ぶのが通例となっている。だが昨年は、３年生が一人もいなかった。そのため、吹奏楽部や女性のみのチア部から候補者を出し、昨年末、松山さんが団長に就任した。 　女性団長は４人目となる。松山さんは当初、団員の先頭に立って責任を全うできるのか迷いもあった。だが、同級生や後輩から「責任を持って支える」との励ましを受け、後押しされた。 コロナ禍の「活動制限」響く 　応援団の団員不足は、特にリーダー部で顕著になっている。今年、１年生は男性１４人が入部したものの、３年生は３人で２年生と４年生はいない。応援団のコーチによると、コロナ禍で応援団の活動が制限され、「新入生らに対し、アピールできる機会が減った」ことが大きな理由だという。 　松山さんは「リーダー部は、１００人以上の団員を引っ張るかっこいい存在だという魅力を伝えていかなければ」と課題を語る。 　関大応援団は、入学式や卒業式、競技大会などに駆けつけ、代々引き継がれる紫紺の団旗や太鼓などの道具を使うなどして演舞演奏と声で学生を鼓舞する。 　近年は、関大と同様に他大学でもチア部や吹奏楽部の女性が団長や副団長を担う例が増えてきている。関西の私大では、現在、同志社大と近畿大でも女性が団長を務めている。 「魅力、次世代につなぎたい」 　関大の応援団は新体制が始動して約半年がたった。３人は日々、各地で行われる野球や相撲などの競技大会に駆けつけ、先頭に立って団員を指揮し、力強い声援を送っている。 　８月３１日には、万博会場で開かれる関大イベント「夢洲（ゆめしま）関大Ｄａｙｓ」に出演する。電気事業連合会の「電力館　可能性のタマゴたち」の屋外ステージに相撲部や書道部など１０以上の団体が参加し、応援団も演舞を披露する予定だ。 　副団長の米田さんは、身長１メートル４５と小柄な分、演舞で体の動きを大きく見せられるよう、特訓に励んだ。吹奏楽部の部長も務める楠田さんは、「前に立った時こそ、明るく笑顔でいることを意識している」と話す。 　団長の松山さんは、「持ち前のポジティブさを生かし、応援団の魅力を次世代につないでいきたい」と意気込んでいる。