アーティストのBoAさんが、ひざの痛みが悪化し病院で「骨壊死」と診断されたことを公式サイトで報告しました。 「骨壊死」とはどのような病気なのでしょうか?整形外科の専門医に聞きます。 【写真を見る】原因は不明『骨壊死』とはどんな病気?治療法や気を付けるべきことを専門医に聞く【ひるおび】 悪化すると歩行困難に 「骨壊死」とは 「骨壊死(こつえし)」は、膝関節の内側の軟骨や骨が一部壊死してしまう病気です。 膝の内側を中心とした痛み、膝の曲げ伸ばしがしづらいといった症状があり、悪化すると歩行困難になることもあります。 発症が多い年代は男女ともに60代以降で、50歳以上になると発症率が高まるとされています。 原因は不明で、一度壊死した骨が自然に治癒することはほとんどありません。早期発見すれば、手術や治療によって進行を遅らせたり、痛みを軽減することができるといいます。 弁護士 八代英輝: 股関節や膝関節は、使うとどんどんすり減ってくるとは言いますけれども、壊死と聞くと怖いですね。 恵俊彰: 原因はわからないんですか? いしがみ整形外科クリニック 石神 等院長: 厳密に言うと、わからないですね。 太っている人や激しい運動をされている方で壊死のような症状が起こるときもあるんですけど、本当に厳密に壊死という診断が確定しているのであれば、原因は分かっていないということになりますね。 番組スタッフも「骨壊死」に 「ひるおび」に骨壊死を患ったスタッフがいます。50代の男性です。 ≪経緯≫ ・去年9月、左ひざに違和感があり徐々に痛みが増す ・曲げ伸ばしはできるものの歩くのがつらく、病院を受診したところ「大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)」と診断される ・激しい痛みで休職 治療は「負担をかけずに安静すること」のみで、移動には松葉杖を使用し、自宅ではほぼ座っていたということです。 去年11月、松葉杖と装具で仕事に復帰。年末になって痛みが和らぎ、今年4月には壊死した部分がほぼ改善しました。短い距離なら松葉杖なしで歩行できるようになっています。 治療法や気を付けるべきことはー 恵俊彰: 自然治癒はないんですか? 石神院長: 難しいところなんですけれども、本当に壊死した場合は自然治癒は難しい。 ただ壊死と同じような疾患で、骨挫傷といって活動性の高い方で、内側が壊死のようになってしまった場合は、体重をかけないことや、再生医療で症状を改善したり治癒させることはできます。 恵俊彰: 早期発見時の手術は、どのような手術なんですか? 石神院長: 早期発見の場合は2つあります。 一つは足の形を少し内側から外側に体重がかかるように、すねの脛骨という骨を切って形を変える「骨切り術(こつきりじゅつ)」。 もう一つは体重のかからない部分から軟骨を移植する「軟骨移植術(モザイクプラスティ)」で、こちらが早期発見の場合の手術としては一般的ですね。 恵俊彰: 治療して回復するまでにはどのぐらいの時間がかかるんですか? 石神院長: 日常生活に復帰できるまでは3か月ほどです。 ただ激しい運動やパフォーマンスを必要とする場合は、リハビリなどを含めると最低でも半年ぐらいはかかるんじゃないかと思いますね。 恵俊彰: 原因がわからないということで答えにくい質問かもしれませんが、何に気をつければいいんでしょうか? 石神院長: 体重自体が問題になって壊死のような症状を起こしてしまう場合がありますので体重に気をつけるということと、あとはアルコールの多飲ですね。 毎日ウイスキーをボトルで半分飲むような方は、アルコール性の壊死が大腿骨や股関節に起きるので気をつけるようにと一般の外来では話しています。 元々そんなに多い疾患ではないので、そこまで過剰に心配をしなくていいんじゃないかと僕は思っています。 コメンテーター 杉浦太陽: 何か違和感を感じたら病院に行くのが一番ですね。 石神院長: 一般的な痛み止めでなかなか治らないものは、早めにMRIなど精密検査をして、問題ないことを確認された方がいいと思いますね。 (ひるおび 2025年7月16日放送より) ========== <プロフィール> 石神 等氏 いしがみ整形外科クリニック院長 日本整形外科学会認定専門医