20日投開票の参議院選挙で、政府は「外国勢力が介入している可能性がある」と警戒しています。誤った情報もあるサイトの記事を引用したアカウントが、相次いで凍結。不審な拡散のされ方をしているという指摘もあります。何が起きているのでしょうか? ■「外国勢力が影響」…政府の危機感 青木官房副長官は16日、会見でこう述べました。 「政府としては、我が国もこのような影響工作の対象になっているとの認識のもと、外国からのニセ情報等の収集・集約・分析やニセ情報等に対する対外発信等について、一体的に推進しているところです」 平デジタル相も15日、「外国においてはですね、他国から介入される事例なども見て取れるので、注意深く見ていく必要があるんだろうと思っています」と説明しました。 政府は「SNS上で外国勢力が拡散に影響を与えている可能性がある」として、危機感をあらわにしました。 ■切り抜きも…まとめサイトが話題 SNS上で話題に上がっているのが、JAPAN NEWS NAVIというまとめサイトです。 このサイトのXのアカウントと、このアカウントに関連すると認定された複数のアカウントがXのルールに違反したとして、相次いで凍結されました。一体何があったのでしょうか。 JAPAN NEWS NAVIは、国内外のニュースを取り扱っています。「日本のニュースと日本人の反応をまとめたサイト」としていますが、中には誤った情報もあります。 ある記事では、「当選したのだから公約を守るという事ではありません」というタイトルでXの投稿を紹介しています。投稿の中では石破首相の発言が切り抜かれていました。 ■「参院選で公約守らない」意味で拡散 動画を再生してみると「掲げました政策が、私が当選したのだからこの通りにやるということにはなりません」という石破首相の声が。この発言が、「参院選で公約を守らない」という意味で拡散されていました。 しかしこれは、総裁選後の去年12月、予算委員会の時の発言です。総裁選で自分が掲げた政策を、党として全てやるわけではないという趣旨の発言で、今回の参院選の公約に関する発言ではありません。 石破首相について事実とは異なる情報を掲載していたJAPAN NEWS NAVI。今回凍結されたアカウントは、このまとめサイトの記事を引用した投稿を多く行っていました。 ■専門家に聞く…“不審な投稿”指摘も このアカウントの投稿が、不審な拡散のされ方をしているという指摘もあります。 都内のサイバーセキュリティー会社「Japan Nexus Intelligence(JNI)」のヘッドアナリストの竜口七彩さんは「JAPAN NEWS NAVIの投稿にリプライ(返信)やリポスト(引用投稿)をしているアカウント群になります」と、分析結果を見せてくれました。 今年2月から3月に同社が調べたのは、JAPAN NEWS NAVIの投稿を拡散しているアカウントについて。拡散しているアカウントを小さな赤い丸で示すなど、アカウントの分布が図で示されています。 竜口さん 「赤い丸がボット的(機械的)とツールが判定しています。大体35%のボット(的なもの)がいるのは、割合としては高い」 ボット的とは、特定のアカウントに対する返信や引用を自動で行い、拡散しているとみられるものです。 ■不審な拡散をするアカウントの特徴 このような不審な拡散をするアカウントの特徴は、アイコン写真が設定されていない、 オリジナルの投稿が少なく他者の再投稿にほぼ専念している、長期間活動を停止した後、突然活動が急増している、などが挙げられるといいます。 竜口さん 「ひとつの声なのに、1000の声として表れてしまう。ある種の水増しという、うごめきかなと評価できます」 ■選挙期間中の不審な拡散…政界は? 選挙期間中に発覚したSNSでの不審な拡散。政界からもさまざまな声が上がっています。 国民民主党・玉木代表のX 「外国勢力からの選挙への介入工作は国会でも問題視してきたので、まずは調べてみたい」 自民党・河野太郎議員のX 「日本の選挙にも、外国、とくにロシアの干渉が広がっていると言われています」 ■目的は「日本社会の分断」? 外国勢力が介入しているとすると、何が目的なのでしょうか? JNIの郄森雅和代表 「日本国内に分断をつくろうということが一番の目的ではないかと。日本の社会を分断させて不安定化させて、そこに対してお互いが不信や不安をあおっていって、不安定化させるってことが一番大きいと思います」 選挙に外国勢力が介入している可能性があるとして、政府も警戒している今回の参院選。拡散されている投稿が真実か、冷静に見極める必要があります。 (2025年7月16日『news every.』より)